DATE:2008/06/21 China - Lijiang -
中国人の友達が言っていた。
「玉龍雪山ってのはね、私達にとって神様のような山なのよ!」
おーし。
登っちゃろーじゃねーか!
と言うわけで行って来ました標高5596メートル♪
と言っても登れるのは4500メートルまで。
その場所までもバスとロープウェイで行けるので楽々~☆
麗江から車で1時間弱の場所にあるその場所へはまずバスで向かう。
ところがなんだか見つからない。
近くを30分ほどウロウロした挙句、
恐らくは私営の乗り合いバスであろうモノを発見!
どうにか雪山への道のりが始まる。
あとはボーっとしてるだけで、雪山についてしまう。
しかしここの入場料もま~た高いのだ!
入山料が190元(約3000円)
麗江古城観光料が80元(約1300円) ※昨日払ってなかったらしい
さらにロープウェイ代金が170元(約2700円)
合わせて7000円成り~。って高いだろー!それは。。。
トータルで3時間ほどの滞在でこの値段。日本だってありえない。
ディーズニーランドより高い料金ってなによ!?
この辺でやっと気づく。
「中国の観光ビジネスはお金持ちが対象なんだ・・・」
ここからは憶測でしかないのだが、
社会主義である中国。
本来ならば「お金持ち」など存在しないはずなのだが、
それはそれ、もともと商人の国。
当然のように格差は存在している。
その差は日本など比べ物にならないぐらい大きい。
そう考えると「観光」などできるのは、
「あぶく銭」を持っている人間なのである、きっと。
どうせお金持ち。どうせ道楽。
ならばそこからお金を巻き上げて、
国に(もしくは役人?)に還元するのは社会主義の道理!
そんな匂いを感じるのだ、ここ中国の観光地は。
「美しいもの、良いものを見て心を豊かにしよう」
的な発想はあんまりないのかもしれない。
貧しきものは「働け!」なのである。
なんだかんだ言って
中庸ばかりを取り揃えた日本社会ではあまり考えられないのだが、
ここには圧倒的な差が生じる。
貧しきものは美も知らず、学も満足に受けられない。
そこから来るのは「永遠の格差」である。
社会主義であるその国に、その矛盾を見た。気がする。
単に「高いんだよ!」と言いたいだけなのかもしれない気もするw
料金所の関門を抜けバスは雪山に入山。
最後はロープウェイでスイッと終点までたどり着く。
3500メートル地点から4500メートル地点まで。
高山病なんのその。ものの20分で否応なしに頂上まで連行される。
そんなわけで現れるビジネスが
防寒ジャケットのレンタル。そして
「酸素マスク缶販売」
・・・これを見るとなんだかデンジャラスな山に見えてくる。
そう言えばいつの間にか富士山よりも高いところにいるのである。
当然と言えば当然の酸素マスク。
でも観光客達が片手に缶を抱えながらロープウェイに乗り込む姿は、
なんとなく決死の覚悟が見えなくもない。観光地・・・だよなぁ。
ともあれ。ともあれ。
無事辿りついた頂上。
完璧な青空とはいかなかったけれど、
時折見せる空の青さが万年雪を抱いた山頂と合わさって、
「さすが聖山!」と思わせるような姿でありました。
そしてこの山が凄いところが「永久凍土」があるところ。
さらにそれが「現代性」という、
わかるようなよくわからんような冠が付いているところである。
それは恐らく「最近出来た」的なイメージなのだが、よくわからん。
ともかく凍土自体の迫力は厳つく、硬く眠っているようで素晴らしかった。
ちなみに人類未登頂の山でもあるらしい。
高さは他のエベレストとかの方が高いので
要は「登り辛い」んだそうで。
しかしそれも聖なる山としてのイメージにはピッタリなんだろうな。
そういえば、来る時のバスで中国人のオバチャンに懐かれて、
ロープウェイ乗り場から御一緒することになる。
中国語がわからんのに、ガンガン話しかけてくるオバチャン。
僕も片言の中国語とメモ帳を片手になんとか会話する。
まぁ、ほとんどは「不明白(わからん!)」って言ってたけどw
このオバチャンに頼まれて、
「オバチャンと聖山」シリーズの写真を沢山撮る。
まだまだカメラを持っていない中国人は多いらしく、
この手の観光地では写真を撮ってその場でプリントアウトするサービスが流行っている。
まぁ、それが高いのでこうして僕が撮っているわけだ。
そしてまさか、このオバチャンが全く迷惑な奴だとはこの時点では気づかない僕なのであった。
オバチャン撮影会の後は、
ロープウェイに乗り雪山を下山。
バスに乗り、麗江へと戻る。
そこでなぜかオバチャンにバス代をおごられる。
きっと写真の御礼だったりするのだろう、快く受け取る。
市内についてからはオバチャンと印刷屋探し。
ここ中国でも東南アジアでもこの手のサービスは充実していて、
観光地にはフォトコピーとか印刷サービスの看板がいたるところにある。
その一軒で印刷をすることにして、
オバチャンとコレがいいとか、コレは駄目とか言いながら、
撮った写真から印刷する対象を選ぶ。
10枚ほどの写真を選び、撮影大会は終了。
さて、ご飯でもとオバチャンについて古城の中を歩く。
ところがところが、立ち並ぶ飲食店を抜けて、抜けて。
それでもオバチャンは止まらない。
途中、予算らしきものを聞かれるが、
なんだかコミュニケーションが上手くいってる気はしない。
そもそもこのオバチャンの中国語など、
10パーセントも理解できていないのに一緒にいるのもおかしな話だ。
オバチャンが客引きらしき人間と話し始め、
その人について行き始める。
そしてなぜか宿の中に入っていく。
やっと気づく。
あ。この人、宿を探していただけだw
そしてさらに何故か僕の分まで部屋を取ってくれる。
いや、あなた。先ほど俺のホテルはここだと地図を見せて教えたばかりじゃないですか。
最初は差し出されたレシートがまったく意味不明だったものの、
会話をしているなかでようやく間違いに気づき、
「我 有 酒店」
と合ってるんだか、間違ってるんだか良くわからない中国語で、
こと無きを得る。
「チー ファン(ご飯を食べる」
「チューファン(宿)」
を間違っていたらしい。
そりゃ間違うわ。まさか、観光しているのにとまるところがないなんて思いもよらない。
これが中国イズムという奴なのだろうか。
まぁ、誤解もなんとか解け、
ようやくご飯を食べることに。既に3時を回っている。
オバチャン次は銀行に行きたいと言い出す。
いいだろう、付き合おう。
オバチャンに連れられて街中をうろうろ。
こっちの銀行に入り、あっちの銀行に入る。
なんだか様子がおかしい。
結果。
「下ろせない。私お金なくなっちゃった♪」
をぃ。をぃ。。
そもそもこのオバチャン。
銀行の口座のレシートらしきもので預金を下ろそうとしていたらしい。
そりゃ無理だって、人治国家中国と言えどもさ。
それでもオバチャン、なぜか明るい。
「さぁご飯を食べましょう!」
おーい。お金ないんだよねーw
まぁ、いいや。
ここで会ったも何かの縁。
二人で食べるご飯もまた楽しいし。
ここは一つおごっちゃろうじゃないか。
町中の川辺の雰囲気の良いレストランでお食事。
古都の清らかな小川がそばに流れていて、
店員のオバチャンが編み物をしている。
そんなゆったりとした雰囲気の少し遅めのランチタイム。
うーんいい感じ。やっぱりこの町は大好きだ。
オバチャンのまったく理解ができない中国語を聞きながら
おいしい中華料理を食べ、ひと時を楽しむ。
食事と雰囲気に満足し、お勘定。お勘定。
案の定、オバチャンは払うそぶりも見せないので、
やっぱりおごってあげることになる。
でも、アリガトウぐらい言おうねオバチャンさ。
お腹もいっぱいになったことだし、
ここでお別れと最後のお散歩と町外れまで二人で歩く。
途中で電話をする。なんだか、お金の送金の話をしているようだ。
これで無事一件落着。
するとオバチャンいきなりタクシーを捕まえる。
え?
だよ。まじで。
なんだか聞いていると荷物をどこかに預けているらしく、
それを取りに行かなきゃならないらしい。
知るか!!
さすがにそこまでは付き合えないので、
俺はホテルに戻るよ。とオバチャンに別れを告げる。
「いやいや、後から戻ればいいじゃない。一緒に行きましょうよ。」
オバチャンのたまう。
いや、あんたお金ないんでしょ?
タクシーとか乗っちゃ駄目じゃん。普通。
さすがにコレを払う気にはなれない。
でも、この人この後どーすんだろう?
っていう好奇心の方が勝ってしまう。
そして全てはここが始まりだった・・・。
とりあえずオバチャンと一緒にタクシーに乗り込んでみる。
オバチャンが行き先を告げると、タクシーは進む。
そして目的地を間違えるw
なんだか発音が悪かったらしく別のホテルに着いてしまったようだ。
ホテルの従業員に目的地の場所を聞き、再出発。
ホテルについてからはオバチャンは大量の荷物をそこから取り出してくる。
どうやらココに昨日泊まっていたようだ。
そこから町中に戻り、写真の印刷を受け取り、
さぁ降車の時間!
オバチャン降りる。
僕、取り残される。
なによ?と見ていると、
「お金払ってよ。私お金ないんだから。」
いやいや、あんた返せないじゃん。
僕は次の日に別の町に移動する予定。それをオバチャンは知っている。
知るか!とすることもできたのだけれど、
やっぱりこの人がどうするのかが気になって、
18元(約300円)のタクシー代を払ってあげる。
この時点ではまぁ、どうにかして返してもらう。と考えていた。
オバチャンと荷物を抱えて宿に戻る。
当然のごとく「お金を返して」と言う。
オバチャン動き回る。銀行、銀行、銀行。
そもそも下ろせなかった上に既に5時を過ぎ、店舗もクローズ。
どうしようもない。
困った。オバチャン、困った。
町中の休憩スペースを見つけ、僕に座れという。
そして僕のノートにこう書く。
「あなた18元払った。わたしバス代10元払った」
ほう、そう来たか。
さらにオバチャン書き出す。
「あなた日本人。日本人にとって8元なんて、安いでしょ。」
ここで呆れてしまう。
怒ったというより、呆れただ。
謝りもせず、感謝もせず、「日本人だから」だって?
それは人としてどうなんだい?
むくむくと感情が高まる(いま思うと意地悪だ)
「こいつを謝らせてやろう」
中国人は謝らない。これは本当だ。
非を認めることはプライドに関わるし、
それは個人的な責任を負う可能性を伴う。
日本がペコペコ謝るのは美徳でもあるけれど、
個人の責任が圧倒的に少ないからというのもあるのだと思う。
というわけでオバチャンに「絶対払え」勧告を突きつける。
とりあえずオバチャンの宿に戻り、話をする。
当然ながら中国語アウェーとして、
宿の人たちもオバチャンの仲間だ。
そもそもオバチャンに、あまり悪気はなかったのだろうが、
最後のタクシーに乗る前には、
「お金ないから、助けてよ」
と一言いうべき。そんな会話をノートで繰り返す。
あんた写真を撮ってあげた恩を忘れたのかい?
見たいなことを伝えると、態度を翻し
「大変感謝している。ありがとう。ありがとう。」
的な中国語を書き出す。
こっちは別に悪いことをしているわけではないので、
余裕の態度でオバチャンの「ごめんなさい」を引き出そうとがんばる。
しかし誰も英語がわからないので、話はなかなか進まない。
そしてオバチャンは最後の手段に出る。
「公安(警察)を呼ぶわよ」
え?????
良いけど、負け戦だよそれオバチャン。。。
何度も言うので、よし行こうと立ち上がる。
オバチャン拒否する。なんでも電話する、待て。とのこと。
なんだか良くわからんが宿の電話を借りて、
電話越しに中国語で会話をするオバチャン。
そして悲しそうにこう言う、
「たった8元じゃ、公安は来ないって言ってるのよ!もう!」
ん・・・まぁそりゃそうだ。中国の法律はわからんが、しかもこれは民事だし。
振り出しに戻る。まだまだバトルは続く。
こちとら旅人、暇人なのだ。時間はいくらでもある。
それでも何だかんだともめていると、
宿の玄関から人がやってくる。
・・・公安キターーーーーー!
黒い制服を着た2人組と、一人の女性。
明らかに公安とわかる3人の新参者がこのバトルに加わる。
オバチャン必死に説明を始める。
「たった8元なのよ!」と言ってるのは、
僕の中国語レベルでも良くわかる。
さて、どうしたもんか。
悪いことはしてないが、伝える手段はあるだろうか。
状況説明をノートに書き出す。
パワーポイント的な図解伝達ならなんとかなるだろう。
そしてここで声がかけられる。
「What’s happen?」
英語だーーーーーーーーーー!!!!!!!
この制服を着ていない女性。なんと英語が話せるようなのである。
つたない英語ではあるが、状況を説明する。
わかってくれたようである。
「それで今、あなたはどうして欲しいの?」
と彼女は言う。
当初の予定では謝らせればそれで良かったが、
ここまで拗れたらもう面倒なのでお金を返して欲しいと言ってみる。
公安の人々がオバチャンに何かを言う、
宿の人たちも集まって何かを話している。
5分後。
部屋に置いた荷物を全て抱えて宿のロビーに立つオバチャンがいた。
そう。チェックアウトし、
今日の宿泊費を返してもらったようである。
そのお金でしぶしぶ僕のタクシー代を返すオバチャン。
いや・・・そこまでしなくても。。
達成感もあったのだが、罪悪感もまま残る。
公安の人が伝えたのか、「僕は単に謝って欲しかったんだ」
ということが伝わったらしく、
「ごめんね!ごめんね!ごめんね!(これで良いでしょ!)」
と嫌みったらしく繰り返してくる。
まぁ、その気持ちもわかる。泊まるところさえないって・・・。
もともと無一文のオバチャンは僕と会わなければこうなる運命だった。
そう思うのだが、なんだかなぁという気がする。
公安の人に急かされて宿を離れる。
中国人は謝らない。
んーこれはやっぱり本当だなぁ。
無一文になったオバチャンを残し、僕はまたビールをあおる。
聖なる山の麓。ここでもまた事件は起きている。