2009年7月31日金曜日

世界一周(52)メキシコ/カリブ海ダイビング!















DATE:2009/07/31 Mexico - Cosmel -


ついに。ついにカリブ海ダイビング!

昨日はセノーテ・ダイビングで圧倒されたが、
7つの海を潜ると決めた以上、この海に潜らなくては意味がない。


目指すはプラヤ・デル・カルメンから1時間ほどフェリーで渡った島、コスメル島。

カンクンでダイビングをする。と言えばこの島、コスメル島でのダイビングを示す。
普通はカンクンに宿泊し早朝からバスでプラヤ・デル・カルメンまで移動し、
そのままフェリーでこの島を目指すのだが、
プラヤ・デル・カルメンに滞在していれば直接コスメルを目指すことが出来る。

寝過ごすぎりぎりで目が覚め急いで仕度をしてフェリー乗り場に。
どうにかカリブ海ダイブが始まった。



コスメル島はプラヤ・デル・カルメンと比べると、
1ランク上のリゾート地といった感じ。

と言っても違いはカルティエがあるかないか、ぐらいかもしれない。
アメリカ人色が強いリゾート・アイランドと言った感じだ。
キューバとの国交がないアメリカ人のためか、キューバ産の葉巻が売られているのが面白い。
タクシーでボート乗り場まで移動し、そのままダイビングスポットへと向かう。

しかしまぁ、なんつー透明度。
ボートが切り裂く海はまるで蒼いゼリーのようだ。
プルプルと揺れだしそうな非現実な色の中をボートは真っ直ぐに進んでいく。


カリブ海ダイビング。

この地でのダイビングへの期待はカラフルな珊瑚の色にある。

それほど魚の種類は多いわけではないらしいが、
カリブ海固有種も多く、なかなか面白いものが見られるそうだ。


そんな訳でまずは一本目!

潜る前からわかっていた。が、やっぱすげー透明度!
そんなに深いわけでもないが底ははっきりと見渡せ、
横を見てもどこまでもどこまでも海底の景色が見える。

ブリーフィングで教えてもらったのだが、
この辺りは流れもあるため基本的にはドリフトダイブ。
流れに乗りながら漂うダイビングだ。

ゆっくりと下降した後は15メートルほどの浅い海を、
珊瑚の上を流れるように泳いでいく。

想像通りの色に溢れる珊瑚。
その量は紅海で見たものには適わないが、
紫やオレンジ、黄緑といったカラフルさはここ以外に見たことがない。

それに魚も思ったよりも多く、見たこともない色の魚たちが、
時たま目の前を通り過ぎては楽しませてくれる。

この海で最も面白いのはそんな色溢れる海を
ゆったりとドリフトダイブ出来ることかもしれない。

透明度の高い海はまるで仮想現実の世界。
そこをゲームのプレーヤーのようにゆっくりと漂っていくのだ。
紫や蛍光イエローの珊瑚がゆったりと過ぎ去っていく姿は、
まるでプロモーションビデオのようで美しいったらありゃしない。

珍しいことらしいがカメやエイの姿も見え、
味気ないと噂のコスメルダイブもかなり満足のできるものになった。



さて、そんな二本目は。

珊瑚の間をすり抜ける地形系ダイビング。

正直、珊瑚を傷つける恐れのあるダイビングなので、
やっていいのかわからんが、やって見るとさすがにこれは楽しい。

珊瑚が作った穴の中をアスレチックのように泳いでいく。
中には体分ぐらいしかない穴もあり、
中世浮力を駆使しての通り抜けはかなりスリリング。

アクロバティックなダイビングを堪能した後、
最後はゆっくりドリフトダイブで珊瑚の姿を楽しみおしまい。


と、思ったら。


最後、出ましたでけーサメ!!!

コバンザメ付の3メートル超えの巨大ザメが、
目の前をゆったりと泳いでいく。

たぶん今まで見た中では最もでかいもの。
ナースシャークと呼ばれるこの辺りのサメはもちろん危険なものではないが、
それだけの大きさのサメを見ると体が少し緊張する。

ゆっくりと優雅に泳ぐサメの姿がカリブ海の最後の思い出になったのでありました。


いやーやっぱカリブ海最高!!!!

2009年7月30日木曜日

世界一周(52)メキシコ/セノーテ・ダイビング!!!







DATE:2009/07/30 Mexico - Playa del Carmen -


まるで鏡の中にいる。

ようだ。なんて中途半端な言葉ではなく、
本当の鏡の中の世界のように透き通った泉の中、世界は光に満たされていた。

洞窟にできた泉の中に差し込んでくる光は、
まっすぐに底まで白い光の直線を引いている。

真水で出来た泉は太陽の光を遮ることなく真っ直ぐに透き通す。
水中から空を見上げればプリズムのように乱反射した光が、虹色のドアを開けていた。


七つの海でもなく、何千メートルの深海でもなく。

ユカタン半島に作られた石灰質の泉の中。
そこは世界で最も美しい場所だった。今まで見た何よりも。どれよりも。




セノーテ・ダイビング。

そんな言葉を聞いたことがある人は少ないかもしれない。

ユカタン半島、つまりはメキシコの東に突き出たカンクンを含むこの辺りの地域は、
石灰質の土壌を持ち川を持たない。

全ての雨水は大地に吸い込まれセノーテと呼ばれる地下泉へと流れこむ。
そんなセノーテがユカタン半島にはいくつもあり、
そのいくつかはダイビングやシュノーケリングを楽しむことが出来る。


海水で出来た海とは根本的に常識が違う真水の泉。

透明度は少なくとも50メートル。
まさに遮ることのない水の中の世界が広がっている。

魚などはほとんどいない味気のない水の中だが、
そこから眺める光のショーは他では見ることの出来ない驚くべき美しさ。
スポットライトを浴びるように泉の中を泳いでいく。

ふと上を見上げると光の魔法のように虹色になった空が見える。
ぽっかりと空いた泉の入り口を縁取るようにまるい虹色が覆い、
天への入り口のように揺ら揺らと光を注ぎ込んでいる。


面白いのが水深15メートルほどになると塩水に切り替わることで、
浸透度の違いのため交わることのない塩水と真水の境界は、
「ヘリコ・ライン」と呼ばれある意味ではセノーテ・ダイビングの最も面白い体験でもある。

交じり合わない2つの水はまるで水と油のような関係。
その境界を蹴り上げると巻き上げられた塩水がぼんやりと視界を乱し、
まるでモザイクをかけられたように景色が様変わりする。

最初は戸惑う景色だが慣れてくるとそれが面白く
わざと水を乱してはその現象を楽しむ。

塩水は真水よりも保温性が高いのかその差が体感できるほど暖かい。

万華鏡のような世界にライトを照らし生ぬるい水の中を進んでいく。
体験したことのない異世界。かけがえのない物を発見した幸福感で満たされていく。



あっという間に2本のダイビングが終わったとき、
なんだかもの凄い世界を見てしまったようで、呆然とした。

世界はやっぱすげーね。

この旅で何度とつぶやいたその言葉をもう一度つぶやいた。




世界はやっぱすげーや。

2009年7月29日水曜日

世界一周(52)メキシコ/カリブの海と千年の遺産















DATE:2009/07/29 Mexico - Tulum -


まだ日も昇らぬカリブ海の海岸。

白い雲が朝日を隠していた。
それでも雲間から少しずつ光が漏れ出しあっという間に空をオレンジに染め、
ついには朝になっていった。

プラヤ・デル・カルメンのバスターミナルから歩き出し、
すぐにたどり着いたカリブ海の朝はそんな感じで始まった。


まったく無計画にこの町に来てしまったことを思い出して、
急いで町のwifiを探して周り適当な宿を見つける。

たどり着いたそこは久々のアジア的、じめじめとしたドミトリー宿。
ドミトリーだが値段も10ドル近く、
どうやら中米の中でもメキシコは物価の高い国らしいことがわかった。


そのままビーチでのんびりしても良かったが、まだまだ1日は長い。
そんな訳でここから1時間ほどの場所にあるトゥルム遺跡へと足を伸ばすことにした。


トゥルム遺跡。

この遺跡もまたマヤの遺跡の一つである。

この辺りの遺跡というとカンクンから訪れるチチェンイツァが有名だが、
このトゥルム遺跡は規模こそ小さいがカリブ海沿いに造られた唯一の遺跡として人気が高い。

観光案内所兼ツーリストポリスなんていうへんてこな人たちに道を聞き、
ミニバンに乗ってトゥルム遺跡を目指す。

このミニバンが今まで乗ってきた乗り合いタクシーとしてはかなり上出来で、
真新しい車体に車内はエアコン付き、さらに過剰乗車なしと、
メキシコはやはり中米の中でも抜きん出た発展をしていることを知る。
交通機関というものはその国の状態をかなり正確に映し出すものなのだ。


快適なミニバン、さらに快適な国道を走り抜けてトゥルム遺跡へとたどり着く。
やはりカンクン近くにある観光地だけあってかなりの人で賑わっている。

面白いのがアメリカ人が多く居るということだ。

あれだけ多くの人口に関わらずアメリカ人の姿は世界中でそう多く見ることはない。
唯一見たのはガラパゴス諸島ぐらいなものだ。
というわけで僕は勝手に彼らのことを「天然記念物」と呼んでいる。

さすがマイアミから2、3時間で来れるこの辺りには
アメリカ人も旅行をするということなのだろう。
中米に入ってからちらほらと見かけ始めたアメリカ人の姿は
カンクン付近になりピークを迎えるようだった。


チケットを買い整備された遺跡の道を歩いていくと、
石を積み上げられて造られた門へとたどり着く。マヤ遺跡への入り口だ。

それを潜り抜けると中には思いのほか広い遺跡が広がっている。

さすがにティカル遺跡と比べてしまえばその規模の差は歴然だが、
高い塔などはないものの、整備された公園のような遺跡がなんだか目新しい。

遺跡の中には多くの人がいてそれがなんだかテーマパークのような雰囲気にさせている。
あちらこちらでガイドの声が聞こえてくるのはなんだか久しぶりの出来事だ。

ガイドブックも持っていないので適当にふらふらと遺跡を歩いていくと、
突然に目の前が真っ青に染まる。カリブ海だ。

そこにあるカリブ海の色は朝、浜辺で見た色とはまったく違っていた。
カクテルのように混ぜ合わされた翡翠色の滑らかな海が空気を巻き込み白く濁る。

ベリーズで既にカリブ海などわかったつもりでいた。

が、ここにある海は圧倒的に美しい。

そんな海が千年以上の歴史を持つ遺跡と共にあるのだ。
風光明媚なんて言葉では物足りないほどの景色が目の前にある。

遺跡としては他に劣るかもしれない。
が、景色としてはティカル遺跡で見た地上60メートルからの景色にも勝るとも劣らない。

ここに遺跡を建てた人々はジャングルの中に遺跡を立てた人々とは、
なんだか根本的に気質が違っているような気もする。

もちろんマヤ遺跡と言ってもそれぞれの民族が影響を受けながら作り上げたもので、
マヤという言葉はその広い文化の輪を総括した言葉に過ぎない。
正確に言うと、ある時代の文化圏の名前と言うべきなのだろう。

だからこそマヤ遺跡それぞれにユニークな個性がある。
それを今、ここで身をもって実感しているわけだ。


遺跡からはビーチに繋がる階段が伸びていて、
そこから降りて皆はビーチで海水浴を楽しんでいる。

水着こそ履いていたものの特に準備をしていなかった僕は、
とりあえずカリブの海に触れてみようと足をそっと浸す。
意外と勢いが強い波はあっという間に足を飲み込み、去っていく。

遠くにはボートの姿が見え水煙を上げながら滑るように走っていた。
遠くに見えた雲が少しばかりの雨を降らし、真っ青な空を残していった。


僕はいまカリブ海の中にいた。

2009年7月28日火曜日

世界一周(52)メキシコ/ホームレス In メキシコ











DATE:2009/07/28 Mexico - Chetumal -


朝がやがやと人の声で目覚めるのは慣れたことだったが、
それに朝日のまぶしさが加わるのは初めての事だった。


いやぁ、こりゃまじホームレスだわ。


メキシコ二日目。
芝生の上から起き上がったとき最初に思ったのはそんな事だった。



さーてクレジットカード取り戻しに参りますか。

ターミナルに止まったタクシーを捕まえて荷物を抱え、また町まで戻る。
しかし腹減った。小金はまだあるがもしもの為に取っておきたい。
ただいま所持金約3ドル。貧乏の極みである。


10時に来いと言われたATMの管理会社に9時半ごろ到着。

明日になれば。と言う言葉に一応は期待したが、
当然のごとく答えはやはり「銀行に行け」とのこと。

やっぱしそう来たか。
これ以上のたらいまわしは御免だ。
ともかく、この会社の電話番号と担当者を教えてもらい紙に書く。

これを持って後は銀行の担当者と話を付けてもらうしかない。
またもや荷物を抱えての行軍は続く。


銀行に到着し待ち行列に並び昨日の女性スタッフに話しかける。
めんどくさそうな顔をしていたが、管理会社の電話番号を渡すとしぶしぶ電話を始めてくれる。

さーて、後は待つばかり。

最悪の場合、本当にクレジットカードが戻ってこない可能性もある。
戻ってきたとしても1週間もかかると言われれば、諦めるという選択枝しかない。

実の話、別のクレジットカードは持っているし、
T/Cなどの代替手段もあるのでここで旅が終わりと言うこともない。

とはいえどちらも緊急事態として用意していたものだし、
T/Cなどは使い勝手も悪くあまり利用したくはないのが心情。

ここは無事にクレジットカードが戻ってくるのを祈るだけだ。


数分後、受話器の通話終了ボタンをピッと鳴らした彼女は、
やっと面倒が片付いたとばかりにこう言った。

「午後四時、管理会社に取りに行きなさい」


おっしゃ!どうにかセーフ。
無事にクレジットカードは戻ってくる(と思う)

が、しかしなぜに四時。
曲りなりとも利用者のトラブルなのだからすぐに解決するのが道理じゃね?
なんて思っても、そんな事はおくびにも出さない。

「お客様は神様です」なんて言葉は日本でしか通じないルールであることは知っている。
ここで気分を害されて、さっきのなしね。なんて言われたら最悪だ。



しかしまだ10時を回ったばかり。あと6時間もどうしたものか。

チェトマルの町は意外なほど発展した町で、
ベリーズから来た身としてはその差に驚くばかりだ。
正直言うと、ベリーズで一番大きい都市ベリーズシティよりも大きいような気がする。

国境のさして重要でもない町がこれだけの規模だと言うことは
メキシコと言う国は思ったよりもかなり発展した国らしい。

ちょっくら観光でもしますか。

と、無理やり荷物を持ったまま町を歩いてみる。

10分ほど歩けばカリブ海に出て、
エメラルドグリーンの海が光を受け蒼と碧の間に揺れている。

・・・ほんとなら別の町でこの海を見ているはずなんだけどなぁ。
そんな微妙な感情でその美しい海を眺めながら海岸沿いを歩く。

1キロほど先の灯台まで歩いてみると、
さすがに体力も限界でご飯を食べていないこともあって、
そこでしばらく休んで町まで戻った。


それでもまだ時刻は12時。
しかもこの町かなり暑い。
マクドナルドでも探してコーヒーでも飲んで涼みますか。と町をうろつく。

が・・・ない。マクドナルドがない。

これは予想外のことだった。
この規模の町でマクドナルドもバーガーキングもないのは、意外。
どこでもいつでもマクドナルド、のブランド価値はついに失われた。

いつもは無くてもどうでもいいはずなのに、
こんな時にそれがないのは結構いたい。
なにせエアコンが効いた店など銀行意外に見つからないのだ。

カフェもないな、、この町。

高層ビルが並ぶわけではないが、
そこそこ新しいショッピングモールなどが並ぶ町にしてはなんかアンバランスな感じもする。

仕方なしに歩道のベンチに座りただただぼーっと時を過ごす。
時折、店のドアが開けられたときに吹いてくるエアコンの風が愛おしい。

あぁ、、やっぱしホームレスみてー。

正直言うとホームレスに対する偏見や差別はまったく無いが、
自分がなってみると結構大変な生活であることがわかる。
そういうわけでちょっとだけリスペクトだ。
日本に帰ったらちょっとやってみたくもなった。




そんなわけでやっと4時になり無事カードを取り戻し、
管理会社のおっさんに水を恵んでもらい、
やっぱしメキシコ人って良いじゃんと思いながら今はもうバスの中。

びくびくしながら再度ATMでお金を下ろしチケットを購入。
結局、夜11時発のバスに乗り昨日の夜と同じ場所でバスを待ったのも良い思い出。

しかしやっぱご飯が食べられるってうれしい!

メキシコと言えばタコスでしょ~。
と、屋台に並んだタコスを頬張った。


さぁ、やっと。メキシコ本番始まりまっせ!

2009年7月27日月曜日

世界一周(52)メキシコ/腹ペコATM















DATE:2009/07/27 Mexico - Chetumal -


真っ青に晴れた朝。コバルトブルーの海岸。
エメラルドの波間。セロファンの煌き。


旅立つことに決めたキーカーカーの朝は3日間で最も美しく、
ここから去ることを躊躇わせる。

明日になればメキシコのカリブ海が待っている。
それはわかっていたが、青い空を溶かし込んだような海の色は、
旅人の足をゆるく繋ぎとめていた。


意を決してフェリーに乗り込み、キーカーカーの島を後にする。
遠くに去り行く島の姿。ボートの後ろに引かれた白い波の尾。
その全ての景色が脳みその宝箱に刻み込まれていった。


フェリーを降りてバスターミナルまで歩き、
メキシコの国境の町チェトマル行きのバスに乗り込んだ。

乗り込んだバスは旅人が通常使う直行バスではなく鈍行バス。
相変わらずのんびりなベリーズの景色を眺めながら一路北上を続ける。

そう言えばバスに乗る前にベリーズで働くという青年海外協力隊のメンバーに会った。
偶然僕の友達も今年からベリーズで同じように働くことになっていて、
なんだかそんな偶然に驚いたのであった。


チェトマル行きのバスの様子はなかなかに面白い。
大きな町ともなるとたくさんの売り子たちがどかどかと乗り込んできて、
威勢よく声を上げ商いを始める。
それはいつもの風景なのだが、彼らの使う言葉がある時からスペイン語に変わるのだ。

そう言えばバスに乗っている人たちの人種も
黒人ばかりだったのがいつの間にか中米らしい、いつもの人々の姿が増えている。

聞いてみるとベリーズも北や南の方に暮らす人々は、
スペイン語を日常的に利用しており文化も中米の典型的なものだそうだ。
もちろん英語もきちんと話せるがバスの中はやはりスペイン語が優勢のようだった。

今回はベリーズシティとキーカーカーしかいけなかったベリーズの意外な一面を見た気がした。
この国もどうやら様々な文化を包容しているようだ。
スペインではなくイギリスの文化と混ざった中米人。
いつかまたこの国を訪れたときにはそんな彼らの文化に触れてみたいと思った。


4時間ほどバスに揺られると国境までたどり着き、
バスはそのままベリーズ側のイミグレーションで停車した。

さて、さて。こっからが勝負の時。

すっかり忘れていたのだが実際のところ僕はいま不法滞在をしているのだ。
トランジットビザの有効期限はとうに切れてしまっている。
不法滞在の期間としてはたった2日だったが、それがどうなるのかはまったくわからない。

最悪罰金ぐらいで済むだろうなんて高をくくってイミグレーションを訪れる。

最初にまたもお高い出国税20ドル程度を払い、
何食わぬ顔で何も言わず管理官へパスポートを差し出す。

平常心。平常心。平常心。

その心の内では指摘された際の言い訳をぞんぶんに捻り出している。
結局のところは相手のせいにするしか逃げ場はない。
50ドルは払ったのだ。何かを言われればそれで突き通すのだ。


なんてことを考えながら数秒を過ごすと、
あっけなくパスポートには出国スタンプが押され何事もなくベリーズ出国となったのであった。

さすがベリーズ、入国も出国も適当だった。
何事もなかった事を喜ぶべきだったが、戦闘体制になっていた頭の中は、
ちょっぴり不満がのこった。


さぁ、後はメキシコのバスに乗りプラヤ・デル・カルメンという町を目指すだけ。
その町はカンクンの南に位置しダイビングやシュノーケリングスポットとして有名な場所だ。
ついにカリブ海に潜る。それを思うと笑みがにじむ。


メキシコ側のイミグレを抜け無事に入国。

後は乗ってきたバスにそのまま乗りバスターミナルに向かうだけだ。

メキシコの通貨がないのでいつものように国境のATMでお金を降ろす。
が、どうやらこのATMでは結構な手数料がかかる模様。
近々に必要なものではないので処理をキャンセルしてクレジットカードを取り出す。


・・・取りだ・・・せねぇ。カードが戻ってこない!!!


ついに。ついに来てしまった、ATMトラブル。
いや、可能性としてそういう事があることは知っていたのだ。
もちろんそれが自分の身に起きないとは思ってもいない。ありえる話だ。

が、、、なぜ国境で!

せめて町の中ならば宿泊先も決まっているだろうし、
オフィスもまた近くにあるだろうからどうにかなる。

ところが今は国境を越えたばかり。そこにあるのはATMのみだ。

しかも・・・現金ねーし今。

正確に言うと数ドル程度のお金はある。が、たった数ドルでどうにかなるわけではない。

ともかくどうにかしなくては。
近くに銀行のオフィスはやはり見つからずとりあえず近くの何かのオフィスに駆け込む。
スペイン語でなんて言っていいのかは見当も付かない。
ATM、NO SALIDA(ATM、ない、出発)と、
知っている単語を全て並べ、後は身振り手振りで状況を説明する。

たった一人で働いていた女性は最初は困惑していたが、
どうやら事情は飲み込めたらしく予想外にかなり親切にいろいろと対応してくれる。

ATMに書かれたコールセンターのナンバーに電話してくれ、
インターネットでオフィスの場所を探してくれたりもする。

やべぇ、メキシコ人最高じゃねーか。
なんてたった一人の親切にメキシコの旅への期待が高まる。
が、そんな事を考えてもクレジットカードが無ければ旅なんて始まりもしないのだ。

親切な彼女が説明してくれた内容では、
どうやら僕はチェトマル市内にあるHSBCのオフィスに行かなければならず、
ともかくそこで話を着けてからではないと、何事も始まらないようだった。

つーか銀行系のシステムにトラブルなんかありえねーだろ。
なんて考えるのは日本での常識なのだ。

仕事柄、その手のシステムについてはある程度知ってはいるが、
金融機関に関するシステムの稼働率はほぼ100%に近いのだ。
年に数秒停止する可能性があるか、無いかの確率。
それだけのコストをかけて作られるものでもある。

が、、、海外に出てみると至る所で「OUT OF SERVICE」の文字を浮かべた
ATMのディスプレイを見かけるし、使えると書いてあるサービスが使えないことなどしょっちゅう。
もちろんカードが出てこないなんて話もたまに聞く。

こんなところで海外の金融システムの常識にやられるとは思っていなかったが、
ともかく市内へと向かわなくてはならない。


しかーしだ。困ったことにお金がない。
バスターミナルに直行するはずだったバスはさすがにもう行ってしまっている。

こうなったらなけなしのお金を両替してこの場を凌ぐしかないようだ。
国境なのになぜか見つからない両替屋をようやく探し出し、
いくばくかの現金を持って町へと向かう。
タイムリミットは午後6時。時刻はすでに4時を回っている。
気持ちだけがはやる。

バスの運転手にHSBC銀行の場所を教えてもらい、
荷物を抱えたまま一目散にそこに向かう。

ドアを開け、久しぶりのエアコンの冷たい空気を味わい、
そんなこと考えてる場合じゃないと、客が席を空けた隙にするりとスタッフの前に立つ。

英語を話せるか?と聞いても、もちろん「少しだけ」との返答。
ともかく英語で状況を説明し、スペイン語で状況を話し、
最後に国境で親切にしてくれた女性が書いてくれたメモを渡す。

それでもよくわからないらしい彼女。
なんとそこに客としてきていた男性が助け舟を出してくれた。
どうやら彼は英語が話せるようで通訳をお願いする。


どうやら女性スタッフの彼女も状況は飲み込めたらしい。
詳しく状況を説明し、彼女の返事を待つ。
しばし考えた後、彼女は口を開きこう言った。

「状況はわかったわ。それはカードが壊れたのよ。新しいのを作りなさい」

違ーう!ATMにカードが吸い込まれてるのに、
なぜカードのせいにするのだ!?
それにカードはクレジットカード。HSBCで新しく発行などできるわけがない。

既にカードのせいにして納得している彼女をどうにか説得し、
ATMの修理会社に依頼してカードを取り出してもらうようにお願いする。
彼女いわく。

「うーん、でもあれは私たちの会社のものじゃないから無理よ。」

・・・いやHSBCって書いてあるんですが。
どうやら管轄が違うというか、管理会社は外部委託していることを言いたいらしい。
が、ATMの機械にでっかく自分の会社名が書かれているにも関わらず、
なぜにそんな事が言えるのだ?

ここで引き下がるわけにもいかず、じゃぁそこに連絡してくれと言うが、
近いから貴方が行って来てよ、なんて言葉が出てくる。

おぃおぃ、と思うがこのままじゃ埒が明かない。

ともかくそこの住所を教えてもらい行ってみる事にする。
重い荷物を抱えてのトラブル時恒例のたらいまわしが始まった。


何の会社かもわからず地名と名前だけを頼りにどうにかそこを探し、
硬く閉じられたドアを開けるべくブザーを鳴らす。

「なんですか?」

とマジックミラーの強化ガラス越しになにやら声が聞こえる。
・・・おい、出てもこないのかよ。

スペイン語も不得意なうえ、顔も見て離せないとなるとかなり難易度は高い。
ともかく銀行から言われて来たことと、カードが取り出せないことを説明し、
どうにか直ぐにATMを修理してもらいたいことを告げる。
ついでに緊急事態であることを伝えるため、「金がない」「おなかすいた」
と取り合えず知っているだけのスペイン語で涙ながらの訴え。
そんな必死さに鏡越しの声はこう答えた。

「それは銀行の仕事です。」

・・・。

あーそうだよ!知ってるよ、俺だって。

ともかく銀行から言われて来たんだって。そう告げて、どうにか相手を土壌に引きずり出す。
ようやく折れたのかドアから人が出てきて、交渉が始まる。
1人増え、2人増え、総勢4名になったときようやく英語が少し話せる人が出てきて事態が動き出す。
「ともかく今日、そのカードがなければどこにも行けないし、ご飯も食べられないんだって」
もうこうなったら泣き落とし作戦しかない。お金がない!を繰り返す。

「事情はわかったけど。。私たちじゃどうしようもないの。銀行のオーダーがあって始めて動けるのだし」

・・・そーですよねぇ。やっぱし。
当たり前としか言えない事を言われるとこちらとしてもこれ以上は突っ張れない。
しかも今日の営業時間はもう終わりらしく、
どちらにしても明日にならないとどうしようもないらしい。


・・・もはやここまでか。


午後6時を回った今、もう選択肢は残っていなかった。

となると明日を待つとして、これからどうするかを決めなくてはならない。
近くに安く止まれるところがないかを聞いてみるも、
50ドル程度が相場らしく、スタッフも他は知らないと言う。
そりゃそうだ、この町で暮らしていればそんなことを知る必要もない。

あ、そう言えばといってスタッフの一人が
「ここなら無料で泊まれるわよ」と1つの名前と住所を教えてくれる。

ここはどんなところ?と聞いてみても要領を得ない。
教会の施設かなにか?と聞いてもそれではないらしい。

さぁどうするか。この良くわからない怪しげな施設に行ってみるか。
それとも別の・・・。

考える。手持ちの現金は1箇所への往復分のタクシー代程度。
つまりは最初の行き先を失敗したら後がないのだ。

ここはやはり・・・。




と言うわけで今は涼しい芝生の上、街路灯の明かりの下、寝転がっている。

ここはバスターミナルの外、人もそこそこ賑わう場所。

やっぱり無料の宿泊所と言えばバスターミナルかエアポートなのだ。
ここなら人も多いし荷物さえ気をつけていれば安全に過ごせる。

しかしなんだ、ほんとホームレスみたいだこと。
少し気になる人の視線がなんだか少し面白い。


予想外のメキシコ第一日目だったが、まぁこれも悪くない。
たくさんの親切にも出会ったことだし。
トラブルなど慣れたものだ。どうにか出来る自信はある。



さていっちょ行きますか。
夜風に吹かれながらひとつ伸びをした。メキシコの風は心地良く体の熱を奪っていく。


中米最後の国、メキシコ編始まりです。

2009年7月26日日曜日

世界一周(51)ベリーズ/マナティは人魚と呼べるか否か



















DATE:2009/07/26 Belize - Caye Caulker -


マナティ、キター!!!!!!!

目の前をゆっくりと漂う巨大な生き物。
体長4メートルはありそうな巨躯をくねらせながら逃げることもなく、
ゆっくりと目の前を通り過ぎては戻ってくる。


人魚伝説があるところには必ずといって良いほどマナティが生息している。

それがマナティ人魚説の根拠となっているが、
実際のところマナティをシュノーケリングをしながら眺めてみると。

いやぁ、ブサイク。

これを人魚と言ってしまうならば世の中の男の夢の1つを無下にしてしまう。
でっかいアシカのような体にブルドックのような顔が付いた変な海の生き物。
それがマナティのシ真の姿。


それでもこれだけの大きな生き物が海の中を泳いでいる姿を見るとかなり感動する。
これだけでもベリーズに来たかいがあったというものだ。

そもそも今日のシュノーケリングツアーはかなり満足の行くものだった。

サメが見られるスポットでは到着したとたんにサメがボートを取り囲み、
さらにエイやカメなどの人気海洋生物に一度となく出くわした。

サンゴのポイントは波が高くそれほど透明度は無かったものの、
それでも15メートルは見渡せサンゴもまた美しかった。


それにしてもカリブ海の海は驚くほどにきれいだ。
風が強く曇りがちなコンディションであっても十分に満足できるほどの、
透明度と美しさを保っている。

海という概念を覆してしまうほど、
このカリブ海の海の色は驚くほど碧く蒼かった。


宿に戻りハンモックに揺られながらのんびりとビールを飲む。
そんなゆったりとした時間が流れるのもキーカーカーの良い所。

夕暮れ近くになりふらふらと海岸沿いを歩くとコテージや別荘なども見かけ、
今度来るときは海沿いでのんびりとこういうのも良いかもなんて思う。

砂だらけの道には電気で走るゴルフカートが島民の足として走っている。
夜中にも関わらず盛り上がる島民のサッカーを見ていたら、すっかり日は暮れていた。


そういえばこういうのんびりも久しぶり。

すっかり気に入っていたキーカーカーだったが、
明日この島を発つことを決めた。

そうだ次はメキシコが待っている。

今日もまたロブスターを食べる。
トルティーヤに詰められたタコスのようなロブスター。
それは明日から始まるメキシコの味をなぜか予感させた。

2009年7月25日土曜日

世界一周(51)ベリーズ/HEY! WHAT'S UP,MEN!?















DATE:2009/07/25 Belize - Belize City -


中米の小国ベリーズ。

ベリーズ。うーんどこでしょう。
そんな感覚が普通である、中米の小さな国ベリーズを訪れる。

その知名度からも想像がつくように、
ベリーズには特にこれと言っためぼしい観光地も資源もあるわけではない。

カリブ海側に位置する国であるため、ビーチはあるのだが、
それもまた特に開発が行われていないためまた微妙。
唯一の観光地は世界遺産にも登録されたベリーズ・バリアリーフで、
世界で二番目に大きいものらしいが、二番目というのもまた微妙。


が、そんなベリーズだがこの国の魅力はイミグレーションに入った瞬間にわかるのだ。


「HELLO!」

そう。ハロー。だ。Say HELLOだ。

何がなんだかわからない皆さん。
ここ中米ではスペイン語が共通語、
スペイン語の国々を通ってきた後だからこそ感動できるのかもしれない。
そうこの国の公用語は「英語」なのだ。


しかもさらにさらに。驚く無かれ、管理官全員、


アフリカ系ブラックメン&ウーメン。


中米に暮らす人々はモンゴル系原住民とスペイン人の混血。
アジア系だからだろうか背も小さく親近感も沸く人種なのだが、
それがいきなり黒人へと変わるのだ。

アジアやヨーロッパを旅していると、
国境を越えたとたんに人種が変わったり言葉が変わったりと、
何かしら国が変わったという感じがするものだったが、
こと中米に置いては人種もさほど変わらず言葉もスペイン語、
さらには景色さえもほとんど一緒と国境越えによる刺激は酷く少ない。

が、ここベリーズはそういう意味で言うとずば抜けて変化に富んでいる。

入国のビザ代が日本人だけ50ドルもすることや、
他の中米諸国に比べて物価が少しばかり高いことなんて気にすることは無い。

この変化が味わえただけでもう十分ベリーズには満足なのだ。


という訳で無事ビザも取得しベリーズへの入国は完了。
グアテマラ、フローレスからベリーズシティへの直行バスは、
ほとんど人の住んでいない道をひたすらまっすぐに走っていく。

時たま見かける村の雰囲気は中米というよりも、
映画に出てくるようなアメリカの田舎のような雰囲気。
走り回る黒人の子供たちがなんだか無性に可愛い。


そんなのーんびりとした風景がベリーズの魅力なのかもしれない。
いつもののんびりより、ひと回り上ののーんびり。

そんなのんびりの車窓を眺めパスポートをペラペラやっていた時の事だった。


・・・おい、トランジットビザになってるじゃんか。

なんと滞在日数1日のトランジットビザ。
のんびりもしていい時と悪いときがあるだろう、イミグレよ。

しかし困った。滞在は4日ほどの予定。
トランジットビザでの滞在は正直明らかな「不法滞在」なのだ。

考える。が対策はほとんど限られている。


その1:戻ってイミグレに文句を言う
その2:ごまかす
その3:無かったことにする


車は既に国境から走り出して1時間ばかり。
どこかの町で降りて別のバスか何かで引き返すことは可能だが、
そうなると今日一日の予定を大幅に変更しなくてはならなくなる。

1日と書かれた日付を7日とかに書き換えてしまうこともできる。
が、これこそ不法滞在を超えた犯罪行為。やれなくもないが、かなりの難関。

そもそもいい加減なイミグレのせいでもあるのだから、
そのいい加減さを利用して知らなかったことにして出国してしまう、
そんな手もあるのだが、これはまさに運次第。なかなかにチャレンジャブル。


迷っている間も車はどんどんと走っていく。
こんな悩みを抱えようが車窓の風景は変わらずのんびりだ。

そんな景色を眺めているとついに決心がついた。
よし、、、、無かったことにしよう!

そうだ。そうだ。知らなかったと言えば、どうにかなる。
なるに決まってる。つーかどうにか口八丁でごまかすのだ。

そうと決まれば心は軽い。
心のどこかでビザに使われたのと同じ青いボールペンをどうやって手に入れるか、
なんてことを考えている自分もいるが、まぁそれは最後の手段。

そんなこんなで不法滞在者未満を連れたバスは田舎道を走りぬけ、
ベリーズシティへとたどり着いたのであった。



たどり着く前は単なるどこかの地方都市だと思っていたこの町が、
実はベリーズで最も大きな町、ベリーズシティだと知って驚いた。

中米の首都もまた小さな町が多かったのだが、
ここベリーズシティは正直ずば抜けて小さい。

日本ならば県で3番目に大きな町。
そのぐらいの中途半端な大きさの規模の町。

歩いてみれば大通りにスーパーが1軒あるのみで、
後は商店街が並び、衣料やら文房具やらを売っている。

スーパーの食材はそう多くない。
それはこの国の食文化はそれほど豊かではない事を示している。
なぜか調味料だけが豊富だったがもしかしたら調理法は多いのかもしれない。

ちなみにベリーズの通過はベリーズドル。
ベリーズドルは米ドルに対して固定相場を取っていて、
2ベリーズドル=1米ドルになり、国内では米ドルも普通に使われている。
買い物になるとお釣が米ドルになったりベリーズドルになったりと、
頭が混乱しそうだがそれはそれでなんだか面白い。


それにしても小さな町。住民がみな知り合いになれそうなほどに。



が、そのびっくりするぐらいの小さな町もこれが結構面白い。

やっぱりブラザーなのだ。その面白さは。
しかもこの国に暮らす黒人たちはみなジャマイカから渡ってきた元ジャマイカンたち。
町中にはやはりレゲエの音が流れ、ボブ・マーリーのグッズも売られている。

アメリカの黒人のようなスタイルではなく、
ドレッドやアフロといったレゲエスタイルの住民たち。

正直、黒人が暮らす街というのは初めてなので見ているだけで面白い。

彼らの使う英語もなんだか特徴のある英語で、
ゆったりとした酔っ払いのような英語を話す。

そんな英語で友と語り合う姿はなんだか様になりカッコ良い。

この国は治安も悪くないそうで、
確かに都市にも関わらずそれほど危ない雰囲気はしてこない。

とは言え、街を歩けば変な詩人にたかられるし、
ちょっと海沿いを歩けば青年に追いかけられるし、
中米の他の町と比べれば危険ではないのは確かだが、
日曜日の人気のない街を無防備に歩け回れるほどではないようだ。


小さ過ぎるほど小さな町なので3時間ほどでだいたいは見て回ってしまい、
予定を2時間ほど繰り上げてボートでカリブ海に浮かぶ島、キーカーカーへと向かった。


そうカリブ海なのだ!

初のカリブ海に心は躍る。
天気は生憎曇り空だったが、ベリーズシティを飛び出たボートは、
驚くほどの透明度の真緑の海の中を走っていく。

さすがカリブ海。と言うしかない。
この海の美しさは飛びぬけている。
僕が見た世界の海の中でここが最も美しい海だった。

初めて見るカリブ海の美しさに興奮しながら海を眺めていると、
1時間弱の航海はあっという間に終わりを告げていた。


キーカーカー。キーとは島を意味する言葉。つまりはカーカー島という訳だ。

ベリーズ・バリアリーフのダイビング、シュノーケルを楽しむ島としては、
このキーカーカーとサンペドロが有名だ。

キーカーカーはどちらかと言うとバックパッカー向け、
サンペドロはリゾート観光客向けと言ったところ。


キーカーカーの島の大きさは1キロもない。
それがある意味では一番の魅力で、何もない小さな島でのんびりまったり。
そんな島へと僕はたどり着いたのであった。

急いで宿を決め、明日のツアー探しを始める。

この島ではダイビング、そしてシュノーケリングの両方を楽しむつもりだ。
ブルーホールという海に空いた丸い穴、そしてサンゴ礁。
それがここでのダイビングの一番の魅力だったが、
シュノーケリングもまた人魚の正体と言われるマナティが見られるのだ。

キーカーカーの砂で出来た道をのんびり歩きながら、
観光がてらツアー会社を回ってみる。

が、、予想外にダイビングの料金が高い。

ダイビングポイントが外洋にあるため高くなるのは仕方ないのだが、
この辺りでは最も高いだろう190ドル。
3ダイブでこの価格はオーストラリアのグレートバリアリーフよりも高く、
この旅では最も高い値段設定。
シュノーケリングが1日40ドル程度と考えると、
どう考えても値段設計に欲が感じられる。

そんなわけでダイビングは一時お預けにして、
明日はシュノーケリングでマナティ&サンゴ礁を見に行くことにした。
シュノーケリングで様子を見てダイビングに価値がありそうならば、
明後日またチャレンジしてみることにしよう。



まだ日が暮れる前だったので島を一周してみようとのんびりと端っこに向かって歩いてみる。
30分ほど歩くとあっという間に端っこは訪れて折り返し地点になった。

島の逆側には夕日が沈みかけていてマングローブの木の陰が浮かぶ海辺に、
ゆらゆらとオレンジ色の丸い光が波に千切れながら浮いていた。

夕食に40センチはありそうなロブスターにガブリと食らいつく。

うめ~!!!


その頃にはすっかり明日からは不法滞在になることなんて忘れていた。

そんな訳でベリーズ編、はじまりはじまり。