2009年7月25日土曜日

世界一周(51)ベリーズ/HEY! WHAT'S UP,MEN!?















DATE:2009/07/25 Belize - Belize City -


中米の小国ベリーズ。

ベリーズ。うーんどこでしょう。
そんな感覚が普通である、中米の小さな国ベリーズを訪れる。

その知名度からも想像がつくように、
ベリーズには特にこれと言っためぼしい観光地も資源もあるわけではない。

カリブ海側に位置する国であるため、ビーチはあるのだが、
それもまた特に開発が行われていないためまた微妙。
唯一の観光地は世界遺産にも登録されたベリーズ・バリアリーフで、
世界で二番目に大きいものらしいが、二番目というのもまた微妙。


が、そんなベリーズだがこの国の魅力はイミグレーションに入った瞬間にわかるのだ。


「HELLO!」

そう。ハロー。だ。Say HELLOだ。

何がなんだかわからない皆さん。
ここ中米ではスペイン語が共通語、
スペイン語の国々を通ってきた後だからこそ感動できるのかもしれない。
そうこの国の公用語は「英語」なのだ。


しかもさらにさらに。驚く無かれ、管理官全員、


アフリカ系ブラックメン&ウーメン。


中米に暮らす人々はモンゴル系原住民とスペイン人の混血。
アジア系だからだろうか背も小さく親近感も沸く人種なのだが、
それがいきなり黒人へと変わるのだ。

アジアやヨーロッパを旅していると、
国境を越えたとたんに人種が変わったり言葉が変わったりと、
何かしら国が変わったという感じがするものだったが、
こと中米に置いては人種もさほど変わらず言葉もスペイン語、
さらには景色さえもほとんど一緒と国境越えによる刺激は酷く少ない。

が、ここベリーズはそういう意味で言うとずば抜けて変化に富んでいる。

入国のビザ代が日本人だけ50ドルもすることや、
他の中米諸国に比べて物価が少しばかり高いことなんて気にすることは無い。

この変化が味わえただけでもう十分ベリーズには満足なのだ。


という訳で無事ビザも取得しベリーズへの入国は完了。
グアテマラ、フローレスからベリーズシティへの直行バスは、
ほとんど人の住んでいない道をひたすらまっすぐに走っていく。

時たま見かける村の雰囲気は中米というよりも、
映画に出てくるようなアメリカの田舎のような雰囲気。
走り回る黒人の子供たちがなんだか無性に可愛い。


そんなのーんびりとした風景がベリーズの魅力なのかもしれない。
いつもののんびりより、ひと回り上ののーんびり。

そんなのんびりの車窓を眺めパスポートをペラペラやっていた時の事だった。


・・・おい、トランジットビザになってるじゃんか。

なんと滞在日数1日のトランジットビザ。
のんびりもしていい時と悪いときがあるだろう、イミグレよ。

しかし困った。滞在は4日ほどの予定。
トランジットビザでの滞在は正直明らかな「不法滞在」なのだ。

考える。が対策はほとんど限られている。


その1:戻ってイミグレに文句を言う
その2:ごまかす
その3:無かったことにする


車は既に国境から走り出して1時間ばかり。
どこかの町で降りて別のバスか何かで引き返すことは可能だが、
そうなると今日一日の予定を大幅に変更しなくてはならなくなる。

1日と書かれた日付を7日とかに書き換えてしまうこともできる。
が、これこそ不法滞在を超えた犯罪行為。やれなくもないが、かなりの難関。

そもそもいい加減なイミグレのせいでもあるのだから、
そのいい加減さを利用して知らなかったことにして出国してしまう、
そんな手もあるのだが、これはまさに運次第。なかなかにチャレンジャブル。


迷っている間も車はどんどんと走っていく。
こんな悩みを抱えようが車窓の風景は変わらずのんびりだ。

そんな景色を眺めているとついに決心がついた。
よし、、、、無かったことにしよう!

そうだ。そうだ。知らなかったと言えば、どうにかなる。
なるに決まってる。つーかどうにか口八丁でごまかすのだ。

そうと決まれば心は軽い。
心のどこかでビザに使われたのと同じ青いボールペンをどうやって手に入れるか、
なんてことを考えている自分もいるが、まぁそれは最後の手段。

そんなこんなで不法滞在者未満を連れたバスは田舎道を走りぬけ、
ベリーズシティへとたどり着いたのであった。



たどり着く前は単なるどこかの地方都市だと思っていたこの町が、
実はベリーズで最も大きな町、ベリーズシティだと知って驚いた。

中米の首都もまた小さな町が多かったのだが、
ここベリーズシティは正直ずば抜けて小さい。

日本ならば県で3番目に大きな町。
そのぐらいの中途半端な大きさの規模の町。

歩いてみれば大通りにスーパーが1軒あるのみで、
後は商店街が並び、衣料やら文房具やらを売っている。

スーパーの食材はそう多くない。
それはこの国の食文化はそれほど豊かではない事を示している。
なぜか調味料だけが豊富だったがもしかしたら調理法は多いのかもしれない。

ちなみにベリーズの通過はベリーズドル。
ベリーズドルは米ドルに対して固定相場を取っていて、
2ベリーズドル=1米ドルになり、国内では米ドルも普通に使われている。
買い物になるとお釣が米ドルになったりベリーズドルになったりと、
頭が混乱しそうだがそれはそれでなんだか面白い。


それにしても小さな町。住民がみな知り合いになれそうなほどに。



が、そのびっくりするぐらいの小さな町もこれが結構面白い。

やっぱりブラザーなのだ。その面白さは。
しかもこの国に暮らす黒人たちはみなジャマイカから渡ってきた元ジャマイカンたち。
町中にはやはりレゲエの音が流れ、ボブ・マーリーのグッズも売られている。

アメリカの黒人のようなスタイルではなく、
ドレッドやアフロといったレゲエスタイルの住民たち。

正直、黒人が暮らす街というのは初めてなので見ているだけで面白い。

彼らの使う英語もなんだか特徴のある英語で、
ゆったりとした酔っ払いのような英語を話す。

そんな英語で友と語り合う姿はなんだか様になりカッコ良い。

この国は治安も悪くないそうで、
確かに都市にも関わらずそれほど危ない雰囲気はしてこない。

とは言え、街を歩けば変な詩人にたかられるし、
ちょっと海沿いを歩けば青年に追いかけられるし、
中米の他の町と比べれば危険ではないのは確かだが、
日曜日の人気のない街を無防備に歩け回れるほどではないようだ。


小さ過ぎるほど小さな町なので3時間ほどでだいたいは見て回ってしまい、
予定を2時間ほど繰り上げてボートでカリブ海に浮かぶ島、キーカーカーへと向かった。


そうカリブ海なのだ!

初のカリブ海に心は躍る。
天気は生憎曇り空だったが、ベリーズシティを飛び出たボートは、
驚くほどの透明度の真緑の海の中を走っていく。

さすがカリブ海。と言うしかない。
この海の美しさは飛びぬけている。
僕が見た世界の海の中でここが最も美しい海だった。

初めて見るカリブ海の美しさに興奮しながら海を眺めていると、
1時間弱の航海はあっという間に終わりを告げていた。


キーカーカー。キーとは島を意味する言葉。つまりはカーカー島という訳だ。

ベリーズ・バリアリーフのダイビング、シュノーケルを楽しむ島としては、
このキーカーカーとサンペドロが有名だ。

キーカーカーはどちらかと言うとバックパッカー向け、
サンペドロはリゾート観光客向けと言ったところ。


キーカーカーの島の大きさは1キロもない。
それがある意味では一番の魅力で、何もない小さな島でのんびりまったり。
そんな島へと僕はたどり着いたのであった。

急いで宿を決め、明日のツアー探しを始める。

この島ではダイビング、そしてシュノーケリングの両方を楽しむつもりだ。
ブルーホールという海に空いた丸い穴、そしてサンゴ礁。
それがここでのダイビングの一番の魅力だったが、
シュノーケリングもまた人魚の正体と言われるマナティが見られるのだ。

キーカーカーの砂で出来た道をのんびり歩きながら、
観光がてらツアー会社を回ってみる。

が、、予想外にダイビングの料金が高い。

ダイビングポイントが外洋にあるため高くなるのは仕方ないのだが、
この辺りでは最も高いだろう190ドル。
3ダイブでこの価格はオーストラリアのグレートバリアリーフよりも高く、
この旅では最も高い値段設定。
シュノーケリングが1日40ドル程度と考えると、
どう考えても値段設計に欲が感じられる。

そんなわけでダイビングは一時お預けにして、
明日はシュノーケリングでマナティ&サンゴ礁を見に行くことにした。
シュノーケリングで様子を見てダイビングに価値がありそうならば、
明後日またチャレンジしてみることにしよう。



まだ日が暮れる前だったので島を一周してみようとのんびりと端っこに向かって歩いてみる。
30分ほど歩くとあっという間に端っこは訪れて折り返し地点になった。

島の逆側には夕日が沈みかけていてマングローブの木の陰が浮かぶ海辺に、
ゆらゆらとオレンジ色の丸い光が波に千切れながら浮いていた。

夕食に40センチはありそうなロブスターにガブリと食らいつく。

うめ~!!!


その頃にはすっかり明日からは不法滞在になることなんて忘れていた。

そんな訳でベリーズ編、はじまりはじまり。

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