DATE:2009/07/05 Colombia - Bogota -
ともかくまずはホテルを移動しようと、明るくなった朝の街を地図を片手にうろうろと歩いた。
これから中米に向けて出発するための情報収集をしなくてはならないし、
それにこのホテル、シャワーが水で浴びられたものではない。
キトに引き続きやっぱり肌寒いボゴタの街。
若干値段は割高だがバックパッカーが集まる宿に移り、
熱々のホットシャワーと久々のWifiインターネットを手に入れた。
コロンビアのボゴタという街。
せっかくだから来てみたもののこの街に特に見所があるわけでもない。
が、この街では一つ目的があった。
それは旅で出会った友に会うことだった。
そもそもの出会いはマチュピチュでの帰り道、
歩いてマチュピチュから下山する際に出会ったコロビア人の二人組みだったが、
一緒にいたのはその数十分の間だけで、それを友と呼んで良いのかも微妙だが
なんだかんだで連絡を取り合いこの街で再会を果たすことになったのだ。
ボリバー広場で待ち合わせ、彼らと久しぶりに再会をした。
彼は英語が苦手だったし、僕もまたスペイン語が話せないため、
英語とスペイン語ごちゃまぜのひどい会話だったがそれでも何かと楽しいのが旅の出会い。
久々の再会を喜び合い、まずはとコロンビア料理のレストランで食事をすることにした。
ボゴタの街並みを歩いてみると、
他の南米諸国と同様にヨーロッパ風の街並みが続いている。
さして美しいわけでもないが、至る所に見えるくすんだ石の色がこの街の歴史を感じさせた。
今日は日曜日ということもあって人通りであふれている。
ボリバー広場から続く街のメインロードは日曜日限りで歩行者天国となっていて、
車の通らない真っ直ぐな道をたくさんの自転車が走っている。
聞いてみると日曜限りのサイクリングのようでボゴタの休日の一シーンのようだった。
ボゴタの街は安全なの?と聞いてみると、
この街で暮らす彼らは「もちろん。街の中は安全さ。地方は危険なところも多いけれどね」と言った。
彼らによると現大統領に変わってからの治安はかなり改善されてきているようで、
10年前と比べるとだいぶ良くはなってきているらしい。
が、きっとそれはコロンビア人の実感値であり、
僕にはやはりこの街が南米で1,2を争う危険な街のように感じられる。
通りを歩く浮浪者の数、そしてその人々の目。
南米で最も危険な国の一つ、ブラジルで感じた刺すような彼らの存在を
至る所で感じるこの街はやはりどう考えても安全とは思えない。
もちろん現地の人が持つリスクと旅行者が持つリスクでは、
雲泥の差があるのでなんとも言えないが、どんなに街を歩いてもこの街への警戒心は消えることはなかった。
レストランで彼らの友達ともう一人合流し、久々の会話で盛り上がる。
そう言えば人と最近まともに話すことが少なくなってきているかもしれない。
1年も続ければ旅の話もめんどうになり始めていたし、
かと言ってそれ以上の会話をする英語力も持ち合わせていないため、
なんだかこう誰かと話すのが億劫だったのだ。
でもしかし、やはり誰かと一緒にいるというのは楽しいものだなぁ、と他人事のように思った。
一人では決して使わない脳みそのある部分を話すことで刺激している気がする。
誰かに何かを伝え、聞き出し、笑わせるという会話という行為は、
人間に与えられた一つの快感のひとつだと思った。
ボゴタ名物の鶏肉のにんにくスープ、らしきものを食べた後は、
僕のたっての希望でコーヒーを飲みに行くことにした。
コロンビアで唯一果たさなくてはならないことをあげろと言えば、
それはコーヒーを飲むことだろう。
日本でもそれほどコーヒーを飲むことがない僕でも、
コロンビアのコーヒーが有名なことぐらいは知っている。
彼らお勧めのカフェに連れて行ってもらい、1杯のコーヒーをご馳走になる。
うまい!と思わず彼らに親指を突き出した。
さすが原産国。香り、そして味、さすがさすがさすが。
世界の中でいままでおいしかったコーヒーといえば、
ベトナム、フランスぐらいのもので、
他の国ではコーヒーと呼べるかも怪しい代物が出てくることもあった。
南米のコーヒーもまた同じようなもので、
ボリビアのコーヒーなど、飲んだ人によれば砂糖で味を消さなければ飲めないほどだそうだ。
すっかりコーヒーに満足した僕は、
なかなか見ごたえのある美術館を彼らに案内され、
教会に行かなくてはならないという彼らと暗くなる前に別れた。
ボゴタという街にはあまり魅力を感じないが、
それでも友がいる街というのはそれだけでいいものだ。
夜の帳が下りる前に食事を済ませて宿に帰り、さてやるかとパソコンの画面を開いた。
あと2日もすれば、僕はもう中米へと旅立っている。
インターネットでパナマまでのフライトを調べ、
中米各国の情報を集め始めると気持ちはすぐに南米を離れていった。
日曜日にも関わらず意外にも静かな外の音にひっそりと耳を傾ける。
やはり聞こえない物音に誰も歩かぬ暗い歩道が脳裏に浮かぶ。
音のせぬ外の世界に刃のような冷たさを感じ、
冷え込んだ夜と共に少し僕は身震いをした。
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