2009年6月30日火曜日

世界一周(44)エクアドル/僕は今、地球の真ん中



















DATE:2009/06/30 Ecuador - Quito -


朝靄の中たどり着いたバスから見るキトの町は何の変哲のない町に見えたが、
遠くに見える旧市街の白い町並みが少し心を躍らせた。

適当な宿を探した後にしばしもう一度仮眠を取り、
町に出たのは午後近くなった11時頃だった。


ガラパゴスからキトへ。
人工物あふれるこの町に意外なほどに戸惑いはない。
たかが1週間で感覚が変わるわけもないのか、
それとも何十年も暮らした人間の町並みが体に染み付いているのか、
久々にあふれる車と人とビルの中、むしろ落ち着いている自分がいた。

エクアドルの首都キトの町は、
世界遺産にも登録されたコロニアルの町並みで有名だ。

南米に半年近くもいるとこのコロニアルという奴には正直もう飽き飽きしているが
それでもやはりキトの町並みは中々に美しいと思ってしまう。
特にキトの町は白い建物が多く真っ白な建物に石畳の道はやはり映えるものだ。

旧市街は元からある小さな商店が多いのかお土産やでもない、
普通の雑貨屋やパン屋などが世界遺産の町並みに軒を並べている。
美観保護の為か全てのお店の看板は統一されたフォントの鉄製。
ケンタッキーも小さな商店もみな同じ看板なのが面白い。


旧市街の中でも面白いのが教会で、上を見上げると美しい模様で彩られた天井が、
木の風合いを生かした幾何学模様を展開している。

丘の上にある新しい教会はゴシック建築のかなり大きなものだったが、
茶目っ気なのか雨樋がみな動物の姿でカメやイグアナなんかの形をしている。

ペルーのリマでも思ったが南米北部の教会は面白い。
侵略されて作られたものであるはずなのにその土地それぞれに特色があるのだ。
キリスト教と単に言ってもカトリックやプロテスタントと様々なように、
その信仰のスタイルもまたその土地独自のものであるようだ。


町を歩き回り教会めぐりをしているとあっという間に、
キトの町の旧市街を横断してしまう。
それほどに小さな町だった。

旧市街の隣には新市街もある。
またその周辺には住宅地などが切り開かれている。
それを全部合わせても人口は100万人程度。
一国の首都とはいえ、それほど大きな町ではない。


そう言えば今は赤道直下の町にいるはずだ。
が、何を隠そうキトの町は以外にもかなり寒い。

赤道直下の町なんて真夏に暖房を入れたような狂おしい程の暑さだと思っていたのだが、
ここキトは山間に作られた町で高度はなんと2850メートルもあるのだ。
知らずに歩いていたが、どうりで息が切れるはずだった。


観光も終えぶらぶらと帰り道。
政府機関の前で百人ほどの人が集まりデモをしている姿がある。
どうやら世界中どこにでも主張や不満はあるようだった。

デモの集団を眺めていると面白いことに気づく。
キトではなんと男性も民族衣装を着ているのだ。
ボリビアやペルーでは多くの民族衣装を身にまとう女性の姿を見たが、
男性はなぜかジーパンにジャケットと言った洋服姿。

それがここキトではポンチョにシルクハットのような帽子をかぶった男性がいる。
世界でも男性は洋服であることが多いため、これはかなり珍しい。
その姿が面白くスペイン語で繰り返されるデモの主張はさっぱりわからなかったが、
しばらく集まる人々の姿をゆっくりと眺めた。


日が暮れる前に宿へと戻り、帰りがけに買ったパンを食べる。

あ。うまい。

思いがけずおいしいそのパンの味に、
単純ながらキトもまぁ悪くない。なんて再評価をしてみたり。


小さな小さな赤道直下の町、キト。

僕は今、地球の真ん中に立っている。

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