DATE:2009/06/17 Peru - Lima -
そうかペルーの北にはこんな景色が広がっていたのか。
来るときには夜だった場所を朝日を浴びて走ると、
思いがけず美しい風景に目を奪われた。
いつもと違い海が右側に見えている。
その海とアスファルトの道路の間にうねうねと続く砂丘が続いている。
それは今まで見たことのない奇妙な砂のうねりで、
この景色が見れたのならこの憂鬱な旅も悪くないかもな、と思えたほどだ。
同じ道だとて二度と同じ景色はない。
夜になれば夜の景色があり昼になれば昼の景色がある。
雨もあれば太陽が降り注ぐ暑い一日もある。
そんな当たり前のことを思い出させてくれた景色だった。
とはいえ何もやることのないバスの中は憂鬱でいっぱいだ。
一晩たったからか強盗に襲われた記憶がよみがえり、
独りそれを思い出し、いくつものシュミレーションを繰り返す。
あの時こうしていれば。
それが意味のない事はわかっていても頭の中はそれで溢れていった。
だがどんなにシュミレーションを繰り返しても、
結局のところそれは運任せでしかなく、
どんな攻撃をしてもそれが効果があるかも不確実だったし、
そもそも複数で襲われていればそんなことは無意味でしかなかった。
つまりは「危険な場所には近寄らない」というセオリーが最も正しく、
それ以外の方法はどんな場合でも「たられば」の話にしかなかった。
それよりも自分が無事でいること自体を感謝するべきかもしれない。
強盗に襲われたら抵抗をしない。
それがセオリーだったし、実際に襲われたいまではそれが正しい選択だという事がわかる。
実際、僕が無傷でここにいるのは奇跡に近いのだ。
パスポートやクレジットカードなど他の貴重品もあったにも関わらず奪われたのはカメラだけだった。
それだけでも運が良かったと思うべき事件だったのだ。
事もあろうか追いかけて戦ってしまった自分を少し戒めた。
この国では命など簡単に奪われてしまうのだ。
命さえあれば何だってできるのに。
リマ行きのバスは18時間の道を延々と走り続け、やっとの事でリマへとたどり着いた。
出発が1時間以上遅れた為かそれとも休憩が長かったのか、
午後5時に着くはずのバスがたどり着いたのは既に夜の8時を回った後だった。
これじゃ夜行に乗った意味、まったくなし。
なんてぶーたれてばかりはいられない。
夜だったのでタクシーで以前泊まった宿へと向かい何日ぶりかの帰還を果たした。
駒は振り出しに戻った。
後はやることをやってさっさとグアヤキルへリベンジだ。
バス移動の疲れもあってかベッドに横になるとすぐに眠りが訪れた。
ま、ともかく生きてて何より。
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