DATE:2009/05/31 Peru - Lima -
アヤワスカ。
その聞きなれぬ、と言うより聞いたこともない言葉に僕が出会ったのは最近の事だった。
ジャングルに生きるシャーマンの儀式薬。
それがアヤワスカに対する大まかな説明だった。
最初に知っていたのは今は別々に旅をしている相方だったし、
アヤワスカと言う言葉自体はマチュピチュでも時たまガイドが話している事を聞いたことがある。
その怪しげな言葉に興味はあったものの、
今回の旅では特に意識はしていなかったし、実際に体験する事はないと思っていた。
事実この薬は一部では「最強のドラッグ」として知られているのだ。
LSDの50倍と言われるアヤワスカの幻覚作用の強さは、
神聖なシャーマンの道具というよりは、その効き目の方で有名になっているようだった。
正直言うとドラッグ自体にはあまり興味がない。
確かに1度ぐらいは試してみたいという好奇心はあるものの、
それに対しての欲望自体はまったくといってない。
そもそも、そんなものがなくたって十分ハッピーなのに、
なんのために必要とするのかが不思議なくらいだ。
世界は十分楽しみに溢れている。僕にはそれで十分だった。
が、僕はいまジャングルへの道、つまりはアヤワスカへの道を走り出している。
予定にはないルート。
もちろん時間に余裕があるわけでもない旅のスケジュール表。
それでも僕がそこを目指すのはいくつかの理由があった。
1つは既に相方が向かっていて何やら素晴らしい体験をしていること。
もうひとつは、この旅にもう少し特別な体験を求めていた矢先であったこと。
正直、町や世界遺産を巡る旅も1年も経てば特別感が薄れてくる。
南米の自然は驚きの連続だったが、これから先楽しみと言えばガラパゴスぐらいだ。
何か別の、普段の自分では思いもつかないような所へ行ってみたかった。
この旅にしかない特別をわかりやすい形で求めていた。
「watashiwa kamitoiu sonzaiwo rikaisimasita」
そんなローマ字だらけのメールが届いたのはそんな時だった。
なんじゃそりゃ!!!
神だろうが悪魔だろうが信じちゃいないが、
これはとても特別なことが起きている。ただのドラッグには無い何かがある。そう直感した。
それにもう一つ、気になる言葉もある。
「アヤワスカは呼ばれていないと体験する事はできない」
よーし、行ってやろうじゃねーか、アマゾン。試してやろーじゃねーかアヤワスカ。
そんな訳でいまはもうバスの中。
ついに晴れることの無かった、薄暗い夕方のリマの町をゆっくりと抜け出した。
ジャングルの奥地での1週間の未知の世界。
未知の中に踏み入れる心地良い恐怖と期待感。
旅を始めたばかりのような、そんな快感が久しぶりに満ちていった。
0 件のコメント:
コメントを投稿