2009年5月29日金曜日

世界一周(43)ペルー/強盗と追悼











DATE:2009/05/29 Peru - Lima -


残念だが今日もまた曇りのようだ。

とは言えこの街に長居するわけでもないので、
今日もまた観光三昧の日々に街へと出かけるのであった。


リマの街。旧市街は世界遺産にも登録されているのだが、
今まで同様、南米の町の世界遺産登録基準は不明確で、
悪くはないが別にこれといって良くもない街並みが広がっている。

スペイン統治時代の建物、コロニアルな町並み。そして教会。いつもの通りだ。


そんな旧市街は今では商業の中心にもなっているようで、
いくつかの高層ビルと共にショッピングセンターが軒を連ねている。

そんな街を歩いていた時のことだった。




!!!!!!!!


後ろから来ただろう男の行動に最初は「え?」としか思えなかった。

なんとその男、白昼堂々僕のズボンのポケットに手を入れて、
携帯電話を持ち去っていったのだ。

!?、と最初は意味がわからなかったが、
どうやら携帯電話が盗まれているのだという事らしい。
ともかくその男を追わなくては。

そう思い、まだ目と鼻の先にいる男を追いかける。
街の人の声を引くように声を出して、その男を追いかける。

そもそも小太りのおっさん。しかも街には人が多いとあって、
どう考えても逃げ切れるわけもない。

すぐに彼に追いつくと、彼は仕方なさそうに携帯電話を道に置いて逃走を続ける。


逃がすわけないじゃん・・・。

と携帯電話を拾うと、そのまま彼を追いかけ、すぐに彼を追い詰めた。

壁際でうろうろする中年のおっさん。さてどうしたものか。

ともかく警察を呼べ、と辺りの人に呼びかける。とその時だ!


ギュルルルる!と音を立ててネイビーのバンが目の前に止まった。

何だ!?と思う間もなく、何者かがそこから飛び出してくる。

2人組の男、車の中にはまだ誰かが乗っているらしい。

そしてそれよりもまず目に付いたのは、、、


銃!!!!


やばい!と思う間もなく銃を手にした男は、、、なんと盗みをした中年のおっさんを車へと押し込んだ。

もう一人は僕の前に来て何やらまくし立てている。
なんなんだよ!と僕はたまらず彼に怒鳴り散らす。

車と同じくネイビーの制服を着た彼らは警察に見えなくもないが、
どう考えても警察のやり方には見えない。

なんだ!なんなんだ!

と、僕が言い続けているうちに、あっという間に彼らは中年男をバンに押し込み、
そのまま急発進でどこかへと連れ去っていった。


で・・・いったい何?


今起きた出来事がまったく理解できない。
特に何か盗られた訳でも怪我をしたわけでもない。
ただ中年のおっさんが武装集団に連れ去られた、それだけだ。
が、いったいなんなんだ!

騒ぎが収まったからか街の人々も声をかけてくる。
その中の誰かが「あれはポリスだ」と言っていたが、そんなポリスはいるわけがない。
仕方なくその場所を後にしたが、なぜか付いてくる男がいて、
「ポリスに行こう」とどこかに連れ去ろうとしたが、
まぁこれも何かの手口だと直感し、ありがとうと言って振り切った。



で、何?

と少し落ち着いた場所へ腰を下ろしいまの出来事を考える。

どう考えても稚拙としか思えない盗みの手口。
そして連れ去られた盗人。

シンプルに考えれば強盗集団の一人が盗み、失敗したので回収した。
そんなストーリーだろうが、それにしても手口が酷すぎる。

あれだけの人数がいるのならば、
最初っから全員で脅し取った方が簡単だろうし、
そもそも盗みをする人の人選が悪すぎる。

考えられるのは、盗んだ奴がそのまま危険地帯へ逃げ込み、
そこで仲間が出てきて強盗をするというストーリーだが、
それにしても彼の逃げ足では誰もが途中で捕まえられるだろう。

なんだか腑に落ちなかったが、ともかく無事なのは確かだ。


まぁ結構面白かったし、いっか。とすぐに気分を切り替えて観光を続けた。

これもまたリマの街の一部だと思えば、悪くない経験かもしれない。
しかしこんな事があってもこの国が嫌いにならないのは不思議だ。
南米に来て犯罪を犯す人がその国の一部であることがわかってしまっているからかもしれない。
それが起きたからといってその国の全てを嫌いになる気はしないのだ。

逆に言うとそれが格差というものの姿で、結果だった。
もちろんそれは日本のマスコミが騒ぐ格差社会という話題づくりの為の言葉とは
質も現実感もまったく異なる異質のものだった。




排気ガスの漂う大通りをようやく抜けてセントロまで付き、
ふらふらと観光を始めたが、やっぱりめぼしい物はこれと言ってない。

いつも通りの町並み。正直飽きてしまった町並み。

観光案内所に行ってお勧めをたずねる。

無料の美術館。ぜひ行くべしといわれた教会。

実際のところそれはかなりすばらしい、と言える。
特に教会は木造で美しく、今まで見たことがない装飾が施されている。
イスラム美術のような色合いで彩られた回廊は見事なもので、写真が取れないのが残念に思えた。


が、実際のところはまたも例のトラブルに巻き込まれていたので写真どころではなかったのだ。


そう、これで4度目。まさかのまさか。


カメラが壊れる・・・。


何回壊れんじゃい!リコーのカメラ!!

実は日本に一時帰国した際に持ち出したカメラは2台。
1台は壊れたものを修理し、1台は念のために新規に購入したもの。
その片方は既に壊れていたし、新規購入したものはいまここで朽ち果てた。

さーてどうしたもんかねぇ。

あまりにもカメラのトラブルに慣れてしまって、
なんだか別にこれと言って悲しさも無くなってしまっているのだけれど、
現実的にはカメラ好きとしては何か対策を考えなくてはならない。

カメラの無い旅なんて。
旅をする前にはカメラなど持ったことない人間とは思えないほど、
なんだかこの旅でカメラが大好きになっている。



ま、日も暮れたことですし。

ペルー産のワイン(やはりあんまり美味しくなかった)とチーズで乾杯し、
壊れたカメラの追悼式を行う。


しっかし・・・なんてカメラ運悪りーんだ。

壊れたカメラを試しにもう一度押してみた。

ジーッ、ジーッ、ジーッ。。。そんな音だけが部屋の中に響き渡った。




<おまけ>
↓なぜか冷静に撮ってた犯人たちの写真。

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