DATE:2009/05/28 Peru - Lima -
まだ日の昇りきらない頃、僕はリマの町へと到着した。
旧市街にある宿へと向かうことも考えたが、
なんだか面倒になりバスターミナル近くの安宿に腰を落ち着けた。
どんよりと曇る薄暗い朝だった。
しばらくゆっくりと休んだ後は曇りなので町歩きをやめて博物館へと向かった。
大通りには沢山の車が行き交い、いくつものビルが立ち並ぶ。
高層ビルの数は多くはないがリマは紛れもない大都市だった。
不安だった治安もそれほど悪いわけでもなさそうで、
危険だと感じた場所さえ避けていればどうにかなりそうだ。
久しぶりの四車線以上の大通りに少しどきどきしながら横断歩道を渡った。
博物館へ行く道の途中でスーパーを見かけたので入ってみる。
異国のスーパーはその国の食文化が良くわかり面白い。
見かけたら1度は必ず入ってみることにしているのだが、予想通りペルーのスーパーは面白かった。
まず驚くのはその品揃えである。
大型スーパーだという事もあるが肉、魚、野菜、果物、そして幾つもの調味料。
なんと驚くべきことにマルチャンのインスタントラーメンまで。
チリやアルゼンチン辺りとは一線を画す品揃えにやはりペルーの食文化が豊かだという事がわかる。
西洋化の度合いが低いからなのか、もともとの文化なのか、
町を歩けば様々な料理が目に入るし実際に味もおいしい。
特に気に入っているのはセビッチェと呼ばれる魚の料理で、
新鮮な魚をレモンで〆たこの料理をほとんど毎日のように食べている。
そんなわけで南米一のお気に入り料理になったペルー料理だが、
やはり家庭料理も充実している様子で大型スーパーの中には豊富な食材を買い求める人々が多くいた。
ご飯がおいしい国に悪い国はないね、なんてひとり呟きながら大型スーパーを後にした。
さて、博物館と道草を食いまくってたどり着いたのは12時ごろ。
なぜだか無料になっていた美術館めぐりを開始した。
インカの歴史、ペルー周辺の民族文化。
国立博物館に集められたペルーの文化は面白い。
クスコや他の町でも今まで見てきたものだったが、
それでもこの辺りの文化がかなりユニークなものであることがわかる。
特に面白いのはやはりインカ帝国の頃の文化で、
集められた壷には人やらサルやらの様々なデザインが施され、
アジアやヨーロッパとはまったく異なる文化であったことが良くわかる。
それにインカ時代のデザインはとてもキュートなのだ。
ハプティーダンプティーのような丸い人の形の壷、
となりのトトロのような太っちょの動物。
ピエロのようなペイントをされた人の文様。
水木しげるの妖怪に出てきそうなへんてこなペイント。
そのどれもが唯一無二のデザインで一つ一つに心を奪われた。
それにペルー周辺の民族文化も面白い。
顔に幾何学的なラインでペイントした壷や、布。
祭りの時にはそれを顔にペイントする人々の写真。
その独特な文化に驚く。インカを終えてもこの国の文化はユニークだ。
と言ってもこの国の歴史は平和一辺倒であったわけでもなく、
内戦の歴史が写真展として展示されていた。
ペルーの歴史に詳しくはないが、
ただの一般市民らしき人たちが銃を握り、血を流す姿は、
紛れもなくこの国の歴史であったしリアルであった。
銃を持つ市民。
その不自然な姿に僕はただ戦争の恐ろしさを思った。
博物館を回り終わり、いつもどおりセビッチェを食べて宿に戻った。
リマという街が気に入ったわけではないが、やっぱりこの国は良い。
いまだ溢れるユニークな文化に、今日もまたそう思った。
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