DATE:2009/05/27 Peru - Nazca -
高度三千フィートから眺める地上の景色に思わず声を上げる。
「前方斜め右。ハチドリ」
そう告げたコックピットの機長の声にそちらを見ると、
まっすぐな直線と機械的な曲線で出来た地上絵が僕らの前に姿を現した。
地上絵の周りには何本もの無数の大地の直線が描かれていて、それは水の通り道を示しているはずだった。
「NEXT ONE!左側の山にロボット!」
その声と同時にセスナは急旋回を始め心地よいGの中、
僕らは機長の声に振り回されるように右へ左へと視線を揺らす。
助手席に座る僕の位置からは流れるように動くパイロットの腕が良く見える。
ジェットコースターのように旋回するセスナの中、僕は地上絵よりもその手に見とれていた。
フライト時間は40分。
最悪だと言われていた乗り心地は3人乗りのセスナの為か意外なほど快適で、
むしろセスナ機の旋回の面白さに子供のように心がはしゃぐ。
このとき、僕は思った。
きっと僕は空を飛ぶ。
面白すぎるセスナ機の乗り心地に将来の夢がまたひとつ連なった。
10以上の地上絵が現れては去り、現れては去った。
もう一度見返したい地上絵の姿もあるが、その刹那のアート鑑賞がこのフライトの醍醐味でもある。
大地をキャンバスに描かれた絵。
昔の人はなんて器がでけーんだ。
宗教的な意味もすべてひっくるめてこの大地のアートのスケールに完敗した。
30分ほどの飛行で全ての地上絵を見終わった後は、
ゆっくりと町へ向けて引き返していく。
もう旋回も下降もないが、ゆったりとしたセスナの中、
この空の旅の中にもう少し居たいものだ、と思った。
地上を見れば真っ直ぐな道が伸び、人々が耕す農地が見えた。
町は空から見るとパズルのようだ。
なんだ、これだってアートじゃん。
空から見た地上の姿を見て僕はそう思った。
数分後、ゆっくりと下降を始めたセスナ機は静かな衝撃の後に、大地へと降り立った。
いやぁ、しかしセスナ楽しかったなぁ。
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