2009年5月21日木曜日

世界一周(43)ペルー/人生の100のこと。人生の1億の事。











DATE:2009/05/21 Peru - Cuzco -


プーノを出発したバスは早朝から夕方まで、7時間の道をクスコへ向けて走っている。

プーノを後にしたバスはしばらくチチカカ湖を右手に添えながら、
山がちな土地をカーブを描きながら走っていたが、
気づいたときにはいつの間にか湖はどこかへと消えていた。

湖を後にするとあとは延々と変わり栄えのしない
あまり豊かとは言えない田園の中をまっすぐに走っていく。

豊かではないとは言えどもボリビアに比べればずいぶんとましなようで、
農耕技術の差なのだろうか同じような土地でもいくらかはまともに植物が育っているように見える。


多くの土地は牧草地で時折置き去りにされたような牛たちが広い大地の上でのんびりと草を食んでいる姿が見える。
その横には帽子をかぶった女性の姿があり、牛と同じようにただじっとそこにいる。


彼女たちの人生はどんなものなのだろうか。

ついそんな事を想像してしまうほど何もない、変化のない世界に彼女たちはいた。

ただ大地の上で呼吸し牛を追い、乳を搾り、小麦を挽きパンを捏ねる。
そんな日常がとても容易に想像でき、それだけが彼女たちの人生なのではないかと思えた。

100にも満たない事柄が彼女たちの人生の全てで、
そしてその子供たちの人生の全てなのかもしれないと思うとなんとも言えない気分になった。

それはきっと、
その事が不幸なことなのか幸せなことなのか。それがわからなかったからだ。


きっと彼女たちは幸せなのだろうと思った。
でも僕には不幸だろうと思った。同じ生き方をしたらきっと不幸だと思った。

僕はそれを幸せと思うには多くを知り過ぎている。
知ることは僕の幸せの一つなのに、それが不幸に繋がっているなんて不思議な気分になった。
どちらにせよ僕はそれを止める事ができない。

人生の100のこと。人生の1億の事。

1億の何かを探して僕は今ここにいる。
たったいま僕が手にしているのがたった101の事だって僕はそれを止められない。
止めるつもりもない。




青空には、ぽこりぽこりと泡のように雲が浮いていた。

それを見てやはり彼女たちは不幸ではないな、と思った。

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