DATE:2009/05/18 Bolivia - La Paz -
やっぱりもう一日居ることにしよう。
すでに高山病もすっかりと抜けきったスッキリとした頭で、
今日一日の予定をラパスに費やすことに決めた。
それはこの町をもう少し知りたかった事もあるし、
なんだか別れ難くなっていたからということもある。
この町に他にどこか見所があるわけでもなかったが、
ちょっとこの町自体を見てみようと町全体が見渡せる高台へと向かうことにした。
もちろんそれは昨日見た夜景の姿が忘れられなかったこともあるし、
あの煌びやかな夜景を灯したこの町の昼の姿を見てみたかったこともある。
恐らくは何万戸とあるだろうラパスの家は昼間どんな姿をしているのだろう。
それはとても興味のある景色だった。
さっそく身支度を整え高台のある方向を確かめると、
坂道の多い町の中を一直線にそこへ向けてと歩いた。
うぉ、すげ。
なんて言葉が思わず漏れる。
別に何かに感動したというわけではなく、感情よりも先に言葉が反応してしまった。
単に「すげ」と言う言葉しか生まれてこなかったのだ。
「ヒトの巣」
ここは人間の巣だ。他に例え方がうまく見つからない。
思わず連想してしまったのは地面に張り付いた虫だった。
びっしりと張り付いた数万の虫のようにすり鉢上の盆地全体に家が張り付いている。
その姿はおぞましさすらも感じるほどで、人が生きるということをリアルに見せてくれている。
盆地の中心、つまり平地になっているところはやはり町の中心で、
そこに幾つかの高いビルが建ち、立派な石造りの教会が立ち、
その周りを中規模のビルが建ち、そしてさらにその周りをレンガ色の家がびっしりと埋め尽くす。
やっぱりヒトの巣、という言葉意外ぴたりと当てはまる言葉が出てこない。
虫も動物も人間も。
結局のところ集団で生きていくと同じような居住形態を取るのかもしれない。
そう思うと、なんだかんだ言っておんなじ生き物なのだなぁ、と妙に親近感が沸いてきた。
人はこの巣の中で、語り合い、笑いあい、愛し合い、セックスをする。
何万年と続いてきた生命の連鎖がこの巣の中で続いていることを思うと、
なんだ結局人間って、と思いなぜか肩の荷が軽くなった。
何万年経とうと何万人死のうと、僕らはずっと変わらない。
人がいて、また別の人がいるだけだ。それだけだ。
ゆっくりと沈んでいく太陽に、太陽が沈む方角の建物から順に影が落ちていく。
ドミノ倒しのようにゆっくりと伸びていく影が少しずつ町を黒く塗りつぶしていく。
そうかこの町には夕日が沈まないのか。
山の淵に仕舞い込まれたように消えていった明るいままの太陽は、
そのままじっくりと闇を深くしていった。
夜中、久々にビールを飲みに町へと出る。
キリリと冷えたビールが喉を潤した。
隣のテーブルを見るとボリビア人の二人組みがグラスを傾けて地面にビールをひと垂らし。
大地の神への感謝の儀式。そんな文化がしっかりとまだ生きている。
やっぱりこの国は面白いや。
笑わないはずの彼らが、ビールの酔いのせいなのか笑い声を上げていた。
See you again, BOLIVIA!
0 件のコメント:
コメントを投稿