DATE:2009/05/09 Chile - Easter Island -
イースター島の博物館は市街から北に外れた中々辺ぴなところにある。
こんだけ土地があるのだから、
何もこんなところに作らなくても良いじゃないかと思うのは僕だけではないだろう。
博物館の展示自体はスペイン語で書かれているが、
英語や日本語の案内が書かれたパンフレットを貸してくれこれが結構面白い。
イースター島に初めて移り住んだ人々。
そしてこの島に暮らす人々の暮らし。
もちろんモアイやアフなどにも触れているが、
現在も続く彼らの暮らしを垣間見ることができて中々勉強になる。
そう言えばなぜモアイは倒されたのだろう?
漠然としていた知識もここでまた明らかになる。
その昔、イースター島に渡ってきた人々は、
長い年月の中でいくつかの部族に別れていった。
最初はそれぞれ敵対することなく同じ文化を共有し、
モアイ作りなどをそれぞれに行っていた彼らだが、
いつしかそれが食糧危機というのっぴきならない状況に歯車が狂いだす。
食糧危機の原因はもちろん人口の増加であり、
少ない食料を手に入れるためにはおのずと争いも起こってくる。
最初は小競り合い程度だったものがいつしか部族同士の争いになり、
その争いの中で守り神であるモアイが敵対する部族に倒されていったのである。
モアイの目には力があるとされ倒されるときには必ずうつ伏せにされたそうだ。
その際に目は破壊されてしまったのだろうか、島に立つモアイに目が入ったものはない。
唯一発見されたモアイの目は文字通り目玉商品として博物館に展示されている。
それがモアイ倒しの歴史だが、
それと時を同じくしてまた別の物語が始まっている。
鳥人信仰という新しい信仰がイースター島に広まり始めたのである。
争いの中、それを抑えようと始まったのか、
長い歴史の中で揺らぎ始めた歴史を繋ぎとめるために始まったのかはわからないが、
ともかくその新しい信仰が食料危機でばらばらになった島を1つにまとめたのは確かだ。
部族から一人の勇者を選び、
年に一度、島から少し離れた小島でコウノトリの卵を取ってくるというレースが開かれる。
もちろんそれに勝った部族がその年1年、島を治める王となれるのだ。
そして勝利した勇者は「鳥人」と呼ばれ、
神として一部の神官を除いて一切の交流は閉ざされる。
こうして鳥人信仰が盛んになり、
最初は共存していたモアイやアフの信仰もいつしか廃れ、
モアイは作られなくなり、倒されたモアイはそのまま時を過ごしてきたのである。
そんなわけでたいした展示物があるわけではないが、
日本語の解説のおかげでなかなかためになる博物館であった。
元の予定ではこの後にオソルノの火口に行ってみようと思ったが、
なんだか雲行きが怪しくなってきたので、またもや先延ばし。
この島はなんだか予定をどーでもよく思えてしまう魔力がある。
帰り道、モアイを見ながら海岸沿いを歩いていると一組の親子が海岸で何かをしているのが見えた。
モアイの真下、そんなところで何をしているのかを見ていると・・・
ウニ取ってる!!!
父親はナイフを片手にウニを取ってはその場で開けてむしゃむしゃと食べている。
二人いる子供もそのおこぼれに与ったり、勝手に泳ぎ回ったり自由なもんだ。
一人なんてまだ3歳ぐらいだろうに岩の上を平気で歩き回っている。
こんなところにウニが?と思うも日本人としてウニを見ては黙って入られない。
ちょうど運良くズボン代わりに水着を履いているところだ。
親子に「オラ!」と元気に挨拶し僕もウニ取り合戦に参加する。
さてウニはいずこに?
ごつごつした岩の上をよれよれになりながらウニを探す。
近くにはいないらしく先ほど父親が探していた辺りで必死で目を凝らす。
波が少し高くなり始めたのか水がなかなか穏やかにならない。
いた!
何かトゲのようなものが視界に入った。水底に手を伸ばしそのトゲを掴む。
取った!!!!!ってオイ、空っぽかよ!
どうやらはじめての収穫は誰かが食べた食べかすのようで。
気を取り直してもう一度、目を凝らす。。。
いる!!!!つーか、うじゃうじゃいる!!!!
水底の岩の間にはびっしりとウニが張り付いていた。
こりゃもう食べ放題と言っていい程だ。
今度は本物!と手を伸ばす。が、取れない!
ウニは必死に岩へと張り付いているのかびくりとも動かない。
どうやら岩の穴の中でびっしりと生えたトゲをがっちりと伸ばしているらしく、
千手観音のようなトゲでしっかりと体を支えているようなのだ。
しかし。。ここまで来て諦めるわけにはいかない。
なにせご馳走が目の前にあるのだ、食わぬわけにはいかんのだ!
再度手を水に入れ波をバシャバシャかぶりながらウニとの水中戦が始まった。
ぐりぐりとウニを動かす。そんなものじゃ、びくともしない。
こうなったら。残酷ではあるがトゲを折ってしまえ!と強引にトゲを引きちぎる。
それでもウニは抵抗を続ける。こいつなかなかやりやがる。
波に揉まれてもみくちゃになりながら海を漂い数分後・・・。
取れた!!!!!!!!!
手の中には小ぶりだが十分な大きさのウニが摘まれていた。
ウニを持ちながらバランスを取り数メートル先の岸までたどり着く。
岸では子供たちがナイフを片手に待ち構えていて、ウニを割ってくれる。
割られたウニの中にはオレンジ色のとろりとしたあの物体が。
まだ潮の匂いがぷんぷんするその取れたてのウニをペロリとほおばる。
うめーーーーーーー!!やばい!!!
さすが取れたて新鮮ウニ。小さな身でもつぶつぶがはっきりわかるほど。
味も海水の塩が程よく本当にうまい。
子供たちも僕が取ってきたのにも関わらずがつがつ食べる。つーか殆ど食べられる。
負けじともう一度海の中に入りウニとの格闘を繰り返し、
飽きるまでウニを食べた。まー殆どは子供が食べてたけど、十分満足。
いくつかの切り傷を作りながら海からあがり、
少し冷たくなってきた風を浴びて体を乾かした。
自給自足の生活。
こういう事なのかもしれない。
ただいまそこにある自然と生きる。
何も特別じゃないが、毎日が特別の中で生きている。
僕らにへばりついた幾つもの余計なもの。
便利とか快楽とかそういった言葉で生まれてきた沢山のもの。
ただ生きるということは中々に難しい。
こびりついてしまった常識や価値観。
ひとつひとつ削り取っていったらもっと身軽に飛び跳ねられる。
紙がないなら水でケツを洗えばいいじゃねーか。
そんなシンプルな生き方で良いさ。
くだらないものを根こそぎ削り取って早くスマイルだけになろうぜ。
イースター島の暮らし、笑えるぐらいスマイルだ。
てっぺいくん、おひさしぶりです!
返信削除ブログ見ながら世界一周気分を味わってますー
ウニ好きとしてはかなり気になる記事で思わず反応してしまいました。。これからも楽しみにしてます!
>なべさん
返信削除お久しぶりですー!
ウニ好きにはやばいっすよ、イースター島。
まじで取り放題食べ放題!
チリは魚介類がおいしいので、
市場に行ってもウニやらカニやらサーモンやらがずらりです。
ぜひご飯を食べにイースター島へ!