DATE:2009/04/29 Argentine - Buenos Aires -
「えーと、やっぱりもうフェリーはないですよね」
その情けない質問に帰ってきた答えはもちろんYESで、
と言うわけで僕はウルグアイ、サクラメント行きのフェリーに乗り遅れたのだった。
さーて。。どうするー?
と他人事のようにひとしきり現実逃避した後に、
フェリー乗り場まで重い荷物を背負って歩いてきた疲れも抜けたころ、
今日の予定を再構築することにした。
このまま次のフェリーを待つと言う方法もあり、
それだと高速フェリーで少し高くはつくが無事にサクラメントへ着くことができる。
到着時間的にもいまの逃したフェリーとほぼ同じで、
つまりはお金さえ払えばさっきの遅刻はなかったことになるという事だった。
しかしなんかそれも悔しいし。
と言うことでもう一つの選択肢、バスの時間を聞くために、
また重い荷物を背負って10分ほど歩いた先のバスターミナルへと向かった。
「モンテビデオ行きのバスならあるわよ」
とさんざん探しまくった上でやっと見つけたウルグアイ行きのバス。
料金も高速フェリーよりは若干安く、さらに首都のモンテビデオまで直通。しかも夜行ときた。
もともとの予定ではサクラメントの後、モンテビデオへ行くつもりだったが、
順序が変わってもそれほど影響があるわけではない。
と言うわけで、さっきの遅刻はなかったことにして今夜の夜行でウルグアイを目指すことにした。
別にブエノスアイレスでやることがあったわけではないが、
夜11時の出発までさすがにバスターミナルで過ごす訳には行かず、
ロッカーに荷物を押し込んだ後、予定もなしに町へと向かった。
町へ来たものの予定はない。
アルゼンチンに来て、そう言えば気になっていたことがあり、
あまりにも馬鹿ばかしかったが、予定のなさも手伝ってそれを試すことにした。
それは、
「アルゼンチンのマクドナルドはめちゃくちゃ美味いんじゃないか」
と言うことで、
なにせあれだけの味のアルゼンチン牛があちこちに転がっているのだ。
その牛肉を使ったマクドナルドのハンバーガーがまずいわけがない。
それにフランスのマクドナルドは美味しかったという先例がある。
食べ物が美味い国はきっとマクドナルドも美味しいのだ。
という持論の元、普通の食事よりもちょっと高い、
アルゼンチンでは高級レストランで有名のマクドナルドへ行ったが、、
ふつぅー??
至って普通の味にむしろ驚く。
おいおいおい。これだけ良い肉があるのにこの味かい。って奴だ。
しかも値段も高いくせに。
肉が美味しい国はマクドナルドも美味いと言う持論はあっさりと否定されたのであった。
さて、さて、さて。本当にやることがない。
そうだ。と思い出し、映画館へと向かった。
そう昨日ある映画の看板を見て、暇なら行ってみようと思っていたのだ。
あの「ドラゴンボール」に。
世紀の大失敗作として日本では有名なあの作品。
南米の至るところで見かけるが、駄作とわかっている以上、
本当に暇なときでなければ見に行くことができず機会を逃していたのだ。
このチャンスを逃すわけには行かない!
と映画館へ行くと・・・打ち切り。。。うそん。
昨日まではしっかりと掲げられていたドラゴンボールの映写予定がしっかりと消えている。
しかもその残り香はきちんとあって看板だけがあって予定がないという悲しさ。
さすがに南米でも大失敗を繰り返しているようである。
無念だが仕方ない。
せっかく来たので別のものを見ようとスペイン語でも何とかわかりそうなX-MENを見ることにした。
ちなみにX-MENなんて一度も見たことがないのだが。。
チケットを買おうと思いふと思いつく。
この規模の町ならば。そう思いあたりを見回し、それらしい看板のところへ行くと。
あった!金券ショップ!
そう。ある程度発達した都会ならばあるものなのだこういうのが。
どうでもいい時間つぶしの映画(しかもスペイン語)を見るために無駄な出費をするわけにはいかない。
という訳で金券ショップで映画のチケットを買うとなんと6ペソ(約180円)
元々も12ペソだったので安いのだがさらにその半額。
しかも驚くべきことにチケットはプリントアウトされて出てきた。
いったいどういうビジネスの仕組みなのだろう。
映画会社が配った金券や割引券を売買するというならばわかるが、
割引券自体をプリントアウトするって、ありなのか?
あるとすれば映画館の数席を年間単位で買い取って、
その席の料金を自由に決めて売っているぐらいだが、リスクが高い気もする。
半額になるほどの割引券を映画館の前で売っているのも変な話しだし、
なんとも良くわからないビジネスだ。
ちなみにこの金券ショップは映画以外にも、
タンゴショーやオペラなどのチケットも扱っているようで、
ほぼ半額から少なくとも30%引きぐらいにはなるようだ。
もしブエノスアイレスでこれらのショーを楽しむならば、
一度利用してみるといいかもしれない。
という訳で格安で入った映画館だったが、
さすがアメコミ。話がシンプルでスペイン語でもなんとなく話はわかり、
なかなか面白かったこともありあっという間に二時間を消費した。
もう一本映画を見ることもできたが、
それもあんまりだと思いまだ行っていなかった地区をふらふらと散歩する。
高級住宅町らしいその辺りには多くのブランドショップが並び、
かなりセンスの良い雑貨屋や家具屋が並んでいる。
これならば確かに南米のパリと言われるのもわかる気がする。
しかし何故かこの二つ名にしっくりと来ない。そう考えていたら急にその理由がわかった。
カフェがない。
これこそが「南米のパリ」に対する違和感の最も大きな理由だった。
町を歩けば至るところにカフェがあり、エスプレッソを楽しむ人達がいる。
それがパリという街であり、歴史的建造物の数々はおまけと言っても良い程だ。
カフェこそがパリの街の文化を象徴するもので、
また文化を繋ぎ反映させるための一つの装置のようなものなのだ。
カフェがあるからこそパリはパリなのであり、だからブエノスアイレスはパリではないのだ。
ブエノスアイレスに抱いていた違和感がそこですっきりとした。
やっぱりこの街はパリではない。
実のところそれは南米の都会を象徴しているようにも思える。
建てられたヨーロッパ風の町並みは確かに美しくもあるが、どこか空っぽで、
だから僕は南米の都会の街歩きには面白みを感じることができない。
建物だけを真似てみても結局は文化がなければ空っぽのままだと言う事だろう。
カフェのないパリ風の街。僕はやっとこの街を理解した気がした。
日も暮れたころバスターミナルへと戻り、
溜まってしまった日記を書きながら出発までの時間を過ごす。
巨大なバスターミナルにはひっきりなしに人が出入りしている。
沢山の人間が出会うことなくすれ違って行く。それが都会というものだと思い出した。
11時10分。
定刻よりも少し遅れてバスはウルグアイへと向けて出発した。
さて次の国、ウルグアイ。
何が起こるやら。。。何も起こんないかも。。なんて。
ともかくまぁ、新しい世界へ!
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