DATE:2009/03/20 Chile - Santiago -
立ち並ぶヨーロッパ風の建物。
それに並列して並ぶこぎれいなショッピングセンター。
町を歩く人たちのファッションも驚くほどに洗練されている。
そして驚くべきことにスーツを着た人たちが町を歩いていく。
何も知らぬまま訪れた南米チリの首都サンティアゴは、
南米というイメージからは想像もつかない様な洗練された大都市だった。
到着した瞬間から何かが違うことを感じていたが、
まさかここまでだとは想像していなかった。
その町並みはまるで銀座のようで、
丸の内のような一角には銀行の輝かしいビルが立ち並ぶ。
南米一の経済大国はブラジルだと思っていたが、
町だけを見るならばこのサンティアゴが最も洗練されている。
南米くさいゴテゴテさをひとつも感じない都市を歩いていると、
なんだか自分が東京に戻った気がして不思議な気分だった。
町をふらつきながら教会などを見て歩いていると、
いつの間にか先ほどの都会的な町並みとはうって変わって、
商店が立ち並ぶ地域に出た。
そこをさらに歩くと魚や肉屋が立ち並ぶ市場に出る。
多種多様な肉が大きな塊で1キロいくらで売られている。
そんな光景は南米ならではだが、
そこに魚が並ぶのが国土の東側が太平洋に面しているチリならではだろう。
築地のように威勢の良いとまでは行かないが、
たくさんの魚屋が新鮮な魚を所狭しと並べ、
互いにお客さんを呼び込もうと道行く人に盛んに声をかけている。
サーモンに、イカにタコ。
ムール貝にハマグリ。そして大きなウニまで。
日本人にとってはたまらない食材がどっさりと積まれている。
ちらりとウニの値段を見ると1つ800リラ。
約150円の大きなウニにはぎっしりと身が詰まっていて、
それ一つだけでどんぶり一杯のウニ丼を作れそうだ。
今の宿にキッチンがないのが残念でたまらない。
市場の中ではたくさんのレストランが店を並べ、
それぞれ観光客相手に呼び込み合戦を繰り広げていた。
南米ではあまり見ないそのアジアのような光景に、
少し僕は気後れして市場を出ていった。
さらに歩いていくとまたもや市場にぶつかる。
今度は野菜や果物が並ぶ青果市だ。
大きな倉庫のような敷地の中に作られたその中には、
ハムやソーセージ、そしてチーズや漬物などの店も並んでいる。
面白いのがドッグフードの量り売りの店で、
大きなドラム缶の中から飼い主は中身をすくって、
必要な分だけのドッグフードを購入していくのだ。
周りには雑貨屋のような露店が並び、
それぞれがハサミや釘などの小物を売っている。
いくつか身の回りの必要なものを買って市場を出た。
ん~これは自炊がしたくなるなぁ。
市場を見回せば多種多様の食材が並んでいる。
しかしそれをレストランで食べるとなると、
単に焼いただけのものやスープぐらいしかなく、
その食材の豊富さに比べれば陳腐さを感じるばかりだ。
日本に暮らしていて同じものを1週間に二度食べるということはそうあることではない。
あったとしたらカレーぐらいのもんだろう。
欧米諸国はじめアジアを除いた国々では、
そういったことがかなり頻繁にあるようだ。
朝昼晩同じメニューを毎日食べるドイツ人。
そんな話も聞いたことがある。
常識の違いといえばそうなのだが、
よくもまぁ、それで文句なく暮らしていけるものだと思う。
中国文化の影響からか、
単に取り込むのがうまいからなのか、
日本では和洋中多種多様な料理が普通の主婦によって作られる。
なんだかそのことがとても幸せなことに感じる今日この頃だ。
僕らの味覚は世界の中で異常なほどに発達している。
夕暮れ時になり宿まで歩いて帰った。
近代的な都市と市場が並ぶ不思議な都市サンティアゴ。
その西洋的な町並みも悪くはない。
でもどこかヨーロッパの模造品のような感覚が拭えない。
それは歴史的背景からか仕方がないことなのかもしれない。
いつか世界は全て同じような形になってしまうのかもしれない。
そう昔思っていたことが現実に感じることがたまにある。
誰もがマクドナルドを食べ、西洋風の住宅に住み、
日本の車に乗り、イタリアの服を着る時代。
普遍的に良いものを求めるのは当たり前のことなのに、
どこか寂しさを感じるのは身勝手なことだろう。
原住民に今の暮らしを維持しろというのは、
彼らを動物園の動物とみなしているのと同じことなのだから。
宿に戻ると金曜日なのでパーティーが行われていて、
僕もまた流れ上仕方なくそれに参加することにした。
西洋人というのはどこに行ってもパーティーをしたがる。
それはカーニバル好きの南米人も同じようで、
金曜日の今日はいたるところでお祭りが繰り広げられているようだ。
チリワインを飲みながらダンスに興じる。
何はともあれ旅は祭りみたいなもんだ。
多くの名も知らぬ旅人と金曜の夜を踊り明かした。
南米の情熱的なラテンの音楽が夜を踊っていた。
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