DATE:2009/03/02 Brazil - Sao Paulo -
「日本人ですよね?」
と、毎回お決まりの台詞に驚きもしなかったが、
今回は勝手が違っていて結構驚いた。
それは出発前の最後の日本食を、とバイキングをさらに取り分けている時だった。
朝からくるくるパーマをかけ直しに成功したマサミと奮発して、
寿司なんかもあるバイキングで値段もわからず恐る恐る取り分けている時、
勝手がわからずまごまごしている僕らを見て声をかけてきたのがマリさんだった。
旅人相手のその会話は慣れていて、
「そうですよー」から始まって「どこを旅してきたの?」とか、
「これからどこへ行くんですか?」とかがお決まりの会話として繰り返されるのだが、
今回声をかけてきたマリさんは明らかに旅人ではない。
お化粧も服装もばっちり美人OL的な女性で
どうやらこちらで生活しているような様子だ。
ともかくバイキングのやり方を教えてもらい、
そのまま一緒に食事をすることになったのだが、
これまた驚くことに隣にはブラジル人の旦那さんがしっかり座っていた。
このマリさん&アキラの夫妻は、
サンパウロに住む日本人と日系3世のカップルで最近結婚して日本からこちらに引っ越してきたそうだ。
年は僕らより少し上のお姉さんと言ったところか。
普通ならそういう一般人の方はあまり旅人と関わることはないのだが、
マリさんには大きな事情があったのだ。
つまり・・・「暇過ぎる!」という・・・。
なんでもこちらに引っ越してから数ヶ月、
なかなか日本人の友達が出来ずに日々いろいろと話したい鬱憤が溜まっていたのだ。
仕事で通訳をしていたとの事でポルトガル語堪能なマリさんだが、
夫であるアキラとはもちろん会話に不便はないものの、
それでもやっぱり母国語で思い切り話したいという欲求は別、と僕らにターゲットを定めたのだった。
それは僕にもなんとなくわかる。
英語での会話にも慣れてはいるけれど、
それでもまだ僕の英語力では伝えきれないことはいくらでもあるし、
それより何より日本語というスペシャルな表現力を持つ母国語で、
べらべらべらべら際限なく話したい時はいくらでもある。
という訳で暇を持て余していたマリさんと、
そんな彼女に興味津々な僕らとの奇妙なお食事会が始まったのであった。
しかしまぁ、この人面白い。
そして僕らもまた面白い。
もともと僕とマサミだけが話してたって話が止まらないのに、
さらに話好きのマリさんの3人組となっては延々とくだらない話が止まらない。
僕らは旅の話をし、マリさんはブラジル体験記を語る。
お互いに未知の話だから話はいくらでも続いていく。
途中、日本語が少ししかわからないアキラは困った顔をしていたが、
その辺はやさしい旦那さんのようで、
妻の話し相手がやっと見つかったとむしろ微笑ましく見てくれている。
気が付くと2時間近くが経っている。
もともとバスの時間は夜なので別に時間が気になるわけではない。
が、さすがにアキラをこの状態でこれ以上つき合わせるのはかわいそうだw
さてどーしたもんかと、考え出したころ、
「どうせなら家に一泊してかない?」
思わずマサミと二人で顔を見合わせる。
もちろん答えは決まっている。
「いいんですか?」とブラジル生活を垣間見れるまたとないチャンスに食いついた。
と言うわけで今はサンパウロの町が見下ろせる高台にあるマリさんのマンションにいる。
思ってもいない急展開。これが旅の楽しみでもある。
信じられないような夕日がサンパウロの街に沈んでいった。
これもまた今日の出会いがなければ見られなかった風景かもしれない。
出会い。出会い。出会い。
そうやって僕らは生きている。
偶然の中の喜びを見つけよう。
0 件のコメント:
コメントを投稿