2009年2月2日月曜日

世界一周(34)イタリア/なにはともかくTボーン











DATE:2009/02/02 Italy - Firenze -


ドゥオーモから町を眺めるとその美しい町並みがいっそう華やいで見える。

今日もまた小雨の降る雨模様だったが、
しっとりと濡れた町には赤い屋根瓦が並び
積み木のように不規則に並べられた家々が町の美しさを作り出していた。

確かにこの町は美しい。

例の映画を思い出し、
こんなところで再会するなんてロマンティック過ぎるだろうと思ったが、
舞台装置としてはこれ以上のものはないほどだった。


眼下に広がる教会や建物たちは今回訪れることができないものばかりだったが、
強行スケジュールのため仕方のないこと。
それよりも今この場所でこの景色を見れたことの幸せを思った。


尖塔を登るには階段を何段も登らなくてはならないが、
上から見下ろすフィレンツェの景色だけではなくもう一つのおまけが付いてる。

それはドゥオーモ内の天井に描かれた巨大な天井画を間近で見られるというものだ。

昨日、ドゥオーモを訪れた際に気になってはいたが、
尖塔に登るとこれが見れると走らず天井がをぐるりと囲む通路に出たときには思わず絶句してしまった。

巨大なドーム上の円形天井にぐるりと描かれた天国と地獄の天井画は、
頂上部分から天国、天使、そして最後の審判、地獄と階層ごとに描かれていて、
その一つ一つの絵が巨大なドーム全体に事細かに描かれている。
きっと数えてみれば何百人もの天子や人間、そして悪魔が描かれているだろう。

もちろんその中には聖人や偉人なども描かれているのだが、
それよりも面白いのは地獄の絵だ。

仏教でもお馴染みの火の池地獄や八つ裂き地獄などをはじめとして、
いくつもの想像できるう限りの地獄が描かれている。

中には人間を食べる怪物のような絵もあって、
そういえばこの怪物は何かの映画で使われていたことを思い出した。


良く見てみると天井にはところどころに穴が開いている。
それが調度、裁きのために使われる名簿のところに開いているのだが、
想像するにきっとあれは聖堂内の声を響かせるための何かの仕組みではないかと思った。

キリスト教を始めとしてイスラムももちろん、
宗教施設というものは驚くほどの音響効果を持っている。

それはもちろん司祭たちの声を響かせるためでもあり、賛美歌を美しく奏でるためでもある。

何の変哲もないようなこのだだっ広いドゥオーモの教会にも、
その大きさをカバーするだけの多くの仕組みがあるのだろう。
知識を持ってモノゴトを見れば人とは違う気づきがある。
それが今は少しくやしく、世界を面白くすることでもあると思う。



しばらくその絵を眺めて細かい描写まで観察していたが、
ふと今日の予定を思い出して急いで斜塔の階段を降りていった。

そう今日はそうそうにフィレンツェ観光を切り上げて、
ピサの斜塔へと向かわなくてはならない。
しかもその後、ビザを受け取るためにローマへと向かうなんともむちゃくちゃなスケジュールだ。

実はすでにヴェネツィアからスペインのバルセロナへの7日発のチケットを取っており、
それに合わせてのスケジュールになっている。
少々強引なスケジュールだがそれもまた物価の高いヨーロッパの旅らしく、
頭をこねくり回して作り出すスケジューリングもまた一つの楽しみでもあった。



そんなわけで一日に1つも2つもメインイベントがある毎日だが、
フィレンツェを離れピサを目指す前にもう一つやるべきことが残っていた。




Tボーンステーキ。

フィレンツェに来てこれを食べずに帰るわけには行かない。
名古屋に行って味噌煮込みうどんを食べて帰らないようなものだ。

物価の安いイタリアとは言え20ユーロ近くもする。
バックパッカーには痛い出費ではあったが、
景色や建物と違ってご飯やお酒は食べなくては意味がないのだ。

と言うわけで昨日から目を付けていた11時、まだオープンしたてのお店に行き
「これをくれぃ」とTボーンステーキを指差した。


肉。肉。肉。ぎゅーにく。


もう頭の中は牛肉祭りだ。

なにせ中東圏から来たゆえ牛肉と言うやつには心底飢えているのだ。
運良く鶏肉大好き人間だから良いものの、
それ以外の肉はラムだけという中東の旅はなかなかに厳しいものがある。

そして日本人が思う「おいしい牛肉」は海外では以外にも食べることが難しい。

宗教で食牛を禁じられていない国に行ったとしても、
なんだかパサパサの味気ないステーキばかりで油の乗ったジューシーな肉はほぼお目にかかる事がないのだ。
こと、フランスに置いてもその辺は同じで、それは味覚の違いもあるのでどうしようもない。

欧米人はそれが好きなのか、それともそれしかないからなのかは良くわからないが、
油の乗った肉よりももそのパサパサの肉を良く好む。
そういえば昔、ロサンゼルスに行ったときオリジナル・パントリーなる店で
朝から巨大ビーフステーキに挑戦してその噛み切れもしない鋼のような硬さにひーこらしたのを思い出した。

が、ここイタリアの牛肉は日本人にも評判が良い。
特にフィレンツェのTボーンステーキは誰もが認める太鼓判。
そんなわけでここ何ヶ月かまともな牛肉を食べていない僕は、頭の中がもうモーモー牛でいっぱいなのだ。


数十分後。


ジュワッ!と音を立てて目の前に皿が置かれる。

こんがりと焼き目の付いた見るからにおいしそうな500グラムのステーキが目の前に現れた瞬間だ。

やばい。。見るだけでよだれが。。。

自分がいかに牛肉に飢えていたかがわかる。
こいつだ、こいつを食べたかったのだ。この匂いまで美味そうなこいつを。

ナイフをさくりと肉に突き立てる。
程よく赤みを残したミディアムレアの切り口が顔をのぞかせる。
力も入れていないのにさっくりと切れた牛肉はその柔らかさを物語っている。

振りかけられた胡椒の香りが。。

まず、一口。




・・・うめーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!



飢えだとか、久々の牛肉だとかそういうのをすっ飛ばして、
なんの前置きなしでもこの肉はかなり美味い!

噛むとふわりと溶ける柔らかい肉。
そしてこの油のうまみ。

求めていたものよりもさらに1ランク上の美味さにかなり驚く。


ふんわりと漂う胡椒の香りにひたりながら、
あっという間に500グラムのステーキは骨だけを残してこの世を去っていった。


このステーキはこの旅の中で食べた美食ベスト5には必ず入るだろう。
僕がもし食わず嫌いに出るときは松坂牛ではなく、ぜひこの肉をオーダーしよう。

久しぶりに食べた感動の一品に満足しピサ行きの列車へと乗り込んだのであった。




今日の日記はここで終わりにしても良いぐらいだが、
せっかくなのでピサの斜塔について少しぐらいは触れておこう。


ピサの斜塔は想像よりもかなり斜めだ。
きっと貴方が思うよりも10度ぐらいは斜め。


僕がその塔を見たときには思わず斜め過ぎて笑ってしまったぐらいだ。
その斜めさへの突っ込みを誰かと共有できなかったのが非常に残念だ。


さすが世界遺産の斜め。

あぁ、ほんとに斜めだった。


以上。ピサの斜塔レポートでした。




しっかし、肉うまかったなー。

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