2009年1月30日金曜日

世界一周(34)イタリア/ローマ!














DATE:2009/01/30 Italy - Rome -


口座の残高がわかる証明書、
パスポートに顔写真、そしてクレジットカードにトラベラーズチェック。

全ての対抗策を持ち込み向かうはもちろんブラジル大使館。


イタリアへ来て、しかもローマの初日にやることが
ブラジルの大使館めぐりなんておかしな話だが、
これを取得しなくては旅行の予定も立てられやしないのだ。

手に入れた地図にペンでブラジル大使館の場所をぐるりと囲み、
早朝のローマの町を歩き出した。


一路、大使館!

のはずが・・・、街中に溢れる美術館のような建物の数々に圧倒され、これがなかなか進まない。

そりゃそうだ、このローマの街並みを無視することなんてのっけから無理な話だったのだ。
早々にそれを諦めて観光しながら大使館を目指すことにした。



しかしローマ。すげー!の一言に尽きる。

今まで歩いたどんな街もこのローマの歴史には適う気はしない。
あのパリでさえも歴史的な街並みという点だけで見れば、
ローマの非ではないように感じる。

ただ大通りを歩いているだけなのに、次々と現れる歴史的建造物の数々。
ガラス張りのお店が立ち並ぶ大通りでさえも歴史を感じるのはなぜだろう。

石造りの街並みが畳み掛けるように驚きを運んでくる。
僕はただそれに感嘆の声を上げるしかない。
きょろきょろと街を見回し、すっかりおのぼりさんだ。
もうそんなことはどうでも良い。この街に来てそうならない方がどうかしているのだ。
この街に感激しない奴なんて感情の線がぷっつりと途切れているとしか思えない。


単に街を歩いているだけなのに、
あっという間に時間は過ぎていき、写真の数はぐんぐんと増えていった。
そんなわけで大使館に着いたのはもう午後近くなってから。
当初の予定などどこへやらという奴だった。



大使館の前に着くとさすがに少し緊張する。

準備は万端のはずだ。
後はもう担当官の人といかに仲良くなるかが勝負の鍵だった。

大使館のドアを開け受付の番号札を受け取ると、
すぐに職員のおばちゃんに呼ばれ赤いファイルを渡された。

そこでしばらく待つことになり、
子供と遊んだりしていると名前を呼ばれついに担当官との対面となる。


担当官はブロンドヘアーのおばちゃん。

よし。おばちゃんはどちらかと言えば得意分野だ。
「ボンジュール!」とイタリア語で挨拶をして先制攻撃をかける。
すると思いもよらないことに「日本人デスカ?」と日本語がおばちゃんの口から飛び出した。
「なんで日本語?」と驚いて聞くと、どうやら日本語学校で少し習っているらしい。

こうなればこっちのものだ。
いつもよりテンション2つほど高めで攻め立て、ついにビザ取得の確約を取り付ける。

しかもなんと3日後。

もしかするとこれが普通のことなのかもしれないが、
1週間はかかると思っていたビザ取得を3日でできるとは快挙としか言いようがない。

パスポートを大使館に預けて僕は意気揚々とそこを後にしたのであった。



ビザの問題はなくなった。
となればもう観光モードを邪魔するものはない。

ただでさえローマの街は広いのだ。
時間を無駄にするわけにはいかなかった。

今日回る予定の場所は、
パンテオン、トレビの泉、コロッセオ、そして真実の口の4つ。
言わずと知れた観光地を今日一気に回る予定だ。
まるでツアー観光客のような日程だが、
それもまぁ南米行きの日にちが迫っているので致し方ない。




はじめに訪れたパンテオンの前では、
観光客相手の被り物を着た太ったおっさんが似合わない騎士の格好をしている。
どう考えても規格外の騎士は手に持ったピザをむしゃむしゃと食べながら客引きをしていた。
それもまたイタリア人ってことのようだ。


パネオンは外観から見るだけだとアテネのものとそう変わらないように見えたが、
中に入ると思いがけずその均整の取れた美しさに感嘆する。

特に天井部分のドームがすばらしく美しかった。
ミケランジェロが天使の設計と絶賛したのも良くわかる。

天井の中心に開けられた円形の天窓からはまあるい形の光が差し込み
それが天井の幾何学的な模様をなぞるようにゆっくりと動いていく。

円形の内部にはラファエロの墓も置かれている。
なにも死んでから見世物にならなくても良いではないかと思うが、
それもまた天才の宿命なのかもしれない。
墓の上には彼が作ったマリア像が飾られていた。



世界最大の石造りの建築を後にしてトレビの泉まで歩く。

それにしてもどこもかしこも美しい遺産ばかりだ。
そのどれもが他の町にあれば一番の観光名所になるだろうに、
この街にあると単なる目印にしかならないのが不思議だ。

目的地までの道を行くだけでいくつの地図に載っていない、
美しい建物や彫刻を見たことだろう。
それがローマという街のようだ。芸術品さえも日常になる街。
訪れたものはその贅沢さに呆れ、ただ驚くしかない。



トレビの泉にたどり着くと多くの観光客でにぎわっているのが見えた。
もちろんほとんどの観光客はこの泉にコインを投げ込むために来ている。

だれが作ったのかは知らないが、
この泉に後ろ向きでコインを投げ込むともう一度ローマに戻って来れるという言い伝えがある。

僕はコインを投げ込まずにここを後にした。
なぜならばどちらにせよローマにはもう一度戻ってくるからだ。
再訪を願うのは次に来てからでなくては意味がない。



コロッセオに向かう途中に驚くほど巨大な建物を見つけて思わずそこに入ってみる。

ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂という名のそこの内部は美術館のようになっている。
2階部分へとあがるとローマが見渡せる場所へと出る。

高台から見下ろすと尚のこと良くわかるが、異様なほどの歴史的建造物が乱立している。
どの角度から見ても何かしらの観光名所が2つはある。

視線の向こうにはこれから訪れるコロッセオも見渡せた。
その付近には見えはしないがカラカラ浴場があり、ローマ遺跡群が広がる。
この場所から見てみもローマの半分も見渡せないのだ。

そしてその逆側にはまだ見ぬバチカンも存在する。
一日や二日でこの街を見て回ろうなんてのが無理な話なのだ。
ここまで広いと逆に諦めもつくものだ。
今回の旅では見られないだろういくつかの遺跡。
それはまた次の機会に。ということにした。




ローマと代表する建築物といえばやはりコロッセオだろう。

そう思い訪れたが、今まで多くの劇場を見てきたからか、
なぜかそれほど素晴らしいものとは思えなかった。

フランスでアルルの美しい闘技場を見てしまっているからかもしれない。
ローマのコロッセオは朽ち果てた廃墟のようで、
それ良い味を出しているという面もあるがローマに立つ他の美しい建築物と比べれば、
なんだか場違いな感じがしないでもなかった。

ある意味では異様であることがこの場所にあるコロッセオの価値なのかもしれない。

天井が崩れ落ち、地下の舞台装置が見え見えになったコロッセオは、
骸骨のような印象を僕に与えた。

多くの剣闘士が戦い死んでいったその場所は、今度は己さえも屍へと変えている。
結局、争いが残す結果などそんなものなのかもしれない。



本日のラストに持ってきたのは真実の口。

映画ローマの休日で有名なその場所はたくさんの観光客が並んでいて、
写真撮影は一人1枚までとの規制の下、
真実の口の中に手を入れた姿の写真を入れ替わり立ち代りみなが撮っている。

もともとはマンホールの蓋だったという噂のそれに手を突っ込んでいるのはいかがなものかと思うが、
喜んで手を入れているところを見るとみな心の清い正直者なのだろう。
なにせ、嘘をついたものは手を入れると抜けなくなるという話なのだから。
実際それが本当で口の中が観光客の手で溢れていたら面白いのだが。

そんな真実の口だが、
中国人観光客のもの凄いスピードでの記念撮影が面白く動画を撮っていたら
入場時間を過ぎてしまっていたらしく、あえなく口を目前にしてその場を去ることになった。

まぁ、面白い動画が取れたからそれもよしとしよう。
僕が口に手を突っ込んだならば抜けなくなってこの旅が終わってしまうこともありえるのだし。



と、急ぎ足で観光したのだがそれにしてもローマは凄い。
町全体が観光地でどこに行っても驚きと感動がある。

もうただ凄いとしか言えない街など初めてだった。

いままで訪れたいくつもの街がかすんで見えるほど、
ローマの街は衝撃的なインパクトで僕を迎えてくれた。

この街は何度来ても飽きることなどないだろう。
それほどに奥深く、長大な歴史に満ちている。


ローマを知らずして歴史は語れない。


その言葉に嘘はない。


つーかすげーよローマ!

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