DATE:2009/01/29 Italy - Ancona -
ゆっくりと速度を落とし始めた船は、
石造りの建物が立ち並ぶイタリアの町へと静かに身を寄せた。
目の前には思い描いていたイタリアの街並みが、期待どおりの姿である。
その驚きに興奮を隠し切れず甲板の上で一人はしゃぎ、
このイタリアの旅が確実に楽しくなることを予感した。
南米行きのチケットの期限があるため、
ここイタリアもまた急ぎ足で回らなくてはならない。
フェリーの到着地点アンコナの町を離れてからは、
ローマ、フィレンツェ、ピサ、ミラノ、ヴェニスと向かう予定だ。
途中ローマでブラジルのビザを取得しなくてはならず、
それが日程を大きく左右させる原因でもあるが、
今のところは最長で1週間程度の足止めとなりそうで、
その期間をどう過ごすかが課題でもある。
まぁ、その辺は行ってみなくてはわからない。
そんなわけでこのイタリアの旅がどうなるかはいまだ不明だ。
フェリー乗り場から駅まで1キロほどの道を歩く。
その町並みも特に特別な町でもないはずなのに、
やはりそれはイタリアで重い荷物もどこか軽く感じさせてくれる。
駅で無事にローマ行きのチケットを買い、
発車までしばらく時間をつぶした後、
発車ぎりぎりで乗り込んだ列車が違うことに気づき、
大慌てで別の列車に乗り込むドタバタなスタートを切った。
アンコナの町からローマまでは6時間ほどの長丁場。
列車はぐんぐんと田舎の風景の中を進んでいく。
イタリアの田舎は思ったよりも単調で、
ギリシャのあの風景を見た後だったからか、
単調過ぎて物足りなさを感じた。
それでも時折通り過ぎる町の風景は遠くから見ていても面白い。
丘の上に立つ教会、彫刻が刻まれた建物たち。
どうやらイタリアは町を楽しむところらしい。
車窓から外を眺めながら、そんなことを考えた。
ローマの巨大な駅にたどり着くと、
多くの人があふれていてこの街が思った以上に大きな所だと気づく。
イタリアをはじめヨーロッパの駅の形は、
日本人が思う駅の形とは大きく違っている。
簡単に言えば大きなかまぼこ型のドームの中に、
いくつもの、多いときには20以上の線路が引かれていて、
改札などはなく乗車の時に車掌に渡すか、
乗車したまま車掌が来るのを待つかのどちらかである。
もちろん車掌が来ないこともままあるが、それはまぁご愛嬌。
考えてみれば無銭乗車を見逃したほうが、
改札の設置や車掌を雇うよりも安くあがるという気がしないでもない。
切符の多くは自動販売機で買うことができ、
自販機の言語は英語を始め近隣諸国のものを選択できることが多い。
これもまたヨーロッパらしいところである。
ちなみにこの自販機の近くでじっとしている怪しいおっさんは、
時たま自販機のお釣りの取り忘れがないかをチェックしている、
ホームレスのおっさんである。まぁ、そんな人もいる。
久々の大都市に戸惑ったがすぐに感を取り戻し、
とりあえずは近くの宿にチェックインすることにした。
イタリアということで少しは警戒していたが、
ローマ中央駅周辺は人通りも多いからか、
それほど危険な雰囲気はしない。
夜の街灯の下でもわかる美しいローマの街並みを楽しみながら、
宿へと向かった。
宿の受付の女性に部屋は空いてる?と聞くと、
少し高い4人部屋ならあるわ、と言い僕はそれにOKと言った。
チェックイン用の用紙に記入し、
料金の説明を聞いてみると、
なんだか最初に聞いていたのと値段が違っている。
値段違うよね?と言うと、
「あぁ、さっきのは3泊以上の場合。これは2日の料金よ」と言った。
持っていたガイドブックに本を見せれば10%引き、
との表記があったので、これは使えるの?と聞くと、
なぜか「使えないわ」との答え。
でもここに書いてあるけど。と食い下がると、
「すでにディスカウントしているから」と返ってきた。
いつもなら。
まぁ、別にどーでもいいやとなるのだが、
ここはひとつイタリア人の対応ってやつを見てみたいと思い、
「でもそれはおかしい。だってこっちの10%引きの方が安くなるでしょ」と、
ボールを投げてみる。
頭を坊主に丸めたファンキーなイタリア姉ちゃんの顔が曇る。
そしてここに日本対イタリア戦が幕を開けたのであった。
2つのディスカウントがあって、その安いほうを選ぶ。
どう考えても正しいその理論がなぜかイタリア娘には通じない。
じゃぁ、幾らからディスカウントされてるの?と聞いても、
探してきた値段は結局今提示されている値段とも変わらない。
じゃぁ、この本に嘘を言ったと言うこと?と聞いても、
「知らない。私はオーナーじゃない」の一点張り。
最初、使えない理由は2重ディスカウント。と言うことはこの本は正しいよね?「知らないわよ。」
じゃぁ、オーナー呼んで。と言うと彼はいま寝てるの一点張り。
挙句の果てには「私は今仕事してるんだからじゃましないで」と、
僕を無視して勝手に事務作業を始めてしまった。
まぁ、こんなもんか。とイタリアのサービスレベルがわかったところで、
ともかく納得したことにして、彼女の事務作業が終わるのを待った。
事務作業を終えた彼女は、
僕の根気にも負けたのか表情を崩し「チェックインする?」と聞いてきたので、
「もちろん」と答えてなぜか芽生えた友情の握手を交わした。
もちろん値段は最初彼女が言った値段のままだったが。
ちなみにその彼女の後ろには
「インターネットでの申し込み料金はネットで申し込んだ人のみ」
との表記があり、後で調べてみるとなんと定価よりも30%も安かったことは、
さすがイタリアの料金体系というべきものかもしれない。なんだそりゃ。
イタリア娘、ナナとの対決を終え無事に荷物を部屋に下ろしてから、
ナナにおいしいパスタ屋さんを聞いて食べに行く。
出てきたパスタは思ったよりも硬い。
久しぶりにきちんとアルデンテだったのには感動したが、
イタリアのパスタってこんなものか。味はおいしかったのだけれど。
さておきワインの質は上々!
フランスに続き久々のワインライフになりそうだ。
美しい街並みに、おいしい食事とワイン!
さて、イタリア編をはじめよう!
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