DATE:2009/01/26 Greece - Meteora -
そびえ立つ奇岩の上に立つと町を全て見下ろせる。
修道院をこの場所に作った理由もわかる気がする。
単に隠者の生活をしたければもっと別の場所にすればよい。
この場所へ修道院を立てたのはきっと。
ギリシャのメテオラは
垂直に切り立った崖のような奇岩の上に立てられた修道院群で有名な町だ。
その景観は他に類を見ることがなく、
神秘の世界に包まれている。
町からもその奇岩とその上に立つ修道院を見ることができ、
元は隠者の隠れた生活だったものが、すっかり観光地になっている。
修道院までは道路が張り巡らされているものの、
現在もしっかりとその生活は続けられていて、
中世のままの隠者の生活が守られている。
しかしそれでも更なる静寂を求めて、
アトス山などの別の静かな場所へと移り住む信者も多いそうだ。
町からのバスは冬季には運行していないらしく、
僕はいつもどおり足で目の前をそびえる山々を登り修道院を目指すことにした。
町から見えるほど教会は近くに見えるのだが、
その間の山道は険しく1時間ほど山歩きを続けることになる。
が、その景色は絶景と表現するしかなくただただすばらしい。
ここに修道院などなくても観光地とするには十分なほど。
茂みを掻き分けながら奇岩の間をすり抜けていく山道は、楽しくてしかたながない。
山道を抜けて修道院の前に立つ。
しかしそれはまだ奇岩の前に立ったというだけだ。
アギア・トリアダ修道院はその頂上に立っている。
30メートルはあろうかという巨大な岩の塊が目の前にはある。
昔、ここで争いがあった時は防御のため、
頂上から吊るされた紐を使って荷台に乗って登ったらしいが、
今ではしっかりと階段が開放されている。
階段を登りきると物語のような小さな修道院が天の家のようにぽつんと建っている。
なにせ教会の水平線上を目で追っていくと、
すぐに地上は途切れて空になってしまうのだ。
小さな家の周りにはきれいな青い芝生が茂り花が咲き乱れている。
その庭の上をのんびりとあくびをする猫が寝転ぶ。
その小さな修道院。
美しいフレスコ画が描かれた聖堂。
教会の奥から外に出ると町中が見渡せる岩の上に出る。
メテオラの町は真っ白な壁に赤い屋根が美しい。
その清々しい姿は思い描いていたギリシャの姿だった。
町の向こう側には白い雪を抱いた山々が悠々と聳え立っている。
その景色を見るといつまでもここにいたくなった。
単に美しいものを見たかっただけ。
もしかしたら、ここに隠れ住んだ人々はそんな単純な理由で世を捨てたのかもしれない。
ここに立つとそれもわかる気がする。
奇岩の上の、中空の世界は浮世を捨てるのには十分な魅力に溢れていた。
1つ目の修道院を離れて道を歩いていると、
黒いベールをまとった女性に出会った。
その女性はアスファルトの道の上を物言わず黙々と歩いていった。
きっとさらに奥にある女子修道院へと向かっているのだろう。
彼女たちの暮らしはこの場所にある。
なぜそのような生活を選んだのかは僕には想像もつかないが、
慣れてしまえばこれはこれでよい人生なのかもしれない。
ただ静かに生き、死んでいく。
誰かと違う特別になろうと必死でもがき、
都会の海に溺れていくよりはまったくましだ。
メテオラの修道院をめぐる道はどこを歩いていても美しい。
一歩一歩表情を変えていく岩や森たちが、
どこをとっても絵になってしまい写真など構図を考える必要もないほどだ。
シーズンオフだからか道を通る車もほとんどなく、
もちろん歩いている人なんて僕一人ぐらいだ。
1時間ほど歩いているとようやく赤いスクーターに乗ったおっさんが通り、
僕の前を手を上げて通り過ぎていった。
メテオラには大小6つの修道院があり、
全盛期には24もの教会がこの辺りにはあったそうだ。
戦争の歴史もあったそうで、
総本山である大メテオロン修道院には美しいフレスコ画の他に
そういった歴史を飾る博物館もある。
一日中その絶景の中を歩き回り3つの修道院をまわり、
帰り道はへとへとになりながら町へ戻りアテネ行きの列車へと飛び乗った。
美しい景色。そしてそこに生きる人々。
お!!
返信削除私、ここにぜーーーったいに行きたいと思ってるの!
死ぬ前までに。
また情報教えておくれ!
ひさえ
>ひさえ
返信削除いや、ここまじイクベシだよ!
アテネなんて目じゃない!