2008年12月28日日曜日

世界一周(27)エジプト/あなたに会えて本当によかった






DATE:2008/12/28 Egypt - Dahab -


ニュースから1日経った今日も特に状況は変わらず、
情報もないまま出発を明日へと延期した。


集まった情報としては、
12月の始めからパレスチナ人側のイスラム原理組織ハマスが、
停戦調停が終わったことを理由に、
イスラエル領土にミサイル攻撃を開始、
それに業を煮やしたイスラエル軍が、
ハマスを一掃するためにガザ地区へ大規模な空爆を行ったとのことだ。
パレスチナ人に多数の被害が出ており、
民間人や子供も含めて死者が続出しているとのこと。

問題の本質がわからない以上なにも言えないが、
どちらが悪いという話ではなさそうだ。

聞いている限りだとイスラエル領土は、
それほど心配するほどの被害はなく、
旅行もエルサレム程度ならば可能な気もする。

不確かな情報であるため、
ぜひイスラエルから戻ってきた旅人の話を聞きたいものだ。

というわけで今日はのんびりと、
何もせずにダハブで過ごすことにした。



とは言えやることもあまりあるわけでもない。

幸いなことにここダハブは
「なにもしない」ということに寛容な町で、
それが自然なことでもある。

そんなわけで午前中はぼーっと宿の屋外ロビーで、
ソファーなんぞに座りながら過ごした。

午後になりなぜかコシャリが食べたくなり、
久々にコシャリを食べにレストランへと出かけた。

そこでもなぜかぼーっとしてしまい、
コーラを飲みながら窓ガラスに映る人々を眺めて、
1時間近くを過ごした。



宿に帰ると何もしないのもなんだなぁ、と思い始め
ボサボサになった髪の毛を切ることにした。

急に思い立ったので美容院などもなく、
仕方なく自分で髪を切ることにした。

屋上に上がり正面用と後ろ用に鏡を二枚用意し、
持参してきている梳きバサミを持って仕事を始める。

仕事、とたいそうなことを言っては見ても、
髪を切ることなんて東京で何度も自分でやったことがあるし、
インドやインドネシアで無残に切り刻まれた髪の毛を、
セットしなおしてきたのも僕なのだ。
いつも通り適当にざくざくと髪を切りそろえていった。


1時間もするとなんとなくまぁ、いいかな。な髪形になり
散らばった髪の毛たちを回収し仕事を終える。

ちょっぴり右側に段ができてしまったが、
さっきまでのボサボサ頭よりはましだろう。

何にもしない一日に、少しは労働をした気がして、
すこし気分がよくなった。



夕暮れ近くになりぶらぶらと外に散歩に出かける。

ちょうど壊れかけていたクロックスのサンダルの偽者が
500円ぐらいで売っていたので試着してみることにする。

本物に比べれば少し硬いが履けないレベルではない。

見比べてみれば本物よりも靴に空いた穴が少し大きく、
偽者とわかるデザインだったが、
そもそもこの靴の楽さを気に入って履いているので、
それは一向に構わない。

サイズ合わせをして1足、グレーの偽クロックスを購入した。


宿に戻るとロビーに人が溜まっていて、
その輪に入るとどうやらヨルダンから今日エジプトに着いた人らしい。

話を聞くとヨルダンは特に情勢に変わりはなく、
いままでと同じように旅行ができるそうだ。
また、イスラエルから来たという人に会ったとのことで、
特に問題はなく移動や出国はできたとの事だ。

それを聞いて少し安心し明日エジプトを旅立つことに決めた。

ともかくヨルダンまで行けば情報も集まるだろう。
そんな安易な気持ちだが、行かなければわからないことも沢山ある。



出発を決め皆に別れを告げ、最後の宴が始まった。

「みんなと会えてほんとよかったっすよ」

サトルくんが本音で語った言葉が良く似合う。

エジプトではたくさんの人とであった。

マサミをはじめ、
ゆうこりん、キョンちゃん、マサシさん、
サトルくん、イッセイ、ヨウコさん、エイタくん。
フェルナンドやジョナサン、そういやハッピーなんてのもいた。

今までの旅してきた中で、
こんなにも人と関わってきたことはあったのだろうか。

避けていたわけではないが、
あまり日本人と絡むことのなかった旅の中で、
エジプトの旅はとりわけ特別だったと思う。

しかしそれがとても心地よかったのもエジプトの魔力だ。

それはやはりこの国が「人」で成り立っていることにあると思う。


勇んで望んだ入国から肩透かしを食らったように、
エジプトの人々はみな親切で明るい気さくな人々だった。

人によってはコミュニケーション過多と思うこともあるだろうけれど、
僕には彼らのイケイケの好奇心が心地よかったし、
意外にもさっぱりとした引き下がり方にも好感を持った。

もちろん一部の人間には嫌な思いをさせられたけれども、
彼らが与えてくれた楽しみに比べれば微々たるものだ。


ピラミッドであった大家族。
アスワンで出会った澄んだ目のイスラムブックショップの店員。
ルクソールで見た超美人のお嫁さん。
毎日ダハブで顔を合わせたお土産屋の店員。

エジプトを思い出すと、
たくさんの遺跡よりもまず出会った人のことを思い出す。

ピラミッドやアブ・シンベル神殿なんかよりも勝る、
世界に誇る宝物がエジプトには息づいている。

砂漠の中に住む民。
その広大な土地に住む人間だからこそ、
ちっぽけな人間と人間の繋がりを大切にするのかもしれない。


だからきっと。

僕ら旅人は自然に仲間となり、
いくつもの笑い声となっていまここで酒を酌み交わしているのだろう。

別れることが決まっている出会いだから、
こんなにも楽しいのかもしれない。


あなたに会えて良かった。

そう思える人がいまここにいる。
それだけで十分ではないかと思う。


Nice To Meet EGYPT.

この国を旅して本当に良かった。



「みんなと会えてほんとよかったっすよ」


そうだ、本当に。

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