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DATE:2008/07/09 China - Xian -
ずらりと並んだ人体像。
素焼きでできたその土茶色の兵隊は一直線にまっすぐに並んでいる。
一つとして同じ顔のないそれは、列の後方になると体の一部がかけていきついには崩壊する。
体育館のような建物の中に閉じ込められた兵隊達。
なんだかそれは小学校の全校集会を思わせてこっけいではあるのだけれど。
生気のない表情。しかしその顔はリアルだ。
崩れた体が地面から突き出すように露出している。
殺人現場。
その生々しさはその言葉がぴったりな気がした。
千年以上も前の死体たち。彼らは何を語るだろう。
秦の始皇帝が建設を命じたという兵馬俑は、
1500年以上も前に作られた歴史的な遺産だ。
それまでは実際に人が人柱として
王の墓に生きたまま埋葬されたというから、
貴重な人材を失わないためにも大きな革命であったのだろう。
兵馬俑は近郊にある秦始皇帝陵の一部としての位置づけらしい。
そこを守る兵隊。宮廷の踊り子や仕官たち。
それら生前の生活をあの世にも持ち込もうと作られたらしい。
秦始皇陵の地下には宮殿が存在し、
近くには水銀の河が流れていたというからもの凄い。
建設は13歳で始皇帝が即位したときから始まり、
死んでからも作られ続けた。
相当の数の人間がその建設に関わったのだろうが、
その殆どが王に逆らった犯罪者だったというから面白い。
万里の長城の建設などもこの人の手によるものだが、
秦自体はこの過大な使役労働に反発した人民に滅ぼされたというのだから、
王墓建設とは国の命運がかかっていたと言える。
この王墓建設によって国が滅びたという話は、
意外とよく聞く話。
しかし13歳にして死を恐れた始皇帝の心情はどんなものだったのだろう。
単におバカな側近に言いくるめられたのかもしれないけれど。
兵馬俑の後に秦始皇帝陵にも行ってみる。
ここは既に三国志で有名な関羽によって地下宮殿の破壊、
財宝の奪取がされてしまっているため単なる小さな小山。
10分ほどで頂上まで登り降りてくる。
ついでなので、その小山のまわりもぐるりと回る。
そこには管理されていない草ぼうぼうの公園が広がっているw
なんとなく中国の観光地料金が高い理由が見えてきた。
要は日本で言うと過剰投資による不採算の公共施設なのである。
中国の観光施設は。
無駄に広い敷地。そこに広がる意味のない公園。
そして真新しいビジターセンターと、中身のない博物館。
自動なのに、その後に人間がスタンプを押す意味のない入場者管理システム。
近隣に暮らす人々への過大な援助。
圧倒的な過剰投資がそこには見える。
そしてそれが高い入場料へと変わる。
そして恐らくは作ることが目的でメンテナンスはされていない。
現に兵馬俑出口近くの大規模なショッピングセンターらしき建物は、
100件近く入る店舗施設に2件ほどしか入っていなかった。
秦始皇帝陵の資料館など電気すらついていないのだから。
この辺は恐らく中国の政治システムによるものだろう。
一党独裁政治。そして社会主義。
その中央集権的なシステムは、一部に汚職を生みやすい。
日本と同じように、観光地の整備のためと過大な予算を請求し
それを一部搾取、もしくはつながりのある業者への斡旋としているのであろう。
それが入場料5000円というアホみたいな価格に繋がるのである。
なんとなく国民性というのもある気がする。
清貧を良しとする日本。
成金主義の中国。
使うときは使う。その潔い国民性が、そういった過剰な投資を生んでいる気もする。
観光だけではない。町中のいたるところでその片鱗は見える。
この国がそれに気づくようになるまで何年かかるだろう。
成長が続いている現在では気にもしないそれが、
日本のようにバブルがはじけた瞬間にツケへと変わり、政治責任へと変わる。
オリンピック後。万博後。
この国のバブルははじけると言われている。
今はチキンレースの状態。いつ逃げるかをみな思う。
その混乱が始まったとき、
中国はまた次の段階に進むのかもしれないな。
政党の変更か、社会主義の崩壊か。
なんにせよ、この国が飽きないのは本当。
国民性といい、国の治め方といい。
混ざらない国というイメージがなんだか強い。この国は。
1500年も眠り続けた兵隊達。
彼らは今のこの国に何を思うのだろう。
あんまり変わんねーな。
なのかもしれないけどねw
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