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DATE:2008/06/02 Cambodia - Phnom Penh -
最終日。
町を回り、最後のカンボジアを楽しむ。
カンボジアに来てからの発見は、この国の博物館の充実振りだ。
それだけ元々の文化の下地が良かったと言うことだろう。
プノンペンでも博物館を訪れたがこれもまた意外なほどに楽しめた。
最後の夜、出会った友と酒を酌み交わし更けていく。
この国に教わったもの、感じたもの。
なんだろう漠然としているままで、何もわかった気はしない。
そもそも「わかる」というのも大それた話だが、
それでも今までの国には何らかのイメージが作られたのだが、
この国はなんだかよくわからないまま過ごしてしまった。
文化という面で。
アンコール・ワットを始めとする沢山の遺跡群に代表されるように、
やはり培ってきた文化は相当に高いレベルなのだと思う。
また人々の知識や能力と言う意味でも、
その文化を裏付けるように驚かせられることが多かった。
内戦で粉々にされた今でもそれは息づき、
また再生へと向かっているのが肌でわかる。
この国はまだ伸びる。ポテンシャルと言う意味では、
今まで訪れたどの国よりも高い、そう感じる国だった。
人材と言う意味で本当に優秀な人材は、
ポル・ポト政権時代にすべて殺されてしまったという話も良く聞く。
政府に歯向かうだけの人間ということは知識人である可能性も高く、
優秀な人材が抹殺されたと言うのは納得感がある話しだ。
ぽっかりと空いたその世代。失ったのは知恵、文化。
親のいない子供達。そしてその彼らが成長し大人になった今。
自力での再生はまだ始まったばかりだ。
しかし未来は明るい。彼らを見ていると安直にだがそう思えるのだ。
ただしその背景には「貧しさ」という影も隠されている。
もっとも観光地にあふれるような物乞い達は見せかけで、
単なるパフォーマンスとしてやっているように感じた。
楽で簡単に稼げるオシゴトというわけだ。
カンボジア政府はそれを良く知っていて、
観光地での物乞いに物を与えないようツーリストに警告を発している。
価値を生まず、学びもしない子供たちは将来、大人になる。それがこの国に何をもたらすか。
そこを政府はきちんと見据えているのだ。
しかし貧しさは確かに存在する。
本当の貧しい人たちは「内戦の被害者」たちに隠されているのかもしれない。
被害者とひと括りにしてしまえば全国民なのだろうが、
その中でも地雷などで腕や両足、目や顔、
自らの体の一部を失っている人間が本当に沢山いることを知った。
町を歩けば、目に付くほどに当たり前に彼らは存在していた。
そして彼らは年間数百人というスピードで今も量産され続けている。
そこにあるのは本当の「貧しさ」なのだろう。
各国の援助でどうにか生き抜いてきているこの国の政府は
被害者の生活を保証するまでの余裕はない。
彼らは生きなければならない。自らの力のみで。
その失われた身体で。
その余裕のない、容赦のない貧しさ。
それに対して何もできない空しさ。
カワイソウというレベルを遥かに超えたその現実は、
目を背けることなどできぬほど日常にあふれている。
たった一人の人間に何ができるの?
そう言ってしまえばそれまでだけど、
被害者だってたった一人の人間なのだ。
一対一の関係に逃げ場所なんてありやしない。
腕の無い、骨の突き出た肩を持つ少年。
その骨の腕で僕の手をつかまれた時、僕はなにもできなかった。
抱きしめることも。微笑むことも。
ただ僕は彼を覚えていることだけしかできていない。
一度だけ。
プノンペンで出会った、顔の半分が爛れ肉塊となっていた青年。
恐らくは物乞いをしに近づいてきた彼に、にこりと笑いかけてみた。
彼はその失った顔で僕に笑い返し、ゆっくりと去っていった。
自己満足なのだろう。それでも僕は救われた気がしたのだ。
10年後。この国はどうなっているのだろう。
あの美しいアンコール・ワットはいつまでも存在しているのだろうが、
そこに暮らす人々はどんな暮らしをしているのだろうか。
希望はあふれている。この国の人々のしたたかさに。子供たちの笑顔に。
また来よう。
そう思うのは遺跡だけではなく、
この国の人々に強く興味を持つからなのだろう。
もう一歩。この国の人々に踏み込めなかった悔しさ。
それもまた一つの経験さ。そう思い、カンボジアを去ろう。
またね!
コメント
返信削除kiki2008年06月10日 00:37
師匠、
大変おこがましいことを言わせていただきますと、
いつも以上に文章に説得力が増していて、上手いですね~。
多分、それだけ感じたこと、学んだこと、考えさせられたことが多かったのかもしれないね。
この日記を拝見させていただいて、
かなりカンボジアに興味を持ちました。
再来週からタイにいきますが、
次のアジア旅行ははカンボジアかな~。
引き続きよい旅を!
鉄平2008年06月11日 22:09
>kiki
おぉ!編集の方にほめられるとはw
でもホント、感じたまんまですねぇ。
ぜひ次の旅行、カンボジアで!
アンコールワット+アルファがお勧めですよー!