2008年5月29日木曜日

世界一周 in (7)カンボジア/千年美







DATE:2008/05/29 Cambodia - Siem Reap -


今日はシェムリアップから足を伸ばして郊外の遺跡めぐり。
もともと一人で行くつもりだったが、
昨日アンコール・ワットで偶然、ラオスで知り合ったドイツ人と出会い、
その人とトゥクトゥクをチャーターしシェアすることにした。

アンコール・ワットの郊外にも遺跡群は点在しており、
中心地の遺跡とはまた違った形式や雰囲気を楽しめる。
今日はその中の、バンテイスレイ、ベンメリア、ロリュオス遺跡を回る。


ついでと言ってはなんだが郊外へ足を伸ばす前に、
もう一度アンコール・ワットの朝日を見ることに。
またもや朝もはよから動き出す。

2日前はアンコール・ワットの尖塔から覗く朝日を見たが、
今回は水面に写るアンコール・ワットを見ながらの日の出鑑賞。

水面に映る景色は時間とともに光を増して行き、
まさに「幻想的」という言葉がふさわしかった。

今日がアンコール・ワットを見られる最終日だったので、
ついでに再度遺跡内をぐるりと回り、レリーフを見納め。

やっぱり何度見ても心を打たれるし、物足りなさを感じる。
まだまだ見たりないと。


後ろ髪を引かれながら次の目的地、バンテイスレイを目指す。
アンコール・ワットからは約30キロ程度の距離だろうか。
1時間ほど、のどかな田んぼの風景を楽しむ。

このバンテイスレイも物凄い遺跡だった。
もっとも印象的なのはやはり他とは比較にならないほどの
繊細で精密な壁や門に施されたレリーフ。

機械を使って施されたような彫刻が所狭しと壁面を覆っている。

そしてその赤い壁の色がなんとも美しい。
やはり千年の時が経ったとは思えない、そんな生きた印象を感じる。



そして次ぎ目指したのはベンメリアと呼ばれる、
さらに40キロほど離れたエリアにある遺跡。
この辺りは地雷撤去も完璧には施されておらず、
また現地人の強盗なども発生しているそうで、
まだまだ安全とはいえない地域だそうだ。

それでも年間を通してたくさんの観光客が訪れる。
そしてその中でもとりわけ日本人の観光客が多いのは、
この場所が「天空のラピュタ」の体現と表す、ガイドブックなどの影響だろう。
ベンメリアは遺跡の崩壊も激しい、森に飲み込まれた遺跡なのである。

そしてその美しさは群を抜いている。

アンコール・ワット、バンテイスレイと言った造形美とは異なる、
「死」や「退廃」がもたらす美の世界。
侘び寂びを好む日本人には感じやすい要素が多分に含まれている。

多い茂った森の中にひっそりと朽ちる遺跡。
内部に入ると崩れ落ちた石が積み木のように積み重なり、
その上を覆いかぶさるように大樹が根を張っている。
世界の脆さよりも自然の力強さを感じさせる。
朽ちた遺跡と木々。それが一つの美となって今も生き続けている。


そのベンメリア。
遺跡自体も美しいのだが、ちょっと面白いのが他の遺跡と異なり、
まだ管理が進んでいないからなのか「立ち入り禁止」の看板がない。

そしてそれの意味することはどこへでも出入り自由だということだ。
というわけで、積み重なった石の上を縦横無尽に上り下りすることができる。

むしろそうしないと遺跡全体を見ることができないほど崩れている場所なのだが、
そのクライムが中々に面白い。

ロッククライミングのごとく遺跡をめぐっていく体験はここでしかできない。

それもまぁ、管理が行き届くまでなのかもしれないが、
ちょっとアスレチック的な楽しみができる場所でもあった。

最後には汗だくになりながら次の目的地へと向かうことになったが。


最後にロリュオス遺跡をめぐり、
このアンコール遺跡群の見納めとなった。



3日間ほぼずっと遺跡を回っていたが、やっぱり物足りない。
かといって1年間いたところで十分かと言うとそうでもない気がする。
それ程までに奥が深く、心を奪われる遺跡群だった。

千年もの昔、この遺跡を築いた人々は何を思いどう暮らしていたのだろう。
アンコール遺跡群に共通して感じたのは「生」の痕跡だった。

その遺跡がクメール・ルージュなどの基地として利用されたことも含めて、
長年の間、地元の人々に愛され、利用され続けていたことがわかる。
広大な遺跡群はなんとなく身近なものに感じられるのだ。


また必ず来る。

そう思い、アンコール・ワットは今日でさよなら。
また次の旅へでなくちゃな。あぁ、名残惜しいw

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