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DATE:2008/05/30 Cambodia - Siem Reap -
結局のところ、地雷博物館は移動してしまい、
シェムリアップの郊外30キロほどのところにあるそうだ。
え~ん。行けない。
ア・キーラ氏はカナダのNGO団体と合流し、
また新たな出発を迎えたそうだ。
カンボジアから早く地雷という恐怖を拭い去る。
その活動の一端を見てみたかったが今回は諦めることにする。
明日やってくるスペシャルゲストを待つために、
今日は暇つぶしの一日。
どうせならばと言うことで東南アジア最大の湖トレ・サップ湖を見に行くことに。
時間もあるし~と思い自転車で出かける。
距離としては約15キロ、ゆったりと行っても1時間。
暇つぶしにはちょうど良い時間。
そしてその選択が思いもよらない体験へと踏み出すきっかけになるw
自転車はのどかな田園風景をゆるりと走り、
いつの間にか市場のような場所にたどり着く。
そこを抜ければトレ・サップ湖・・・のはずだった。
道の行き止まりまで行くとたくさんの観光ボートが停泊する、
船着場のような場所に出る。
どうやらここから船に乗り、湖に出てツアーを楽しむのが普通らしい。
でも僕は単に湖を見たいだけなのだ。
そんなツアーなんか行かないぜ~と、
行き止まりの先に細い一本道を見つけ自転車を走らせる。
ほんとうに細い、バイクの車輪一本分の道。
トレ・サップ湖へ続く川沿いのその道は
たまに利用している人がいるらしく車輪の跡もちらほら見える。
ただしほぼ獣道のような状態でデコボコとしたオフロード。
道と言うよりは誰かが通った跡。と言ったほうが正しいかもしれない。
川には水上生活者がボートの上に板を引いたような、
簡素な家で暮らしておりその姿が面白い。
暮らしている人々に手を振りながら道を行く。
そしてその途中でふと気づく。
「ここって地雷大丈夫?」
ん・・・?大丈夫じゃないかもしれない・・・。
大丈夫じゃないかもしれないよ。ここ・・・。
よく考えれば川や湖は軍事的に重要なルート。
戦場になったこともままあるだろう。
そんなところに地雷を置く。考えられなくない。というよりも可能性大!
楽しかったオフロードが一気にデスロードへと見えてくる。
進むべきか、戻るべきか。
乗りかかった船である。轍があると言うことは、
一度誰かが通った道。危険性は少ない。
この道を行けば、どうなることか・・・行けばわかるさ!
「Same Step!」
地雷撤去の際のこの言葉を思い出す。
よし「Same Step」だ!
そこからはちょっとばかし景色を見る余裕もなく、
道の中の一本の轍を注意深く見守り前進、前進。
湖までの道は意外と長く1キロほども進んだろうか、
ようやく川の端が見えてくる。
湖らしき水面が近づき500メートル、400、300と水面が徐々に迫る。
水辺にはぎっしりと水上生活者の家が見えている。
徐々に近づいてくる湖。
200メートル、150、100・・・
そしてそこで道は途切れたのである。
なんでよ?
えーーー、ここまで来たのに!
目的地を目前まで控え、端までたどり着けず。
いままでの恐怖との戦いはなんだったのだ!
目の前で川に埋没した道をうらめしく見つめる。
その横ではボートに乗った観光客が優雅に通り過ぎていく。
そして僕を現地の人と勘違いしているのか手を振りビデオを撮る。
いや違うし。黒いけど。
途方に暮れ、
どうにか端まで行く方法はないかと現地の人が乗る船に乗せてもらうことを考えるが、
通っていく船は2人が限界らしく、お尻が沈没しかけている船に乗った人が
必死に中に入った水を掻き出しているのが見える。これは無理。
無念。トレ・サップ湖目前にして退路をとぼとぼと自転車をこぐ。
まぁ、ちょっとだけ見れたからいいかと自分を納得させ、
むしろこのネタの方が面白いと心をごまかす。
帰り道。
二人乗りの一台のバイクとすれ違う。
この道を使っている人がいたことに少し安心をする。
それ程危険な場所でもなかったようだ。
そしてふと気づく。
ん?あの人たちバイクでどこ行くの???
一つの結論に至る。
別の道がある!!???
振り返りバイクの姿を追っていくと、
いつの間にか左折をして違う道へと走っていく。
まだ道が残されていたのである。
自転車を翻しもと来た道を引き返す。
バイクの通った道を見つけそちらへと向かってみる。
もちろん轍の跡を慎重にw
すると灯台のような監視塔のような建物が見えてくる。
希望の光だ。光ってないけど、光ってる。光ってるよ。
しかしながらまたもや道は途中で水に浸食されていた。
バイクの二人組みもそこで立ち往生しているようだ。
しばらく見ているとそのうちの一人が道の脇の草むらを徒歩で進み始める。
僕もそれに習い「Same Step」でぐんぐん進む。
そしてたどり着いたのである。トレ・サップ湖に。
それだけでなく、
監視塔のような建物は寺院だったらしく、
地元の人たちと話しているうちにその上にあがらせてもらえることになる。
そこからの景色は格別である。
広大なトレ・サップ湖が一望に見渡せ、
水上生活者の家々が湖の岸辺に張り付くようにしているのがわかる。
たぶんこの景色を見ることができた旅行者は少ないに違いない。
その特別感と景色の雄大さに感無量。
さらに、そこにいたお坊さんと2時間ばかり話をする。
英語はあまり上手くなかったがトレ・サップ湖の話、
自分の人生の話、いろんな話を聞かせてくれた。
彼の父親は彼が3歳のときに死んでしまったらしいが、
年齢から考えておそらくはクメール・ルージュの虐殺にあったのだろう。
道を歩けばそういった人に出会う。そんな場所なのだ、ここは。
トレ・サップ湖と会話を十分に堪能して岐路に着く。
なんだか特別な体験をした気がする。
しかしながらやはり地雷の恐怖と言うのは恐ろしいもんだ。肌で実感する一日だった。
p.s.
夜。一之瀬泰三さんが通っていたと言うレストランへ行ってみる。
伝統的なクメール料理。スープが格別だった。
そして「地雷を踏んだらサヨウナラ」という言葉が、リアルに感じられた日だった。
コメント
返信削除ゆか2008年06月07日 10:03
真ん中の写真、すごい好き。
Don't die by yourself.
命は大切にね♪(デンコちゃん風に)
鉄平2008年06月09日 18:16
>ゆか
この写真いいよねー。坊主と空。
死なないように遊んでます。
でも、今回はけっこうドキドキしたw