DATE:2009/01/16 Turkey - Cappadocia -
うーんこれは。。。
「ちんこだよねぇ。」
「ちんこだねぇ。」
僕らはその奇石を眺めながらただそれを思った。
目の前にはただその奇妙な形の岩が林のように立っていた。
トルコ最初の地、カッパドキアへ辿り着いたのは早朝で、
朝一番で待っていた客引きに連れられて、
岩の中に作られた宿に泊まることにして、
そのままそこで一眠りした後、昼から僕らはカッパドキアの奇石群の観光に出かけた。
そして巡り合ったのがたくさんのちんこ。もとい、奇妙な形をした石たちだったのだ。
雨や風の浸食を受けてできた奇妙な台地。
それがカッパドキアだ。
その奇石の中には、
居住区に使われたものもあり、
ところどころに穴が開いている。
穴が張り巡らされ洞窟のようになった岩も多数あり、
自然のマンションのような奇妙な印象を受ける。
そしてその岩の形なのだが。。。
きれいに言えば「きのこ岩」というのが正しいのだろうが、
お子ちゃまの僕らにはどう見ても「ちんこ」にしか見えない。
しかもあろうことか先端が乳首のようになった「おっぱい岩」さえもある。
しかし目の周りをちんこやおっぱいで囲まれるのは、
意外にも壮観でやはり圧倒されざるを得ない。
生憎の曇り空だったが
その重苦しい空の下にそびえるたくさんの岩岩たちは
この場所の歴史を物語るように重く腰を下ろしていた。
この地は昔、ローマ帝国に迫害されたキリスト教徒がギリシャから逃れた場所で、
ここに見える穴の一つ一つはその彼らが暮らした穴なのであった。
近くには穴の中に作られた教会もある。
訪れてみるとその内部は作られた年代ごとに、
明らかに趣向が異なるもので、
その違いは見ていて面白いものだった。
例えば初期のころの教会には赤い朱塗りで、
子供の落書きのような十字架や動物の絵が描かれているのに対して、
後期のころになると色とりどりのフレスコの染色がなされ、
その絵の精巧さも比べ物にならないほどになる。
隠匿の歴史にもまたさまざまな変化があったのだ。
この地に隠れ住んだ人々は何百年もの間、
文化を繋ぎこの岩だらけの土地で生き長らえてきたのだ。
教会めぐりを終えて僕らは、
岩の林の中を探索することにした。
遠くにいるときは細い岩だと思っていたものも、
近くに寄ればそれが意外にも大きく人の何倍もあることに驚く。
岩の形もさまざまでひとつとして同じものはないというのはこういうことだろう。
自然が作り出した彫刻は風と共に今も刻々と姿を変えているのかもしれない。
この岩たちが不思議なことは、
普通の平地に見えるところに、ぽつりぽつりと木のように生えているところだ。
単に山が侵食されただけでこのような残り方をすることに、自然の妙味を感じる。
遠くにお城のような巨大な岩山が見えた。
ウチサル城と呼ばれるその場所は本当に城として使われていたものらしい。
小高い丘の上に気づかれたその自然の城は、
高層マンションのようにいくつものを穿たれて、
蜂の巣のように丘の上にぽつりと置かれている。
それを囲むように家々が建ち、町が作られていた。
遠くには波のようにうねりを描くあばら骨のような高台や、
赤土色をした赤い岩山も見える。
カッパドキアと一言に言っても、
その大きさは巨大で今日歩いた場所は、
中心からわずか5キロほど離れた場所に過ぎない。
この奇妙な大地はさらに50キロ四方ほどに広がっていて、
それぞれにまた異なった表情を持っているようだ。
カッパドキアとはこの地方の名前で、
実際には今滞在しているギョレメをはじめとして、
いくつもの町が点在している。
その全てを見ることはできないが、
きっとそれが一つ一つユニークで面白さに富んでいることは間違いないだろう。
遠い向こうに見えるまた別の大地に僕は思いをはせた。
ぽつぽつと降り出した雨に僕らは岩の洞窟の中に入り込み雨宿りをする。
きっとこうやって古代の人々は暮らしていたのかと思うと、
少し肌寒い岩の中もなんだか楽しく思えた。
雨も小降りになり遠くに人の姿を見かけたので行ってみると、
なにやら砂利を外にかき出す作業をしている。
「何をしているの?」と聞いてみると、
水がきちんと流れるように農地の世話をしているのだ。と言った。
こんなところに農地が。
そう思うが歩いているときにいくつかの木々を見かけた。
そしておじさんの背中にはいくつものブドウの木が見える。
「ワインを作るの?」と聞くと、そうだと答え、
リンゴも作るんだよ。と笑顔で返してくれた。
草木もまばらなこの大地にもまた人が生きるための営みがあった。
そりゃそうだ、何百年もこの場所で暮らしてきた人々だ。
彼らにとってはこの大地はかけがえのない生命の源なのだ。
まだ作業を続ける彼を残して僕らは宿への家路へと戻った。
運よく町へ戻る車をヒッチハイクして暖炉の灯る暖かい宿の中へと駆け込んだ。
しばらくしてもなぜかお腹が減らず、
それでも何かを食べなくてはという気がしてマサミと二人で夕食に出かけた。
この土地の名物「つぼケバブ」は、
土のつぼでできた器に入れてシチューのような料理を煮込んだものだったが、
食べる際にはそれを割って食べるという豪快さで、
自分でそれを割ることにチャレンジするも、
それがまた大失敗でつぼ入りシチューを食べることになった。
気をつけないと口の中で「ジャリ」っと音を立てる、
その料理はなんだかとても危険な食べ物のように見えた。
観光客向けのパフォーマンスなんだろうが、
無駄なことはせずに、つぼは割らずにそのまま中身を出して欲しい。
そんな無粋なことを思った。
そのつぼケバブの所為かはわからないが、
なぜかいつも話してばかりの二人の会話が今日はまったく進まず、
「なんだか冷め切った夫婦関係って感じだね」と言って二人は笑った。
そしていつもの馬鹿な二人に戻っていった。
岩の中に作られた宿に戻り、
その洞窟の中で僕らは眠った。
トルコ第一日目はこうして幕を閉じていった。
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