2009年8月3日月曜日

世界一周(52)メキシコ/チチェン・イッツァ































DATE:2009/08/03 Mexico - Cancun -


チチェン・イッツァへはカンクンから3時間ばかりの道を行く。

今まできれいな国道ばかりを走っていたメキシコだったが、
チチェン・イッツァへの道は地元のローカルな道も通り、
バスの中からメキシコ人の日常が垣間見れるのが面白い。

思ってもいなかったことだが、
ユカタン半島に暮らす人々が暮らす家は、なんと沖縄の家に似ている。
火山岩を摘みあげて作られた石垣に木や椰子の葉でできた家。
どこぞで見た沖縄のプロモーションビデオのような景色が車窓の外に広がっていた。
そこに暮らす人々は白い民族衣装を着ており、子供たちが楽しそうに道を走り回っている。
そんな風景はまだ見ぬメキシコの暮らしを想像させた。



チチェン・イッツァに到着すると、
バスは遺跡の入り口の前でお客を降ろし去っていった。

入場口でチケットを買い、そのまま進んでいくと、
道沿いにはお土産屋だらけで、そこかしこに売り子の人たちがいる。
最初はガイコツなどをあしらったお土産に興味が沸いたが、その内売り子の多さに嫌気がさし
なんだか興が殺がれるねぇ、とほんの少しがっかりした気分になる。

それもまぁ、遺跡を見るまでのひと時の思いだった。

遊歩道をしばし歩き現れたチチェン・イッツァのピラミッドは、
今まで見たどのマヤ遺跡よりも美しい姿をしていた。

ほぼ正確な四角錐。
美しく積み上げられた9段の層からなるピラミッド。

修復済みの姿なのであろうが、
バランスの良い全体像はただ単に美しいという言葉が似合った。

このピラミッドは毎年2回、春分と秋分の日になると、
ピラミッドの階段に供えられた二匹の龍の両側に光の羽が生えるのだという。
9つの層になったピラミッドの影がそれを作り出すのだそうで、
正確な天文知識を持っていたと言われるマヤ文明の象徴のような仕掛けだ。



チチェン・イッツァの遺跡はピラミッドだけではない。

一面に骸骨の彫刻がなされたものや、
ジャガーや鷹といった繊細な彫刻が刻まれた神殿。
そういった美しい彫刻の数々が見られるのも面白い。

また、マヤの時代に行われた球技の会場跡も残っていて、
ゴールとして使われたリングが残っている。

伝承によると何人かのチームでゴムボールを蹴ったり腕で弾いて行われたこの球技では、
勝者チームのリーダーはその栄誉を称えるため生贄として捧げられたそうだ。
その斬首のシーンが描かれた彫刻も残っていて、切られた首からは
ほとばしる血の飛沫のように虹の蛇がそのパワーを象徴するように飛び出している。

遺跡の近くには生贄を捧げるための泉があり、
藻で緑色に染まった泉の中からは何体もの遺体と翡翠や金などの財宝が見つかったそうだ。
そんな当時の信仰を思い起こさせるような舞台装置もまた面白かった。



チチェン・イッツァの遺跡の規模はかなり大きく広範囲に渡っていたが、
なんとか歩いて全てを見て周り帰路につく。

帰りは節約して2等バス。
3時間の道のりが4時間半へと変わった。

帰り道も相変わらずのんびりとした村を通り過ぎていく。
夕暮れ時に始まった食事の準備の煙たちがふわふわと、赤くなり始めた空に漂っていった。

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