2009年7月11日土曜日

世界一周(47)コスタリカ/穏やかな街の風景











DATE:2009/07/11 Costa Rica - San Jose -


出国のチケットがない場合、入国は認められません。


さて、何度目だろうこのセリフを聞いたのは。
そんな他人事のような事を思いながらも
コスタリカの国境で足止めを食らってしまったのは事実のようだった。

コスタリカからニカラグアまでのバスのチケットを買えば事は済むようだったが、
もともと予定など在ってないようなものだ。
なるべくならば先の予定が決まってしまう事はしたくない。

荷物の中から世界一周チケットを取り出し、
俺はアメリカから日本に帰るんだ。そう主張するも、
入国管理官の女性はしばらくそれを眺めた後、また最初のセリフを繰り返しただけだった。


うーむ。どうしたもんでしょ。

嫌な予感はあったのだ。その女性を見た時に何かトラブルになる気がしたし、
その女性の格好を見ればお堅いお役所仕事を絵に描いたようなもので、
適当に丸め込むなんて至難の業だと悟っていた。

そう言えばパナマを出る前にバス会社のスタッフが、
コスタリカの出国ではイエローカード(黄熱病)が必要だから用意しておいてね、
なんて事を言われたのを思い出したが、
どうやら必要なのは出国のチケットだったらしい。
忠告するなら意味のある忠告をしやがれ、と悪態をつく。

仕方ない。ニカラグア行きのチケットを買うとしますか。

トラブルはシンプルに解決せよ。
それが旅の教訓。
バス会社のスタッフに声をかけ事情を説明しチケットを売ってもらい事なきを得た。
これでようやくコスタリカ入国である。

朝の6時ごろから1時間以上もパナマのイミグレが開くのを待ち、
寝ぼけながらコスタリカの難関を乗り越えた中々難儀な国境越えだった。


コスタリカという国は自然が豊かな事で知られている。
国土の四分の一が国立公園に指定されていて世界各国からエコツーリストが訪れる観光地になっている。

ついでに言うならば女性がきれいと言うことでも有名だし、
中米ではという前置きはあるものの治安の良さでも有名だった。

とは言えコレと言って見所があるわけでもなく、
観光は自然探索と町歩きぐらいだと思っていたが、
南米、中米で治安の問題でピリピリと張り詰めた神経には良い中休みになるかもしれない。

ともかく国境でもの凄いグラマーな美女2人組みを見たときには、
単純にも、いーじゃんコスタリカなんて事を思い始めていた。



コスタリカに入国してからは、と言っても夜中の移動だったので
パナマもそうだったのかもしれないがアマゾンのような鬱蒼とした森の中を走り続ける。
時折森が切り開かれてどこまでも続くバナナ畑へと変わっていく。
コスタリカは自然が凄い。イメージそのままの姿のイントロダクション。
圧倒的な自然の中を走り抜けていくと、あっという間に首都サンホセへとたどり着いた。


首都サンホセ。

この都市もまた首都という個人的なイメージからはかけ離れた小さな街だった。
バスターミナルにたどり着き何とか宿まで歩いてみるも、
中心街にあるその宿の周りには地方都市程度の商店街が広がっているのみで、
50階建ての高層ビルはおろか10階建ての建物さえも見当たらない。

それでもこの街の治安が良いということは良くわかる。
南米や中米にありがちな都市のすさんだ空気と言うものが感じられず、
人通りも多い街の姿は安心して歩くことができるものだとわかる。

もちろん例外はありバスターミナル付近などには強盗が出るとの事で、
確かに付近には浮浪者らしき姿もあり気をぬ事はできないが、
ある程度注意をしていればそれほど過敏になる必要はなさそうだった。

それに何より涼しいってのが最高だ。
パナマの暑さに辟易していた僕としては最高にうれしい。


宿に荷物を下ろし夕暮れ前の街を歩いてみる。

そこにはやはりのんびりとした街並みが広がっている。
特にさしたる面白さはないが、それでも安心して歩けることは、
なんだか今の僕にとってはとてもすばらしい事の様に思えた。

どうやらここ何ヶ月かの旅で危険へのストレスが溜まっていたらしい。
強盗に遭ったということもあり、神経過敏になっていた自分に気づく。

路上ミュージシャンを取り囲むと道がふさがってしまう位の歩行者天国の大通り。
通りにはいくつもの路上販売の店が並べられ、DVDやらサンダルやらを売っている。
肩車をされた子供たちが父親の肩の上でアイスクリームをほおばる。
美しい国立劇場の後ろでは衣装に着替えた演奏者たちが雑談を交わしている。

そんな普通な街並みがなんだかほっとするサンホセの街。
観光客の姿は少なく買い物を楽しむ地元の人らしき姿が大通りには溢れていた。

せっかくなのでコスタリカ料理でも食べようとレストランに入ったが、
それはニカラグア料理の店で、それでも予想以上においしい豚の料理に舌鼓を打った。


宿に戻り少しゆっくりとするとあっという間に夜になる。

普段なら出歩かない夜の街に恐る恐る出てみると、
10時を超えているというのにまだまだ華やいだ街並みがそこにはあった。

何にもないけどね。
それでもいい街ってのはあるもんだ。

そんな事を思いながらまた眠りについた夜だった。

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