DATE:2009/06/25 Ecuador - Galapagos Islands -
カメ見たしサメ見たし、グンカンドリもアシカも見たしペンギンも。
海イグアナなんて腐るほど。
ガラパゴスで見られる主な動物は運良く殆ど見ることができた。
これで十分満足だがせっかくなので、
陸イグアナが飼育されているというダーウィン研究所へと行って見ることにした。
既に4日目だがサンタクルス島の観光は今日がはじめて。
本当ならば初日に観光するべき島なのだろうがツアーの都合で今日まで延びてしまった。
サンタクルス島はさすが観光客のメインベースとなる島だけあって、
港町プエルトアヨラにはありとあらゆるものが揃っている。
レストランもホテルもあるし、ネットカフェもあり旅行代理店も腐るほどある。
町は殆どそういった観光客向けの施設で占められているが、
少し道を外れるとそこで暮らす人々の家々があったり、
地元民向けの安いレストランがあったりと日常生活を垣間見ることもできる。
ダーウィン研究所はそんな町の東側にあり、
ガラパゴス諸島の生態系の研究&保護を行っている施設だ。
施設内には動物園のようにカメやイグアナが飼われていて、
観光客はここでそれぞれの生態系などを学ぶことができる。
日本のジャイカの協力もあるらしく施設の中には日本の国旗が印されているものもあり、
日本人としてはなんだか少しうれしくなる。
しかし知られている気配はなく日本の援助下手の象徴のような気もしてくる。
そんなわけで旅する日本人は未だに「チーノ」と呼ばれ続けているわけだ。
残念ながら多くの援助にも関わらず多くの人々が日本という国の場所すらも知らない。
そんな研究所内だがさすが本島だけあって、カメだけでも種類もいろいろ。
ガラパゴスのカメもまたそれぞれの島の環境によって進化をしてきたらしく、
首の長いものや、その伸ばした首をさらに上へと向けるために甲羅の形が変化したものなど様々だ。
敷地内の一部はカメにかなり接近できる所もありその大きさが実際に体感できる。
のっそりとした動きだが1メートル以上の甲羅が動いている姿はやはり迫力がある。
カメの顔は実際に良く観察してみると潤んだ瞳が意外にもかわいい。
下に生えた草や落ちているサボテンの葉を豪快に食いちぎる姿はさすがに野生だが、
普段はやはりのんびりとした生き物であるようだ。
そのせいなのかはわからないが彼らの寿命は長く、
ここにいるカメも100歳を超えるものが多くいるらしい。
100年もこうしてのんびり暮らすのもどうかと思うが、
実際にそれが動いている姿を見るとなかなか凄いことだと感心した。
さて目的の陸イグアナだが。
こいつらマジ寝すぎ。
さっきのカメの方がよほど動いてる。
そのぐらい昼時のイグアナはまったくと言っていいほど身動きしない。
黄色と茶色で彩れたイグアナの模様は美しく、
棘棘とした表皮は野生らしさを感じるが、このだらけ具合はなんだろう。
天敵がいないというだらけきった環境に生きるとこうなるものなのだろうか。
サバンナなんかに行ったら真っ先に絶滅しそうなその動きに
ガラパゴス諸島という環境の特殊さを思った。
もしかしたら最初にこの研究所を訪れていたらばもう少し違った印象を受けたのかもしれないが、
様々な動物を見てきてしまった今となっては、陸イグアナ以外に見所はあまり感じない。
慣れとは贅沢な病である。
帰り道に魚市場を見ると10匹近くのペリカンが、
魚の残り物を狙いに大口を開けて待っている姿が見える。
島の人はさばいた魚の要らない部分をペリカンに向かって放り投げる。
するとペリカンは大きな口で器用にそれを飲み込んだ。
ペリカンと人間の奇妙な共存関係はガラパゴスにもあるようだ。
大口開けたペリカンが皆同じ方向を向き上を見上げている姿はなんだか滑稽で、
これもまた人間が暮らすということなのだと少し心が痛む。
楽して生きることには何の異論はないのだけれど、
こうやって人間の気まぐれで生かされているこいつらは何なのだと思ってしまう。
人間という生物を組み込んだ生態系は複雑な波紋をそこに生きるものに与えるようだ。
なんてことも考えたが、実際は「それ俺にもくれよ」と、
さばいたマグロの中落ちをうらやましそうに見ていたのは否定できない。
ペリカンの気持ちがわかった一日でもあったのだった。
研究所も見終わってしまったが時間はまだ午後を周ったばかりだったので、
昼食を食べてからビーチがあるという海岸沿いまで行ってみる事にした。
火山でできた複雑な島の地形からかそのビーチまではなぜか森の中を歩いていく。
サボテンの木?が生える繁々とした森はそれはそれで結構楽しい。
年がら年中なのかそれとも今の時期だけなのかは知らないが、
サボテンにはいくつもの小さな実が付いていて
ウチワのような葉っぱの端からポコポコと生える姿が面白い。
じっくりとサボテンを観察してみると、
どうやらウチワのような葉っぱから次の葉が生えることで上へ上へと成長するものらしい。
天辺の方の葉っぱは緑色でサボテンらしい姿だが、
幹のようになった下の方は赤茶けた色へと変色し形も円柱状になっている。
どうやってその違いが生まれ、上へと伸びていくのかはわからないが、
進化とはやはり面白いものだと思う。
ほとんどのサボテンの幹は棘が落ち木のような姿なのだが、
時折、未だに棘を生やしているサボテンもあり単にサボテンと言っても様々だ。
これもまたどこかで分かれた進化の分岐点なのかもしれない。
「強いものが生き残るのではなく、変化に対応できたものだけが生き残る」
そうダーウィンの進化論は告げている。
そうだ世界は変わるんだ。だから僕も変わり続けなくてはならない。
明日の自分は知らない自分。
変わっていく自分を楽しめ。
サボテンの森を過ぎるとついに海岸沿いに出た。
白い砂浜のビーチではあるのだが、ここでは泳ぐことは難しそうだ。
風の強い日だからということもあるのだが波は高く激しい。
その激しさで薄い緑色のはずの海の色が茶色く濁っているほどだ。
そんな中、欧米人の団体はさすがうれしそうに突っ込んでいく。
それをひやひやしながら見守るガイドの姿が面白い。
泳ぐためのビーチはもっと奥にある。
泳ぐ準備もしていないため泳ぐ気はないがどうせならそこまで行くことにした。
砂浜を歩いていると鳥たちがピチパチと鳴いている声がする。
時たま姿を現すその鳥の名はダーウィンフィンチ。
島ごとに異なる口ばしを持つその鳥の変化を見てダーウィンは進化論を唱えたのだ。
手の平よりも小さなそのスズメが世界に衝撃を与えるきっかけになったことがなんだか面白い。
山ほどいるこの島の動物たちの中、この小さな生き物が世界を変えたのだ。
そう思うと黄色い美しい姿をしたこの鳥がなんだか宝石のように見えた。
当然のように寝転がる海イグアナを横目に海岸沿いの遊歩道を歩く。
サギが真っ黄色な目をしながらとことこと歩いていく。
海イグアナが時折あげる鼻息が波の音に賑やかに混ざる。
これが自然の自然な姿。
そうなのかもしれない。
驚くほど豊かな自然の姿は本来こうあるものだったのかもしれない。
人という種が奪っていった幾つもの過去や未来を僕は否定する気はない。
増えるということは本能だ。人は動物のあるべき姿を取っているに過ぎない。
これが人間の今の姿。今を生きる進化の形。
だけれども、この島を見ているとその失ったものの姿をやはり一度見てみたかったと思ってしまう。
それもまた人の勝手な思いであることは確かなのだけれど。
道を歩けば何匹ものイグアナ達が昼寝をしてる姿が見える。
そう、何匹も、何匹も・・・何匹。って何匹いるんじゃぃ!
イグアナ慣れしていた僕でさえも思わずその光景に引きつった。
大きいのも小さいのも。大小合わせてイグアナなんと100匹近く!
溢れ過ぎていていかにももう「踏んでください」と言わんばかりに
遊歩道の中ほどまでうじゃうじゃと溢れてきている。
うわぁ・・・なんだかなぁ。
これが自然の本来の姿・・・じゃないかもしれないw
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