DATE:2009/04/14 Argentine - El Calafate -
カラファテの町に着いたのは9時ごろで、
バッグを預けてそのまま10時のバスに乗り氷河を見に行くという手もあったが、
荷物預かりの場所もなかったので、あっさりと諦めて宿へ向かうことにした。
そう言えば南米を旅する日本人にはつきものの、
日本人宿という奴に一度も泊まっていないことに気づき、
観光がてらFuji旅館という名の日本人宿に泊まって見ることにした。
日本人宿とはなんぞや。
というほどのものではないのだけれど、
単に日本人経営者が運営している宿、
もしくは日本人ばかりが出入りしている宿で、
他の宿に比べて日本人が過ごしやすい環境である、と言われている宿だ。
例えば使い勝手の良いキッチンが付いていたり、
日本語環境のネットがあったり、
というのが相場ではあるのだが、
印象としては他の宿に比べて部屋が狭く汚い感じもある。
まぁ、日本人宿で最も良い点と言われているのは、
欧米人がいなく夜中騒いだりすることがないため、
ゆっくりと日本のような生活ができるという点かもしれない。
という訳でそういう宿に行くと日本人がわんさかいる。
大概そういう宿には長期滞在型の曲者も多く
運が悪ければ、と言うよりも肌に合わなければやたら疲れる結果になる。
僕はどちらかというと疲れてしまう性質なので、
あえて日本人宿を選ぶことはあまりないのだが、
ある意味ではこれも観光のひとつだと思いカラファテでは日本人宿に行ってみた。
なんだかんだ迷ってしまったが、
カラファテの町の人が良い人ばかりで、
別に何も聞いてもいないのに住民やら警察やらが道を教えてくれて、
なんとかFuji旅館へとたどり着いた。
ピンポンとチャイムを鳴らすと、
しばらくして韓国人の女性がドアを空けてくれて、
続いてオーナーらしき日本人のおじさんがチェックインの手続きをして、
無事に今日のメインイベント、日本人宿への滞在が決まった。
最初にドアを開けてくれた韓国人女性のソウさんは、
日本語が話せたため久しぶりに日本語でくだらない話を話し、
お昼ごろまでのんびりと宿の中で過ごした。
どうやら日本人宿だと思っていたここは、
オーナーの奥さんが韓国人だそうで、
韓国のガイドブックにも紹介されているそうだ。
韓国人は日本人と生活スタイルが近いため、
こういう宿はけっこう快適なのかもしれない。
ずっと宿にいるのもなんだったので外をふらつくことにした。
カラファテは小さな町で中心のメインロードの他には、
ほぼお店がないぐらいで、町歩きはあっという間に終わってしまう。
お土産屋があってカジノがあって、その他もろもろの生活用品の店がある。
特徴的なのはトレッキンググッズや防寒具を売っている店が多いことで、
この地がそういった自然を楽しむ人々が集まる場所であることを示していた。
通り過ぎてしまったがこの町から100キロほどのシャルテンという町からは、
フィッツロイというパタゴニアを代表する山をトレッキングすることができ、
多くの登山者はここカラファテで装備を整えていくそうだ。
登山グッズを扱う店が多いのもそういう理由からだろう。
明日訪れる予定のペリト・モレノ氷河の情報を集めるために観光案内所にも行ってみる。
あまり詳しく調べていなかったのだが、どうやら氷河を見るだけならばバスで行けるが、
氷河の上をトレッキングするとなると特別なツアーに参加しなくてはならず、
値段も1万円を超える高額ツアーになるそうだ。
また、最大のプエルト・モレノ氷河以外にもこの地域にはたくさんの氷河があり、
それを訪れるツアーも複数あるようだ。
値段も高いこともあり氷河の上を歩くのはあきらめて、
明日はバスで氷河を見るだけにした。
気がかりなのは明日の天気で聞いてみると曇りとのことだった。
氷河の色は晴れの日でないとあまり良く見えないという話なので、
場合によっては予定を延ばして天気待ちをする必要があるかもしれない。
まぁ、そうなったらそうなったでこの町でゆっくりするのもよい。
特に何かがあるわけではないがバリローチェ同様に町並みは美しく、
アルゼンチンの町がすっかり気に入っている僕には1日ぐらいどうってことない。
町も一通り歩き回ったのでちょっと足を伸ばして向こうに見える湖まで歩いてみる。
なぜか湖まで続く一本道がなく、ぐねぐねと方角だけを頼りに歩いてやっと湖までたどり着く、
これといって美しい湖ではないのだが、
なんとそこには驚くべきことにフラミンゴが生息しているらしい。
ウユニ以来のその姿に少し興奮し、しばしその美しい姿を眺める。
フラミンゴなんて特別だと思っていたのだがもしかしたら南米ではそうでもないのかもしれない。
こんな南の寒い場所にまで生息するフラミンゴの姿を見ながらそう思った。
湖まで出てみるとその奥に町を見渡すことができる丘を見つけた。
曇り空であまり景色が良いとは思えなかったが、
かと言ってやることもなかったのでこの小さな町を見てみようとそこへ向かった。
ゆっくりと上り坂を登っていくと湖の向こうに見える山々がよく見える。
真っ白に雪を抱いたその山々のいくつかは万年雪や氷河を湛える山なのかもしれない。
そう思うとナイフのように切り立った山々一つ一つが特別なもののようなものに見えてきて、
丘を登るのをやめてしばしの間その山々に見とれた。
丘を登りきって見下ろした町の姿は、
曇り空の下という事もあり、やはりというか何というか上から見て美しいものではない。
それでもはっきりと町の木々が色づいているのが見えて、
ここにも秋の訪れを感じることができた。
南へ。
というと僕ら日本人の感覚から言うと何処か暖かい所へ向かうイメージがあるが、
地球の裏側に来てしまえばそれはまったく逆の意味を持ち、
極寒の地、さらには難局を目指すことを意味する。
なんだかそのあべこべな常識に違和感を感じないではないが、
それでも少しずつ肌寒くなる温度が体にその事実を感じさせてくれる。
そうだ、僕はもう氷河の前に立っているのだ。
そして明日はもう目の前に氷河が。そう思うと期待に胸が躍った。
気まぐれで決めたパタゴニアの旅も来てしまえば期待せずにはいられなかった。
丘から降り宿に戻るとみんなでバーベキューをすることになった。
久々の大人数の夕食、これはこれで楽しいものだ。
今日あったばかりの人々と笑いあい酒を交わし、
食べきれぬほどの肉をほおばった。
そして今はベッドの中。
今日はなんの夢を見るだろう。
そしてその夢が覚めればもう氷河の前に立っている。
興奮で眠りそうもない体を無理やり目を閉じて眠りへと誘った。
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