2009年1月1日木曜日

世界一周(28)ヨルダン/ある元旦の浮上







DATE:2009/01/01 Jordan - Amman -


明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。


なんて言葉が白々しく聞こえるほど、
一日明けた新年の今日もアンマンはつつがなく平日をこなしている。

ここまで来ると開き直ることしかできず、
こちらも新年を無視して観光をしてやることにした。


そうだ、死海へ行こう。

そう決めた。

考えてみれば元旦に死海で水泳なんて粋な企画ではないか。
年初め「寒中水泳大会 in 死海」
企画としては良くできている。


どうやらこの寒々しい新年を盛り上げようと考えていたのは、
自分たちだけではないらしくあっという間に、
死海ツアーの参加者が集まり、
計8人での日本人だらけのツアーが始まった。

こういうときは日本人が集まる日本人宿も悪くない。
結局のところ日本人のお正月という感覚は日本人にしかわからないのだから。


ツアーといっても単にタクシーをチャーターして、
死海まで行って戻ってくるという簡単なものだが、
意気揚々と2台のタクシーに分乗し死海まで向かった。


死海といえば海に浮きながらの読書ができて、
恐ろしくしょっぱくて、生き物がいない地球の神秘。

想像力のせいなのか情報の少なさのせいなのか、
そんな貧弱なことしか思いつかないがきっと行けばわかる。
なんだか素敵なことが待っていそうな予感がした。


タクシーを飛ばして町を出る。
小高い丘や谷を上り下りしてめまぐるしく変わる景色の中を、
のんびりとシートから眺める。
1時間ほど走り、砂漠のような砂の山が広がる地域を抜けると、
目の前に湖のような死海の姿が見えてきた。


死海へ到着すると、
そこが意外にもリゾート地化された場所であることに驚く。
死海の浜辺には日差しよけのパラソルが何本も立てられ、
そのそばにはシャワー室なども付いている。

なにやら無料で入れる死海もあるらしいが、
たどり着いたのは有料のリゾート地で、
入場料を払って死海への入り口へと足を踏み入れた。


いつの間にか水着をなくしてしまったため、
ダハブからパンツダイバーの称号を得てしまったが、
まだ水着を買っていなかったため死海もパンツで泳ぐことにした。
寒中水泳大会なんてふんどしでやるもんなんだから、
大して変わらないだろう。

水着に着替えた一同とパンツ1名は、
死海のビーチに並んだ。

少し肌寒い気温に一同、しり込みをする。

いくら日本よりは暖かいとは言え、
ヨルダンだって1月なのだ。Tシャツ一枚では肌寒い気候。
午後の2時ごろだと言っても水温もやはり暖かくはないだろう。

もう1月だからか人の姿もまばらで、
泳いでいる人など数えるほどしかいない。
それがまた僕らをまたしり込みさせた。



それにしても死海は思っていた以上にきれいなところだ。

太陽を反射してキラキラときらめいている。
ぱっと見ただけでも水の透明度も高いことがわかる。
生き物がいない海だからこそ、不純物が混ざることがないからかもしれない。


さぁ、行きますか。

いつまでも立ちすくんではいられない。
手始めに死海の水を少し舐めてみる。




うぉぇ。。苦い・・・。


しょっぱいを通り越してもう苦いニガイ。
水うち際には塩の結晶ができていて、
歩くとそれがとげのある岩の上を歩いているようで少し痛い。

しかしここを超えなくては寒中水泳大会にはならぬのだ。


いざ!!!


一歩一歩足を進める。

一歩。一歩。一歩。


・・・なんじゃこりゃ。


歩いているだけで今まで味わったことのない違和感を感じる。

もう一歩。もう一歩。



!!!!!!!


浮いてるぅ!!!!!!!



いや、ホントまじで浮く。浮いてるのだ。

話には聞いていたが自分でやってみると、
その感覚が異様過ぎて笑えてくる。

どんなに動いても沈まない。
むしろ沈もうと泳いでみても体が浮いてしまい一向に泳ぐことはできないのだ。

しかもさらに面白いことに海を歩けるのだ。

忍者のように。とは行かないが、
死海の中を普通に歩くようにすると、
体が垂直のまますいすいと進んでいく。

・・・やばい、ここウケル。


やってることは馬鹿みたいだが、
この馬鹿らしさが新年らしくてみなで大いに盛り上がる。

仰向けになってみたりうつ伏せになってみたり、と
さまざまなポーズを楽しみながら海の上でぷかぷかする。


ぷかぷか。ぷかぷか。ぷかぷか。

たまに人を押してみたりすると、
スーパーマンのようにビューンと飛んでいく。


ぷかぷか。ぷかぷか。ぷかぷか。

海の上を歩くのが楽しくてみなで行進を始める。


ぷかぷか。ぷかぷか。ぷかぷか。


突然、「ギャー!!!」という悲鳴が上がった。

何事かと見てみると一人の目に死海の水が入ったらしい。
その姿見るも無残な・・・。

どうやら死海は楽しいだけの場所ではないことを知る。
が、それでもみなはぷかぷかを続けたのであった。


対岸にはイスラエルの土地が見える。

あの先では戦争が起きている。
この平和な死海と、目に見えないその死の現実が、
なんとも言えずアンマッチな印象を受けた。

それでも人は死んでいる。
死海の空を飛ぶ飛行機。それは偵察機のものだったのかもしれない。

ぷかぷか。ぷかぷか。ぷかぷか。

それでも僕らは浮かび続けた。
それがこの場所で唯一正しいお作法である気がした。







2009年の幕開けはそんな感じだった。

新年寒中水泳大会で死海に浮かぶなんてアホな企画も、
それはそれでおもしろかった。

何よりもたくさん笑った気がした。
死海の平和なあほらしさが新年を祝うにはぴったりな気がした。



夜は昨日の残りのシャンパンを明けて新年を祝った。



HAPPY NEW YEAR!!!!

さて今年は何が起こるやら。旅はまだ続く。

1 件のコメント:

  1. というわけで、やっとこさブログも年越しをしました。

    みなさま遅ばせながら明けましておめでとうございます。
    今年もよろしく!!!

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