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DATE:2008/07/05 China - Jiuzhaigou -
黄龍は九寨溝からひと山越えたところにある。
ここもまた世界遺産に登録された自然遺産だ。
ひと山。と言ってもその山は険しく遠回りをしなくてはいけないため、
約150キロ程の道のりを3時間近く車で走ってようやくたどり着く。
通常は九寨溝からバスが出ているのだが、
地震の影響でそれが今は運休している。
基本的には個人旅行客が利用するバスで、
その個人の旅行客が激減しているからだ。
そんなわけでそこへ行くにはタクシーの利用しかないのだが、
運よく昨日の九寨溝で一人の中国人と出会い、シェアすることができた。
この人は中国人にはめずらしく英語が出来るのだが、
どうやらアメリカに住んでいる方らしい。
いろいろ聞いてみると実はこの人すごい人だった。
何でも50歳になるこの方は、
アメリカで事業を立ち上げた後、
3年前に事業を売却して現役を引退。
その資産で豪邸を立て、
さらには旅行、ゴルフと余生を楽しんでいるのだそう。
まさに理想的な人生じゃないか。
そこに至るまでの苦労や努力はあったのだろうが、
今はまさに人生を楽しんでいる最中といった感じ。
そんな方なので泊まっているのはやはり高級ホテルだ。
僕の一泊50元(約800円)とは格が違う。
朝はその方に免れてインターコンチネンタルホテルで朝食をいただく。
九寨溝のインターコンチはまさにリゾートホテルといった感じ。
曲線のガラスで囲まれた温室のようなフロントがあり、
そこにはレストランなどが置かれている。
その贅沢な空間には池もあり植物もありと、まさにリゾート。
まぁ、それも今は地震の影響から500元(約8000円)で泊まれるのだから高くは無い。
通常でも3000元(約50000円)程度と言うから、
このクラスのホテルに滞在するとしてはやはり安い。
久々にベーコン&エッグな朝食をいただき、
ホットミルクを飲み干す。
あぁ、贅沢してるなぁ。おごりだけどw
九寨溝は贅沢コースと行こうじゃないか。
なんだか財布の紐が緩み始めている。
でもこの場所は特別な場所、いいじゃないか少しぐらい。
朝食らしい朝食をいただき、いざ黄龍へ。
黄龍への道のりは予想通りの山道。
ぐねぐね。ぐねぐね。ぐねぐねと。
何百回かグネった後に黄龍にたどり着く。
今日の天気は昨日とうって変わって、まっさらな青空。
晴天が1日中続く日が少ないと言われるこの辺りでは珍しい。
ここもまた観光客の数はまばらだ。
通常は運行しているはずのロープウェイも運休しており、
山道を4時間ほどで登り降りることに。
ところで、トルコにパムッカレという場所がある。
そこは石灰石で出来た真っ白な棚田のような池が段々と続いている場所なのだが、
この黄龍もまたそれに似た景観。
違うのはその色が白だけではなく、
黄色や黒などさまざまな色で彩られていることだ。
落ち葉や藻など自然の色で彩られたその棚の上を、
ゆったりと透き通った水が流れていく。
静と動が混然と一体化している。
時折、するりと目の前を抜けていく落ち葉の欠片が、
その場所が動で成り立っている地だということを思い出させる。
九寨溝は「静」と「動」の2つが別々に存在するところだった。
五彩池や鏡海のような生命さえも止まって見える「静」。
その先には流れ落ちる瀑布の「動」が存在していた。
黄龍はその「静」と「動」が同時に存在している。
水を湛えた水棚が「静」を作り、そこから零れ落ちる雫が「動」を成す。
中には枯れてしまった棚もあり、そこにはひっそりと雨を待つ静寂があるのだが、
待っている。という動詞が表すようにそれはまだ死ではないことを感じさせる。
あぁ、動いているんだなぁ。ここは。
この場所は生きている場所だ。
黄龍の名はその生きている様を如実に表しているようにも思える。
その生き物に包まれるように景色をめぐる。
水の流れだけではなく、雪を湛えた山々など周りの景色も美しい。
春のような日差しの中、
目の前に広がる緑の中に悠然と構える雪山は映画のような映えかたをする。
山をぐんぐん登っていく。
目の端に美しい水棚が通り過ぎていく。
山道を重い荷物を担いで登っていく人たちがいる。
この土地で暮らす人たち。どうやらお寺の建設をしているようだ。
ここはただ美しい場所ではない。人々が生きる場所でもあるのだ。
最後にたどり着くのが玉翠峰だ。
そこは緑から始まり黄色に変わり最後には青になる。
水の棚が一段下がるごとに色を変える不思議な場所。
山登りの疲れはない。ただ誘われるように登りきってしまった。
そしてまた導かれるように別れを告げながら山を降りていく。
世界にはまだこんなにも美しい場所が残されているんだ。
中国に来て殊更にそう思う。
まだ、見ぬ世界。憧れはまだまだ沢山ある。
さぁ、また「次」に会いに行こう。
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