DATE:2009/05/05 Chile - Easter Island -
サンティアゴを離陸した飛行機はぐんぐんと高度を上げ
ついには海岸線を越え太平洋の海の上を高度1万メートルの上空で安定飛行を始めた。
目下にはところどころにぽつりと浮かぶ雲が見える。
いつもは太陽を隠してしまう雲の姿も今は太陽を浴びた真っ白な羊のようだった。
太陽と雲の真ん中の誰もいない空のプールを飛行機はすいすいと泳いだ。
4時間と少しを過ぎたころシートベルト着用のサインが点され、
それとほぼ同時に今まで真下に見えていた雲の姿が少しずつ少しずつ近づいて来たのがわかった。
雲に映った飛行機の影にはまあるく虹の輪が付いていて、それもまた雲が近づくに連れて大きくなっていった。
飛行機は雲を突き抜け島の姿を確認するとまっすぐに空港へと降り立った。
到着と同時にいっせいに拍手が鳴り響く。これがラテンの血という奴だ。
僕もそれにならい拍手を送る。
これがイースター島へのイントロダクション。これから一週間の島暮らしが始まるのだ。
僕は拍手の中、それを思い心を躍らせた。
僕と荷物を詰め込んだ車はイースター島の空港を抜け出して、
メインロードと思われる道を走り出した。
そのメインロードも100メートルほどで終わってしまい、
すぐに海岸沿いにたどり着くとそこにいきなりあいつが現われる。
でたっ!!!モアイ!!!
そのいきなり過ぎる出現に驚く。なにせ海岸沿いに普通にモアイが立っている。
なんだかイメージしていた神秘的なシンボルのイメージがいきなりに覆る。
こいつ普通の置物みたいなもんじゃねぇか。
どうやらモアイはこの島の守り神のようなものであり、だからこそこんなにありふれているのだろう。
モアイはみな町のほうを向いていて島の人々を見守っているようでもある。
イメージとは違ったがそのモアイの意外な庶民的な姿にこの島が一気に好きになった。
モアイが見守るこの町に僕はいまたどり着いた。
宿に着きまず最初にすることはテントの設営だった。
テント。
そう、イースター島ではテント暮らしをするのであった。
島でのテント暮らし。なんて素敵な響きなんだろうか。
実際のところイースター島の物価が高く
サンティアゴの二倍以上することもあり部屋に泊まると高くつくということもあったが、
どちらかというとテント暮らしの響きに惹かれたというのが大きかった。
が、、、テント暮らしが誰もいない。
聞いたところではいくつものテントが張られ
にぎやかに暮らすというのがイースター島テント生活との事だったが、
広い敷地の中テントで暮らすのは僕一人。
なんと50m平米はある庭を独り占めである。
部屋のほうで暮らすのもイングランド人の女性一人と、どうやら閑散期の様子。
でもこれはこれでウケるからいいや。広い庭にポツリと置かれたテントを見て一人でほくそ笑んだ。
昔、バイクで旅行したときにテント暮らしをしたこともあって、
さくさくと設営は終わり、あとはここを根城にして島の中を動き回るばかりだった。
まだ一週間もあるのだ。焦ることはない。
が、先ほどのモアイを見てしまってはいても立っても居られない。
暑いのでTシャツとハーフパンツに着替えてすぐにテントを後にした。
宿から徒歩1分。
モアイはすぐそこに居る。
本当にこの島の住民にとっては近い存在のようである。
写真で見たことがある5体のモアイが並んでいる。
その隣にもまた見たことがある帽子をかぶったようなモアイがそばに立っている。
モアイは一つ一つ表情や形が違っていて、そのどれもがユニークで面白い。
またいくつかは顔の半分やどこか一部が欠けていて、顔のある像も首に修復で付け直された跡があった。
閑散期なのか人もまばらで観光をしている人もほとんど居ない。
イメージではもっとたくさんの人で溢れていると思っていたが、
離れ小島のイースター島。こんなものなのかもしれない。
しかし誰がこんなものを。
モアイを立てたのが誰かというのは未だにわかっていないらしい。
そのミステリアスさがやはりこの島の魅力の一つなのだろう。
1時間ほどモアイを観察してまわり今日はここで終わりにした。
明日も、明後日も、そのまた次の日も。
モアイ尽くしの毎日だ。のんびりといくことにしよう。
のんびりイースター島生活はじまりはじまり。
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